★今日の問題★

団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していれば、権利能力なき社団となるが、彼らの社団財産は、構成員に総有的に帰属し、脱退者に持分権、分割請求権はない。
一方、権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負う。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「むむっ。なんか難しい言い回しだな」
胡桃「まず、この判例が何の問題か分かるかしら? 」
建太郎「権利能力なき社団と言うやつだろ。団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることが要件だった」
胡桃「そうね。この判例では、三つのことを押さえておくべきなんだけど、その一つが今、建太郎が読み上げた権利能力なき社団の要件ね」
建太郎「うん。この部分は正しいんだな」
胡桃「次に、権利能力なき社団が権利、債権を有する場合に、債権がどのように帰属するのかということね」
建太郎「あっ。それはこれだな。社団財産は、構成員に総有的に帰属し、脱退者に持分権、分割請求権はない。と」
胡桃「これも正しいわ。じゃあ、権利能力なき社団が義務、債務を負う場合、債務はどのように帰属するかしら? 」
建太郎「債務もやはり、同じでいいんじゃないかな。すると、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、と言うところは、正しいけど、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負う。としている点は間違いかな? 」
胡桃「よく分かったわね。正解よ」
建太郎「よっしゃー! 」
胡桃「というわけで、この問題に関係した判例をざっと確認しておいてね」

1、法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。(最判昭和39年10月15日)
2、法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。 (最判昭和39年10月15日)
3、権利能力のない労働組合よりの脱退組合員は、その脱退が、組合分裂に基く場合であつても、当然には、組合に対し財産分割請求権を有しない。(最判昭和32年11月14日)
4、権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。(最判昭和48年10月9日)

※問題は、ノベル時代社の判例六法 丸暗記100問ドリルシリーズを利用しています。下記サイトから入手できます。

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