2年生で辞典が流行している件

 一学期半ば、何故か辞典が流行している。小学2年生のとあるクラスで…。それも国語辞典、または漢字辞典。
 小学校では3年生で国語辞典の引き方を習うらしいので、明らかに未だ早い。一人が借り始めて、それに影響されたのか、毎週一人か二人が借りて行く。しかも男子のみ。面白いらしい。
 女子はまるで見向きもしない。大方、絵本か女子力高めなきらきらレディ系の本。依って、熱心に借りて行くのは男ばかりであるが、静かなブームはかれこれ一ヶ月以上続いていて、夏休み前の最終貸出日ですら、辞典を借りて帰る人がいた。まさかそれで読書感想文は書かないであろうが、書いて来たらちょっと面白いかも…と、密かに楽しみにしている。
 毎年年度末、貸出冊数が多かった人を表彰している。冊数がそれ程でなくても、総頁数が多い人も同様に表彰。辞典は明らかに頁数が多い。表彰対象の上位3位までが、辞典にハマった人々だったらどうしようかと、今から真剣に悩んでいる。
 因みに、貸出総冊数や総頁数は、機械がちゃんと計算して把握してくれているので、私はリストをアップして該当児童に賞状を作るだけである。
 辞典の貸出が、一人につき年に一度程度で済めば良いが、二度三度繰り返し借りている人もいて、そうなれば、絵本主体、よく読んでも低学年の読み物程度、容量の大きいものなら図鑑シリーズ…という2年生の中にあっては、確実に辞典貸出児童は物凄い分厚いものを読んでいる人々だと、機械は計算してしまう。だって機械だもの…。
 しかし私は人間。繰り返し辞典…の彼らを、自らの裁量で除外することも出来るが、実際それもどうなんだろうな…と思う。だって、学年に不釣り合いな辞典を「面白い」と感じて、わざわざ手の届かない高い場所に配架されているそれを、担任の先生に頼んで取ってもらい、重さに耐えながら持って帰るのである。最初から最後まで読破しているとは考えにくいが、新しい言葉に出合い、その意味を自主的に調べて、理解しようとしている。素晴らしい心意気ではないか。
 年度末までまだ半年ある。もう少し様子をみてみるか…。
 今度、辞典でどんな言葉を調べたのか、彼らに訊いてみようと思う。

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