★今日の問題★

Aは、保佐開始の審判を受け、保佐人としてBが付されている。
Aは、Bの同意を得ずに、Cとの間で100万円を借り受ける旨の金銭消費貸借契約を締結し、自らが所有する農地にCのために抵当権を設定した。
Aが一連の契約締結の際に、被保佐人であることを黙秘していたにすぎない場合は、保佐人Bは、Aのした契約のすべてを取消すことができる。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと、Aの行為は、借財だから、保佐人の同意が必要なんだよな」
胡桃「そうね、条文を確認してね」

民法
(保佐人の同意を要する行為等)抜粋
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
二 借財又は保証をすること。

建太郎「おう。すると、保佐人Bが同意していないなら、取消しできるということでいいんじゃないか」
胡桃「設問では、被保佐人であることを黙秘していたとあるけど、これはどう考えたらいいかしら? 」
建太郎「それは……。黙秘していたくらいでは、問題ないんじゃないかな」
胡桃「この話は次の条文の問題ね」

民法
(制限行為能力者の詐術)
第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

建太郎「うん。すると、被保佐人であることを黙秘していたことが、詐術に当たるかどうかということか? 」
胡桃「そうよ。詐術に当たれば、取り消せないということになるわけだけど、どうかしら? 」
建太郎「うーん。黙秘していただけで詐術って、おかしくないかな」
胡桃「そうね。判例も次のように述べているわ」

無能力者であることを黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まつて、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには、民法第二十一条にいう「詐術」にあたるが、黙秘することのみでは詐術にあたらない。(最判昭和44年2月13日)

建太郎「なるほどな。単純な黙秘は詐術ではないと」
胡桃「そうよ」

※問題は、ノベル時代社の判例六法 丸暗記100問ドリルシリーズを利用しています。下記サイトから入手できます。

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