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つれづれなる恋バナ【歴史長編恋愛小説】

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『徒然草』の著者・卜部兼好(兼好法師)が令和の世の読者に贈る、自らの若かりし日の淡く切ない恋愛話。  時は鎌倉時代後期。二十六歳の兼好は有力貴族の邸宅に執事として務めている。ある…
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記事一覧

つれづれなる恋バナ 序章【歴史長編恋愛小説】

序章  なんと。「令和」なる世に生きる諸君の中には、硯よりも小さな、鉄のような素材ででき…

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第一章 出会い【歴史長編恋愛小説】

あらすじ・序章はこちら 第一章 出会い  京の都に、徳治三年(一三〇八)の春が訪れた。  …

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第二章 笑顔と涙と【歴史長編恋愛小説】

第二章 微笑みと涙と  十一月の夕暮れ近くの風が、古い邸宅の中にも伝わってくる。今日の風…

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第三章 秘めたる思い【歴史長編恋愛小説】

第三章 秘めたる想い  新帝の即位礼は十一月十六日、太政官庁にて盛大に執り行われた。   …

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第四章 月夜に君は【歴史長編恋愛小説】

第四章 月夜に君は  無官のまま、卜部兼好は年を越した。  新帝・花園天皇の即位に伴い改元…

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第五章 未来をともに【歴史長編恋愛小説】

第五章 未来をともに  神官の家系である卜部家は、新年の行事がようやくひと段落していた。 …

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第六章 移りゆく季節【歴史長編恋愛小説】

第六章 めぐる季節  春から初夏へと移ろいゆく季節。ほかほかとした風がそよぎ、京の都は心地いい陽気に包まれている。  四月中酉(中旬)の日、賀茂祭が色鮮やかに都大路を彩る。御所から、例祭が催される下鴨神社と上賀茂神社までを、華やかな行列が練り歩く  いま花園帝は二条富小路内裏に居している。そこから衣冠などに飾りをつけた勅使、供奉者らが行列をなして富小路を北上し、下鴨神社を経由し上賀茂神社に参向する。その行列自体が「路頭の儀」と呼ばれる儀式の一環で、洛中を颯爽と進んでいく。 「

つれづれなる恋バナ 第七章 まことの心【歴史長編恋愛小説】

第七章 まことの心  延慶四年(一三一一)の年が明けた。  正月三日、花園帝の元服式が二条…

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第八章 旅立ちの橋【歴史長編恋愛小説】

第八章 旅立ちの橋  花散らしの雨は、三日三晩続いた。  地面を叩きつける轟音を伴う激しい…

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 第九章 いつでも微笑みを【歴史長編恋愛小説】

第九章 いつでも微笑みを  時間はゆっくりと流れるが、だが過ぎてしまえばあっという間に感…

羽野京栄
1か月前
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つれづれなる恋バナ 終章【歴史長編恋愛小説】

終章  年を重ねた今、実感することがある。昔の思い出とはなんと美しいものだろうと。夜空に…

羽野京栄
1か月前
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