タメ以上の異性は初手若干嫌いから入る

 こんばんは。旅行に行く準備をしました。大学の同期と行きます。4年生になってお互い進路のことも落ち着いたので、卒業旅行的な感じです。そっか、もう卒業なんだ。最後の学祭も終わって、なんか色々なことが最後になってくるのって、とっても寂しいです。

 はのとです。はじめまして。


 なんだか嫌なタイトルでごめんなさい。これには私の性格が深く関係していて、最近になってもまだまだ生活に支障をきたしているので困っています。


 私の高校は女子校でした。中学や小学校から女子校だった人からしたら、たったの3年間で何をと思われるかもしれませんが、私はこの3年間で異性がとっても苦手になってしまいました。大学は共学に戻ったのですが、そこで気づいた感じです。

 高校生時代、制服で歩いていると、知らない人に声を掛けられるという経験を初めてしました。全然嬉しくもなんともありません。怖かっただけです。怖くて怖くて、逃げたくても走り出せなくて、ただただ心臓がバクバクと言いながらその時間をやり過ごした記憶があります。慣れることなんてなくて、毎回毎回、突然訪れるその恐怖に怯えることしかできませんでした。

 中学生の頃はそんなことなかった。びっくりです。私、中学時代はむしろ異性の友だちの方が多く、同性の友だちは本当に限られていたので、異性に怯える自分に驚きました。


 そもそもナンパというのはですね、可愛いとかそういうのでされるんじゃないんですよ。軽そうだから、ちょろそうだからされるんです。田舎の女子高生なんて、格好の餌食ですよ。簡単についていきそうでしょ?

 私は背が147cmと低くて、1人で歩くときは基本下を向いている人なので、そりゃあもう、声かけるよね。ちょろそうだよね。分かるよ。高校生だから髪もメイクも何もしていないし、ね。

 その証拠に、大学生になってブリーチして、赤とかピンクとか金とか髪色を派手にしていたときは、一切声をかけられませんでした。そして実習のために髪色を戻した途端にまた逆戻り。なんてこった。


 そして、私はまあ、そうです。ちょろいです。だから高校を卒業するとき、友人みんなに心配されました。「はのとはちょろいから、悪い男に騙されないか心配。」私も同感です。自分が心配でした。

 だからさ、必要以上に警戒心を強くしてしまったんですよね。その結果、入学初日から異性の目を見ることができなくなりました。一定の距離に近づかれると落ち着かなくなりました。話しかけられた日には、声が出ずに表情や頷きで答えることしかできなくなりました。


 部活に入ってからもそうです。軽音楽部だったので男性が圧倒的に多く、当時は8:2くらいの割合だったのかな? 同期もそうで先輩もそうで、私はいっつも同性の同期の後ろに隠れてひそひそと生きていました。

 高校生までコミュ力おばけとまで言われていた私が、大学に入った途端にこの始末。挙句の果てに、部活の2個上のデリカシーのかけらもない先輩に、「はのとって陰キャだよね。」と言われました。うるせえ。

 学科のクラスの男子とは、夏休み前になってもなお、英語でしか話したことがありませんでした。つまり、授業中の必要最低限の会話しかしないということです。日本語できちんとしか会話をできるようになるまでは、1年経ってもなりませんでした。

 特に活発な人が苦手で。普通に話しかけられただけで、怯えて冷たく接してしまう。なんでだ。なんかさ、勝手に比べちゃうんだよね。活発な子の周りには活発な子が多くて、そういう子たちみたいにちゃんと会話できないから、私面白くないから、だったら最初から冷たくしちゃおう、みたいな思考回路。よくないよ、本当に。


 そんな感じで異性に怯えながら大学生活を送って、3年生になりました。登校禁止令が解除されると同時に部活も解禁されたんですけど、当然、新入部員が入ってくるわけです。

 私の代は、部活を1年しか経験していないまま、幹部になりました。幹部として、1年生と2年生の新入部員を集めて、歓迎しなくてはいけなくなる立場になりました。私は、副部長に選ばれました。

 部活動が禁止されている間に退部者が続出した私の部活では、本当に人手不足が1番の問題でした。軽音楽部だから、人がいないとバンド組めないしライブもできないの。だから、せっかく入ってきてくれた後輩を逃すわけにはいかなくて、ほとんどが異性だったけど、私は義務感から必死に色んな子に話しかけました。

