宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-15
「違うわよ。逆よ。建太郎が宅建士試験に合格しないということが既に確定している場合という意味でしょ。その場合は贈与契約は無効ということよ」
「ありえねぇぇぇ! 絶対に宅建士試験に合格してやる! 」
「だったら、ちゃんと勉強しなさい! 次、2項はどういう意味? 」
「俺が宅建士試験に合格したら、不動産を贈与してもらえるという停止条件の場合で、その条件が成就しない……。宅建士試験に合格しないってことか? 」
「その場合は、贈与契約は無効ってことよね。この調子では、既に無効になっているようなものよね」
「ありえねぇぇぇ! 」
建太郎の雄たけびを無視して、胡桃は淡々と言葉を続ける。
「解除条件の場合は? 」
「俺が宅建士試験に合格しなかったら、不動産の贈与契約は効力を失う。って解除条件の場合で、俺が、宅建士試験に合格しないことは、ありえないと既に確定している。要するに、合格している場合か。その場合は、無条件になる。当然だよな! 」
「条文を一つ、飛ばして、民法第百三十三条にこうあるわ」
民法
(不能条件)
第百三十三条 不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
2 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。
「今の状況では、建太郎が宅建士試験に合格することは、不能条件と言ってもよいわ。だから、宅建士試験に合格したら、不動産を贈与するという契約は無効と言っていいわね」
と胡桃がぴしゃりと言う。
「俺が宅建士試験に合格することは、不能の停止条件じゃねえ! 俺が宅建士試験に合格しなかったら、不動産の贈与契約は効力を失う。って解除条件で、俺が、宅建士試験に合格しないことが不能の解除条件なんだ! 」
「残りの二つもついでに見ておくわよ」
「こんな細かいことまで問われるのか? 宅建士試験だぞ? 」
「知っておいて損はないわよ」
民法
(不法条件)
第百三十二条 不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。
「当たり前のことね。誰かを殺したら、不動産を贈与するという条件を付した契約は無効。誰かを殺さなかったら、不動産を贈与するという条件を付した契約も、やっぱり無効」
胡桃の言葉に建太郎はうなずく。
「不法な行為をしないのは当たり前だからな」
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