教育支援センターで頑張ってたaちゃん へ

教育支援センターで頑張ってたaちゃん へ

 お久しぶりです。お元気ですか?私のこと、覚えていますか?

 aちゃんと出会ったのは小学校4年生のとき。aちゃんが私のクラスに転校してきて、いつの間にか仲良くなってたよね。5年生になって、もう一人、mと三人でよく遊んでたなあ。aちゃんのアパートの隙間にレジャーシート引いて、秘密基地!って言って色んなことしてたよね。

 aちゃんは発想力が豊かで、秘密基地のこともそうだけど、遊びのアイディアがぽんぽん出てくるとことがすごいなってずっと思ってた。当時は誰も携帯を持っていなかったから、だからこそ手紙を沢山書いたり、交換ノートを始めたり。

 私は習い事が忙しくて、それまで友達と放課後遊ぶことってすごく少なかった。だけど二人は、私の予定に合わせて遊んでくれたよね。aちゃんのママにも沢山お世話になったな。元気にしてるかな。

 aちゃんは身体が弱かったり学校が苦手だったりで、登校する日はあまり多くはなかったね。だけど、交換ノートを届けたいから頑張って学校来た、って、私たちが登校のモチベーションになってることが本当に嬉しかったんだ。それまで学校が苦手な子に出会ったことがなくて、どこか他人事みたいに思ってた。だけど、aちゃんと出会って、私は広い世の中のことを知った。色んな人がいて、色んな問題を抱えていて、でもみんな頑張って生きてる。

 中学校に入ると、aちゃんは最初の一週間を除いて学校に来られなかったね。私たちも部活に忙しくなって、小学生の頃みたいに頻繁にaちゃん家に顔を出せなくなっちゃって、本当にごめんね。私たちがもっと頑張れたら、aちゃんの勇気に繋がったかも知れない。

 だけどあるとき、aちゃんから手紙が届いて、教育支援センターで頑張ることに決めました、って報告してくれたときは嬉しかった。その手紙には切手がなかったことにも、勿論気づいてたよ。
 aちゃんがまだ私のことを友だちだと思ってくれていたことが嬉しくて、すぐにお手紙の返事を書いた。私も、切手は貼らなかった。

 高校生になって、本当に連絡はなくなった。今どこで何をしているかなんて分からない。もうあのアパートには知らない人が住んでいて、秘密基地はなくなってしまった。
 だけど、私の友だちの一人に、aちゃんがいることだけは変わらない。交換ノートを回したあの日も、学校で一緒に笑ったことも、欠席カードを届けに行ったことも、aちゃんに貰って初めて飲んだミルクティーが苦手だったことも、全部全部、変わらない。

 いつかどこかで、なんて簡単には言えない。私たちは、ずっと昔に違う道を選んでしまったから。それはもう交わらないのかも知れない。だけど、この狭い世界の中で、もしかしたら偶然見つけることがあるかも知れない。

 そのときは、お互い笑えてるといいな。

 aちゃんの苦手な寒暖差の激しい季節になってきたけど、そして花粉もすごく飛んでて大変だけど、どうか身体を大切に、ママを大切に、幸せに過ごしてください。

2021年2月16日 はのと


 ps. 小学生の頃aちゃんが好きだと言っていたジャニーズJr.のジェシーって、もしかして最近よくテレビで見るあの人なのかな。

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