宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-2

民法
(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。
 
(相続開始の場所)
第八百八十三条 相続は、被相続人の住所において開始する。
 
「被相続人の死亡によって開始されるんだ。被相続人って何者だ? 」
 成金組長の問いに、古鉄若頭は頭を掻いて答える。
「死んだ者のことです」
「相続人というのは分かるな。死んだ人から財産を受け継ぐ人間のことだ」
「へい。わかります」
「侠元先生が質問したことは、同時死亡の推定に関わりのあることだ。民法の第三十二条の二を読んでみろ」
 
民法
第六節 同時死亡の推定
第三十二条の二 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
 
「今回、わしは、不動産王の宅本健一を消せと命じた。宅本健一だけでない。その後妻の宅本春子も一緒に始末しろと命じた」
「へい。間違いなく、二人とも殺しました」
 
 不動産王の宅本健一は、堅気の人間である。彼は、父親から受け継いだ不動産業を発展させ、多数の不動産を保有し、その資産の総額は数千億円にも達すると言われている。政界にも進出し、一時は都知事に選ばれるかというところまで行ったが、失言のオンパレードが災いして、都知事の座を逃した。
 今は、政治からは退き、七十歳にして二十代の若い後妻を娶り、悠々自適の生活を送っている。
 彼には、病死した前妻との間に子供がいたが、その子供たちは、不可解な死に方をしている。自殺、事故といった具合だ。警察は深く捜査していないが、殺されたというのがもっぱらのうわさだ。
 今、宅本健一が亡くなった場合、その遺産を受け継ぐのは、若妻の宅本春子である。
 相続権のある子供はおらず、孫にあたる者もいないので代襲相続は発生しない。
 親はもちろん、既におらず、弟――宅本建次が一人いた。宅本建次も病死しており、甥の宅本建太郎がいるばかりである。宅本建太郎は、兄弟姉妹の子供として代襲相続する。
 つまり、若妻の宅本春子と、甥の宅本建太郎が相続人になるということだ。
 
民法
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
 
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
 
(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
 
 
「もしも、宅本健一が死亡した後も、宅本春子は、しばらく生存していたということが分かれば、宅本健一の遺産は宅本春子が相続してしまうということになるんだ。宅本建太郎も兄弟姉妹の子供として代襲相続する。分かるよな? 」
 成金組長の話に古鉄若頭が「へい。わかります」とうなずく。
「そうなると、宅本春子がその後、死亡したとすると、宅本春子を中心とした相続関係が始まる。宅本春子の親が遺産を受け継ぐということになってしまうんだぞ! 」
「それは面倒なことになりますね……」
「成金組長。そうとは限りませんよ」と侠元先生が手を上げて制する。「宅本春子のお腹には、宅本健一の子供が宿っています。つまり胎児がいます」
「あっ。そうでしたな。古鉄、胎児がいる場合はどうなる? 」
「へい……。胎児は……」

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