宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-17

「やべえ。寝坊しちまった。また、胡桃に怒られるぅぅぅ! 」
 翌朝のことである。建太郎は自宅のぼろアパートから胡桃の事務所のある雑居ビルまで自転車を急がせていた。
 建太郎のアパートは町の郊外にあり、胡桃の事務所――桜咲司法書士事務所は、駅前の商店街の一角に立つ小さな雑居ビルの五階にあった。
 胡桃は、駅前の高層マンションに住んでいるので出勤するのに徒歩で10分もかからないが、建太郎は自転車で三十分も走らなければならなかった。
 先を急いていた建太郎は、全く気づいていなかったが、建太郎が漕ぐ自転車の速度に合わせて、後ろからゆっくりと近づく車があった。
 車の中から、二人の男が鋭い眼差しを建太郎に注いでいた。赤城刑事と天木刑事である。
「宅本建太郎は、どうやら、桜咲司法書士事務所で働いているようだな」
 赤城刑事の言葉に、ハンドルを握る天木刑事がうなずく。
「そうのようです。彼自身は司法書士の資格を持っていないようですが、補助者として働いているようですね」
「桜咲司法書士事務所は、桜咲胡桃という司法書士の女性と宅本建太郎の二人だけの事務所だな」
 赤城刑事が手元に資料をパラパラとめくった。
「そうです。二人はどうやら学生時代からの知り合いのようですね」
「恋人関係というところか?」
「そう思います。かなり親密のようですね」
「桜咲胡桃というのは、どうやら、派手な経歴があるようだな」
「そうですね。元々はアイドルをやっていたようです。DVDとか写真集も出しているようですし、テレビ番組にも出ていましたから、結構儲かっていたようです。小柄ながらもB90 W60 H86と素晴らしいボディの持ち主で人気があったみたいですね。グループのセンターだったようですよ。それでも、大学卒業と同時にアイドルをやめて、司法書士になったようです」
「いきなり独立したのか? 」
「アイドルをやる傍ら、宅建試験と司法書士試験の勉強をして、いずれも一発合格したようですね。それに、司法書士事務所のバイトも経験しています」
「アイドルをやりながらか? 」
「そうです」
「なかなか勤勉な娘みたいだな。独立の資金は、アイドル活動で得た金を充てたというところか? 」
「銀行からの融資も受けていますね」
「借金の返済に困っている様子は? 」
「そのような兆候はないようです。事務所の経営は順調のようですよ。桜咲胡桃の元アイドルという経歴が大きいと思いますね」
「うむ……」
 赤城刑事は資料の束をカバンに突っ込むと自転車を漕ぐ建太郎の後ろ姿に注目した。
「それに対して、宅本建太郎は、人生うまくいっているとは言い難い」

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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