キッチンの奥にしまったのは、やさしい思い出と未来への願い。
私は育児しながら、自分の子供時代をなぞっているのかもしれない。
実家のキッチンには、海外の食器とグラスが並んでいる。
誕生日やクリスマスなど、ちょっとしたハレの日に使うものだ。
食器集めが趣味だった母は、父が出張に行くと必ず「食器やグラス」をお土産に頼んでいたらしい。
幼いころから何となく視界に入っていたそのちょっと高そうなグラスを、初めて使ったのは12歳の時。
寒い時期だったと思う。
そのころ母は家事を一手に担っていた上に仕事が忙しく、反抗的な娘を2人も抱えていた。