★今日の問題★

 日本国憲法の公布までの事実過程について、「明治憲法の改正」と「新憲法の制定」をキーワードに問題点を指摘せよ。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「これは日本史の問題? 」
胡桃「そうね。法制史の問題とも言えるわね。まず、日本国憲法は、新しく制定されたわけではなくて、明治憲法を改正するという手順を踏んで制定されたのよ」
建太郎「明治憲法というと、大日本帝国憲法と言う名前の憲法だよな。確か、伊藤博文が作ったんだよな」
胡桃「大日本帝国憲法の第73条には次の規定が置かれているのよ」

大日本帝国憲法
第73条 将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
2 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス

建太郎「憲法改正の要件が定められていたわけだな」
胡桃「日本国憲法は、この規定に基づいて、改正されたわけね」
建太郎「なるほどな」
胡桃「ただ、大日本帝国憲法は、第一条に、大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治スとあるとおり、天皇主権を根本としていたのよ」
建太郎「天皇が一番偉かったんだな」
胡桃「それに対して、日本国憲法は、第一条で、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。とあるとおり、天皇は象徴に過ぎない。主権は日本国民が有する。ということで、天皇主権から国民主権にがらりと変わったわけね」
建太郎「うん。日本史とかでも勉強したような話だな」
胡桃「そこで問題になるのが、天皇主権を国民主権に置きかえることは改正の範疇を超えているのではないかということなのよ」
建太郎「全く違う憲法に変わっちゃったからだな」
胡桃「そうよ。だから、日本国憲法の成立は無効ではないかという議論もあったのね。それを踏まえて答えを確認してね」

 当時の議会は、日本国憲法を明治憲法73条の改正手続きに従ってこれを議決し、天皇の裁可を経て、日本国憲法として公布した。
 形式的には、天皇主権を根本とする「明治憲法の改正」の体裁を取っているが、日本国憲法の内容は、国民主権に立脚する「新憲法の制定」と言える。
 天皇主権を国民主権に置きかえることが、「改正」の範疇を超えており、日本国憲法の成立は無効ではないかが問題になった。

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

https://new.novelzidai.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?