★今日の問題★

 Aは、後見開始の審判を受け、Cが成年後見人に選任された。その後、Aは自ら所有する甲土地について、Bとの間で売買契約を締結した。
 Aは、この契約に先立ち、Cから同意を得ており、かつ、契約締結時にAは完全な意思能力を有していた。
 この場合は、AとBの売買契約は有効であり、AやCはこの契約を取り消すことはできない。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「むむっ……。これはそのとおりでいい? 」
胡桃「そう考えてしまうかもしれないわね。でも、成年被後見人がどういう人がという基本を押さえていれば、引っかからないはずよ」
建太郎「うん? 」
胡桃「まず、条文を再確認してね」

民法
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

胡桃「成年被後見人は、日用品の購入その他日常生活に関する行為以外の財産行為については、「行為能力」を有しないものとされていることは読み取れるわね」
建太郎「うん」
胡桃「ということは、たとえ、成年被後見人が契約当時に完全な意思能力を有していたとしても、その契約は取消し得るものとなるのよ」
建太郎「あっ。そうか。完全な意思能力があるかどうか考慮せずに、契約を取消すことができるわけか。それが成年後見制度の意義だと」
胡桃「そうよ。そしてもう一つ忘れてはならないことは、成年後見人には同意権はないということね」
建太郎「おう。すると、設問のCから同意を得たというのも、意味がないということか」
胡桃「そうよ。Cの同意には何等の法的効果もない。ということね」
建太郎「なるほど。そういうふうに考えるのか」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

https://new.novelzidai.com/

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