★今日の問題★

 日本国憲法前文は、憲法典の一部であるが、法規範性はないので、その改正は、憲法改正手続によらなくてよい。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「日本国憲法前文と言うのは、次の規定だな」

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

胡桃「そうよ。この文章は、社会科の勉強とかで目を通したことがあると思うけど、じゃあ、日本国憲法前文は、法規範性はあるのかということね」
建太郎「うーん。日本国憲法前文は、宣言文みたいなものだろ。だから、法規範性と言うほどの効力はないんじゃないかな」
胡桃「ブー。間違いよ。次のように解されているのよ」

 日本国憲法前文は、憲法典の一部として法規範性が肯定されており、本文と共に最高法規性を有する。

建太郎「あっ。そうなんだ。すると、日本国憲法前文も憲法の本文と一体なんだな」
胡桃「そうよ。ということは、日本国憲法前文を書き換えようとしたらどうしたらいいか分かるかしら? 」
建太郎「日本国憲法前文を書き換えるということは、憲法を改正するのと同じだから、憲法改正手続によらなければならないということか」
胡桃「そのとおりよ。ちなみに、日本国憲法には、改正規定として次のように定められていることを確認してね」

日本国憲法
第九章 改正
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

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