★今日の問題★

甲土地は、Aが所有していたが、Aが失踪したため、親族のBが管理し、失踪後七年経過した時点で失踪宣告を申し立て、これが認められたため、Bが唯一の相続人となった。
その後、Bは、Cに対して、甲土地を売却し、利益を得た。
ところが、AがBによって監禁されていたにすぎず、失踪していないことが判明し、失踪宣告が取り消された。
この場合でも、BとCの間で為された甲土地の売買契約は、Cが善意であれば、有効である。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと、Cからすれば、これで取消されたらたまったものじゃないよな。有効でいいんじゃないの」
胡桃「ブー。間違いよ」
建太郎「えっ。そうなの? 」
胡桃「まず、次の条文をチェックしてね」

民法
(失踪の宣告の取消し)
第三十二条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。

胡桃「この問題ではどの部分が関係するか分かるわね」
建太郎「この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。という部分かな」
胡桃「そうね。じゃあ、その部分の「善意」とは誰の善意のことか? 」
建太郎「うーん。誰とは書いてないな」
胡桃「そう。契約の相手方が善意でしたというような限定的な規定ではないということね」
建太郎「おう」
胡桃「判例も次のように述べているわ」

「契約については、契約当時、当事者双方とも善意であることを要する」と解するのが判例である。(大判昭和13年2月7日)

胡桃「するとどうなるか分かるわね? 」
建太郎「民法第三十二条但書が適用されるためには、設問のBとCの契約では、BとCの両方が善意じゃないとだめだということか」
胡桃「そうよ。よって、設問では、Bが悪意であるため、甲土地の売買契約は取り消されるわけね」
建太郎「なるほどな」

※問題は、ノベル時代社の判例六法 丸暗記100問ドリルシリーズを利用しています。下記サイトから入手できます。

https://new.novelzidai.com/

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