弱い生物

インターネットを絶っていた。何日くらいだろう?9日くらい?もっとか?自覚がないくらいにストレスがなくって、絶つという程、気合のいる行為でもない。tverとかradikoとか期限のあるものも一週間を越えれば、思ったよりショックは受けない。ぼくはガラケーを使っているから、スマホユーザーよりもよりインターネットに触れない環境を演出できる。とても気分がよかった。ぼくは本当にはインターネットを必要としていないみたいだ。

今ひさしぶりにインターネットを開いて文章を書いている。文章を書きながらもついタブをいくつも開いて、なるべく多くの情報に触れようとしている。面白い動画が目に入る。でもその感動はなにかが足りない。「面白い」「楽しい」という記号が自分の感情にタグ付けされただけみたいな。

インターネットを開かない間にゲームをクリアした。人生ではじめて。ゲームは得意ではないのだ。小学生の頃からやっていたゲームだったから、虚脱感を含む大きな感動をエンディングの聞きなれたBGMが包んだ。

本を何冊か読んだ。面白いのも、思ったより面白くなかったのもあった。でもどっちもいい時間だった。
中でも「帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い」はとても興味深い本で読ませる。

トークショーで作者の朴さんが、私は私の国や国家の為に書いてるんじゃなくて、私の友だちの為に書いているというようなことを言っていて、それを学者が言っているということも相まってとても感動した。

「子供はわかってあげない」をやっと読んだ。最高だった。下巻69ページにシビれまくり!「ごあいさつ」もよかったー。

「コンビニで君との5分間」。普段読まないタイプの漫画なのだけれど、コマ割がめちゃくちゃうまい気がする。

読まずにいた、「ディザインズ」を一気に読んだ。すごすぎた。4巻にこんな台詞があったので長いけど引用しておく。インターネットから距離を置いていたから、余計に頭に入ってくる。

ヒトは生物として
とても弱くなってしまった
大きく見れば多彩な文化多様な価値観は淘汰され
人口の大半が都市に集中していることで
環境からくる遺伝的変異の幅も小さくなった
何より都市はそこに住む者にとって都合の悪いことを見えなくするシステムだ
自分たちが毎日生みだす膨大な量の廃棄物や汚物を隠してしまい戦争や死すら意識しなくなる
本来生物は
自分にとって都合の悪い情報こそ認識しなければ生き残れない
ところがヒトは生息環境を過剰に改変して自分を守る能力を得たことで
都合の悪い情報を見て見ぬフリをしてやり過ごすことが可能になった
人は自分を守るための感覚を自ら遮断してしまった
感覚遮断はヒトに混乱と幻覚を引き起こし
著しい知的能力の低下を生じさせる
失われた外部からの刺激を渇望するあまり
もたらされる情報に対して驚くほど受容的になるんだ
これはね
洗脳のメカニズムそのものだ
現代の都市生活はまさに洗脳装置の役割を果たしている
ヒトは
自分で自分を洗脳している
システムに依存して生きる家畜へと

雨の音が心地いい。

海獣の子供のBlu-rayが明日出る。ディザインズも海獣の子供も五十嵐大介という漫画家の描く世界観にはいつもため息が出る。その透徹したまなざし。世界そのものを宇宙そのものを描こうとするような凄まじさ。そしてこの映画がまた面白い。漫画とはまた違う面白さ。明日感想文を投稿しようと思う。

インターネットを見ていると疲れることの方が多い。もちろん楽しいものでも溢れているけれど、ぼくの部屋にある詰まれた本や、やっていないゲームや、聞いていないCDを聞いて、時々窓の外に耳を澄ますくらいの方が心地いい。多分向いていないのだろう。そのくせ、インターネットの契約を見直さないままに5800円という恐らく高額の金額を払い続けている。

今朝がた降っていた雪はどこに行ってしまったんだろう。何歳になったって、雪にテンションが上がる自分がいることをうれしく思う。

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