★今日の問題★

Aは甲土地、Bは乙土地をそれぞれ有しており、二つの土地は隣接している。
Aは甲土地上に丙建物を建築しており、下水管を引き込むために、乙土地上において、敷設工事をする必要が生じた。ところが、丙建物が建築基準法に違反しており除却命令が出されている。
この場合でも、BはAの乙土地上での下水管敷設工事を拒むことはできない。


胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと。つまり、この事例では、丙建物は、取り壊される可能性があるということか? 」
胡桃「そうよ。BがAの乙土地上での下水管敷設工事を認めたとしても、土地に大穴を開けられるだけで、意味がなかったということになりかねないわけね」
建太郎「意味のない工事なら、拒否していいんじゃないかな」
胡桃「判例も、次のように述べているわ」

建物の汚水を公共下水道に流入させるため隣接地に下水管を敷設する必要がある場合において、建物が建築基準法に違反して建築されたものであるため除却命令の対象となることが明らかであるときは、建物の所有者においてこの違法状態を解消させ、確定的に建物が除却命令の対象とならなくなったなど、建物が今後も存続し得る事情を明らかにしない限り、建物の所有者が隣接地の所有者に対し下水管の敷設工事の承諾及び工事の妨害禁止を求めることは、権利の濫用に当たる。(最判平成5年9月24日)

建太郎「Aの要求が権利の濫用に当たるという話なんだな」
胡桃「そうね」

※参考条文
民法
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。


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