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安売りのビジネスモデルは必ず破綻する。 ブランディングこそが最大の差別化。

よく耳にする「差別化」という言葉。
今回は飲食店経営における差別化って具体的にどうすればよいのか、そもそも差別化ってなんだっけ?という方にとって、少しでもお役に立てらたと考え、僕の思うところを書いてみます。

そもそも差別化とは

どうやって差別化をするかを説明する前になぜ差別化が必要なのかを整理したいと思います。

差別化とは?
「差別化」を辞書で調べると、同じ種類のもの同士に明確は区別をつけること。といったかたちで説明されています。
つまり、商品やサービス内容、価格などを工夫し、同業者(店舗)との違いをはっきりと示すことですね。

差別化はなぜ必要なのか
これは非常にシンプルで、たくさんの店がある中で自分のお店を選んでもらうためです。
例えば、自分の住んでいる地域に全く同じ商品を置き、全く同じ店員が同じサービスをする、そんなスーパーが5つあるとすると、どうでしょうか。
特に差がないので、どこに行っても同じなのでおそらく家から一番近いお店に足を運ぶでしょう。

実際、自分のお店がある地域だけでもたくさんの同業者のお店が並んでいると思います。
そのなかで自分のお店を選んでもらえなければ、当然ながら売上は立たずつぶれてしまいますので、この差別化が重要になってくるわけです。
要は「自分のお店を選んでもらう理由を作る」ということになります。

安売りが危険な理由

差別化といっても、他店との違いを出す方法は様々です。

例えば、パッと思いつくだけでも
・どこよりも低価格で料理を提供する
・注文から必ず数分以内に料理を提供する
・早い時間帯のビールは1杯目無料にする
・2つ注文したら、1つは無料にする
・店内の雰囲気をリゾートのような非日常的にする
・会員制のお店にする
などが挙げられます。

どれも違いを出す、という意味では実行できていると思いがちですが、1つ目に挙げたような価格を下げることでの差別化は絶対にやめた方が良いです。

理由としては、3つあります。
・薄利の商売が前提になる
・常にたくさんのお客を呼び込む必要がある
・市場の変化に対応しづらくなる

それぞれ解説していくと、

・薄利の商売が前提になる
お客さんからすると安くで飲食ができることは非常に喜ばしいことですが、店側からすると当然、顧客単価は低くなります。
さらに料理を提供するときの手間は、価格に関係なく同様に発生するので、当然ながら利益率が下がってしまいます。

・常にたくさんのお客を呼び込む必要がある
前述したように顧客単価が下がり、利益率も下がるので、売上をあげるためには、より多くのお客さんを継続して呼び込む必要があります。
ここが担保できる環境があるのであれば良いですが、通常、そんな確証はどこにもなく、それを実現することは至難の業です。
また、利益率が悪いのにスタッフのオペレーション負荷は高くなるので、従業員はだんだんと疲弊し不満が高まる可能性がある、ということも考慮しておかなければなりません。

・市場(ニーズ)の変化に対応しづらくなる
仮に同じ地域の他店よりも低価格でのサービス提供が上手くいっていたとしても、今後、他店が自分の店よりも価格を下げてくることも考えられます。
そうすると、自分の店の優位性が失われるため、さらに価格を下げなければいけません。
価格を下げると、当初の計画よりもさらに多くのお客さんを獲得しないといけなくなり、完全に負のスパイラルに入ってしまい、経営が悪化することは目に見えています。

また、何が起こるか分からないこのVUCA時代、お客さんのニーズが変わり、価格よりも料理の質や店内での体験を重視するようになると、価格やサービス内容の見直しを余儀なくされます。
価格については、一度下げたものを上げるのはとてもハードルが高く、既存のお客さんが離れていく要因にもなるでしょう。

つまり、低価格での勝負は長続きしない可能性が高く、非常にリスキーなビジネスモデルだと言えます。

価格競争に巻き込まれないブランディングの威力

そこで、重要になってくるのがブランディングです。(前置きが長くなりました…)

ブランディングという言葉の定義も諸説ありますが、個人的には、「信頼を強みとして打ち出す」ということだと考えています。

どういうことかというと、例えば、iPhoneは他のメーカーのスマホよりも高額ですが、世界中で多くの人が購入・所有しています。
スターバックスもドトールやサンマルクよりも高いコーヒーが売られていますが、世界中に受けいられています。
では、なぜ価格が高いのに、人は買うのでしょうか。

答えは実はシンプルで、それを手にすることでしか得られない体験や感動があるからです。

iPhoneがそばにあるライフスタイルを体験したいであったり、スターバックスという店内で過ごす時間を得たい、といった製品だけでなく、それによって得られる体験を売っていることになります。
「とりあえず電話ができれば良い」という方にとっては、iPhoneよりも格安のスマホがニーズにマッチしていますが、この「体験を売る」ということこそが価格競争に巻き込まれないための施策なのだと思います。

多少、価格が高くてもこの商品を変えば、より豊かな体験・生活が待っている、ということの信頼を得ることが、ブランディングになる。
これがよく言われる、「モノではなく、コトを売れ」ということですね。

このブランディング設計が上手くできていると、他店が自分の店の価格よりも低価格で商売をしていたとしても、きっと自分のお店にお客さんが来てくれるようになるはずです。

冒頭でお話した「差別化=選んでもらう理由をつくる」と「ブランディング」は、やはり密接に関係していると言えると思います。

まとめ

「差別化」や「ブランディング」というと、難しく考えてしまいがちですが、お客さま視点で今一度、自分たちの強みを見直してみるきっかけになれば幸いです。(あらためて見直してみると予想外の発見があるかも?)

今の時代、あふれるほどのお店が数多く並んでいます。
また、どこの店に入ってもある程度の質の料理やサービスは受けられますので、このブランディングが非常に重要になってくると思います。
接客業の場合、「人」がそのお店を選ぶ理由として重要視されてきていますので、普段からSNSを使ってお客さんとコミュニケーションをとるなどして、他店ではなく、自分の店(あなた)に会いに来てもらう理由を作ることもとても重要だと思います。