見出し画像

シングルマーチング


#週刊少年マガジン原作大賞 #企画書部門

キャッチコピー
できっこないことをやらなくちゃ



あらすじ
マーチングバンドを結成しようとしたら自分しかいなかったので、仕方なく相棒のトランペットと一緒に演奏することにしました。

1話

初夏
蝉の鳴く声もかすむほどの楽器の音が体育館から漏れる。

俺(有馬聡)10歳は親戚がマーチングコンテストに出るということで、人数合わせの為に来ていた。
楽器を吹くだけなんて退屈だろうとおもっていたが、そんなことは一つの音でかき消された。

指揮棒がまっすぐ上がるとトランペット奏者一人が舞台の真ん中で演奏を始める。
タイトルは「ハトと少年」
そして4節目を吹き終わるとマーチングバンド隊は動き始める。
同じ向き同じ角度で楽器を吹きながら行進していく。
途中交差しながら演奏をするので、楽器同士が当たらないのかハラハラした。

そんな楽器行進をみて、つまらないと思ったのが間違いだと有馬少年は思った。
そして、自分もこんな行進しながら演奏したいと思ったのだった。

しかし、中学校に入るときその思ったことは実行には移せなかった。

理由は
「人数がいないべ」
だった。

それもそうだ。有馬が通う学校は過疎化が進んで1年から3年合わせても10人しかいない。
しかも、10人中9人はもうすでに別の部活に入っている。
さらに、2年3年に上がっても楽器を吹くやつらは別の学校に行ったので、仲間が増えることはなかった。
仕方ないので、動画を見ながらひとりで3年間練習した。

そして高校性になり、やっと仲間が増えると思った矢先

先生から告げられた。
「マーチングはしんどいからやりません。」

ひどい仕打ちだった。
だが、大勢の行進や舞台のど真ん中で演奏するトランペットに憧れる有馬はあきらめきれなかった。
そこで、人数を集めるために、動画を作成することにした。

お題はマーチング×アクロバット

注目度は高い方だろうと踏んだ。
早速練習を開始した。
トランペットを持ちながら宙返りは結構難しい。
さらには楽器を傷つける可能性もある。

だが、人数集めの為と思って失敗を恐れずにやった。

そして動画が完成する。

つたない編集だが、分かる人だけに伝わってほしい。

出来上がった動画はこうだ。

テーン・ハット

パレード・レスト

セット・アップ

マーク・タイム

ハトと少年を吹きながら左足をまっすぐ前へ
姿勢を崩さす顔を上げ行進する

一通りふきおわたっら宙返り
次の曲
シングシングシング
でリズムをとりながら円を描くように行進する
最後にお辞儀をして動画は終わる

一人なので、勢いも威勢もないが迫力は伝わってほしい。
こんな感じでマーチングバンドをやる人を募集した。

2話

動画は6再生。
全然響いていなかった。

結局この日もマーチングの練習を一人でやった。

そんな時、
「なにこれ!楽器への冒涜じゃない?」

ツインテールの変な奴は現れた。
「ねぇ聞いてる?マーチング×アクロバットって。楽器が壊れたらどうするの?」
「楽器は消耗品です。」
「知ってるわよ。でも芸術品でもあるのだから大事に扱いなさい!」
「はい。」
有馬はから返事で答える。
「いい!マーチングてのはね」
「!マーチング知ってるの?」
「知ってるも何もやってたの。ケガしてできなくなったけど・・・」
「じゃ一緒やろ!」
「人の話聞いてた?ケガしてできないの!」
「そ。じゃ、立つだけでもできるパーカッションか指揮どっちがいい?」
「いや、パーカッションも指揮も歩くときありますけど!」
「曲や場所によるじゃん。」
「うちは1人しかいないから動かなくてもおk。できればパーカッションがいいな。」
「指揮いないじゃん。」
「パーカッションいればいいでしょ!」
「よくない!」
ツインテールの子はため息をつきながら腕くみをした。
「基礎がなってないわね。いいマーチングってのはね。目でも楽しんでもらえるように行進するの。しかも音楽と動きの調和がとれることが大前提。」
「うん。」
「さらに曲想にあった動きも必要になってくる。」
「はい。」
「なので、大勢いるのは、曲想に合わせるためよ。カラーガードは視覚的表現に使う為、目立ちやすい。ドラムはリズム隊で必須。金楽器も管楽器も必要だし、」
「ねぇ。マーチングが好きなことはわかったから、もう練習の続きしていい?」
「はい?!まだ終わってって。。足の動きは忠実ね。。」
「ネットに上がってる動画みて練習してる。」
「フーン」
「ね。マネージャーならして上げてもいいわよ。」
「え?いらない」
「なんでよ!いるでしょ。」
「だって一人だから同好会も部活も申請できなかったよ」
「うそ。」
「ほんと。予算の問題だって。」
「世知辛い!じゃ、やっぱりマネージャー兼アシスタントいるんじゃない?」
「?」
「お金を貯めるのと人数集めはマネージャー兼アシスタントの役目でしょ」
「えっと。」
「仲間になってあげる!正直演奏が良かったから気になってたの。」
「はじめからそういえばいいじゃん。」
「うっさいわね。かける言葉が見つからなかったのよ。それに危ない動きしてたから。」
「アクロバットって危険を伴うことあるよ。でもやってみないとね。」
「そうね。でも、楽器持ってアクロバットは禁止!楽器が当たって失明もしくは歯が欠けることあるんだから。」
「え?分かった気を付ける」
こうして、ひとりマーチングから仲間が一人増えた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?