 異性と目も合わせられなかった私が、自分から話しかけたんです。どれくらい頑張ったか、想像してください。本当に頑張って想像してください。めちゃくちゃ頑張って、後輩を接待した次の日には余裕で熱を出して体調を崩しました。

 そんなことをしているうちに、後輩たちは懐いてくれるようになりました。そうだった。後輩って、多くの場合、無条件に先輩のこと慕ってくれるんだった。純粋に向けられるポジティブな感情に、私は酷く安心して、後輩なら、異性でも普通に話せるようになりました。


 後輩たちと話せるようになってから、私は、本当に、本当に少しだけ、タメ以上の異性とも会話ができるようになりました。本当に少しだけどね。ありがとう後輩たち。

 たぶん、異性に女性扱いされるのが得意じゃないんだなって気付いたんです。最近。後輩はさ、異性である前に、先輩として接してくれるじゃないですか。それに、まあメジャーなのは年上の男性に惹かれる女性で、年上の女性に惹かれる男性というパターンは、前者に比べたら少ないと思っています。そこに安心していたのかもしれません。

 女性である前に、1人の人間として、先輩として普通に接してくれる後輩たちのおかげで、私は、男の後輩4人対私という組み合わせでも楽しくお酒が飲めるようになったの。すごいでしょ。本当に後輩ありがとう。


 4年生になって、部活に年上の異性がいなくなりました。同期はもともと同性しかいないも同然だったので、事実上、年下しかいなくなったわけです。私の時代来た。そう思って、3個下の後輩も可愛がって生きていました。

 そして先日。学祭があって、久しぶりにOBを目にしました。やっぱり苦手でした。やっぱり駄目でした。久しぶりに、部活中に少し緊張する感じを思い出した。敏感すぎるよね。もっと適当に捉えられたらいいのに。


 そんな私に、とどめを刺す出来事が起こりました。起こったというか、起こっていたというか。3個下の、最近仲良くなった一緒にバンドを組んだ異性の後輩がいるんですけど、その友だちが学祭見にきてくれていたみたいなんですね。

 で、「あのキーボードの子可愛かった」と言っていたみたいです。私は、異性に言われる「可愛い」は、好きな人以外受け入れられません。ちょっと嫌な気持ちにすらなってしまいます。直接言われたわけじゃないのにね。自意識過剰だね。分かってるよ。

 後輩が、「先輩だよ」と伝えると、「2年生?」と返され、「4年生」と。すると、なんて言ったと思います? 「うわー、失恋した。」だそうです。ぶっ飛ばされたいの?

 同期や2年生だと思われていたことにはシンプル腹が立ったし、3つ年上だからって失恋したって言われたのも失礼過ぎて腹が立ちましたが、何より、連絡先欲しいって言ってたという最後の一撃で、あーーーもう無理ーーーーってなりました。

 顔? 顔なの? 私可愛い? ありがとうでも顔だけで選ばれてもちっとも嬉しくないというか、自分で自分のこと可愛いとは思っていないので、全然納得できないというか、話は最初に戻るけど、結局可愛いとかじゃなくてちょろそう、簡単そう、っていうのが本心なんじゃないの?

 っていう、ネガティブというかひねくれ思考。何を考えているんだか。普通に褒め言葉なんだから素直に受け取ってよ、私。


 そう、褒め言葉を素直に真っすぐ受け取れず、すぐに裏を勘ぐってしまうのが私の悪いところです。本当によくない。面倒だよその反応。可愛いって言われたら、普通にありがとうって返そうよ。心から思いながら。

 もっと質が悪いのは、私が「私可愛いから」キャラなところです。人から可愛いと言われることが苦手だから、自分から先に言って、「はいはい言ってろ」みたいな反応を待ってしまう。だるすぎない???


 分かってるけど、直せない。ちょっとしたデートDV的な経験のせいで発声障害を患い心療内科に通っている私は、やっぱりタメ以上の異性は初手若干嫌いから入ってしまう。ダメだよ本当に。男とか女とか、そういうの以前に、1人の人間として見なよ。私がそれを実践しなよ。

 社会に出たらまじでこの対異性コミュ障は百害あって一利なしだからね。そろそろ真剣に向き合おうと思います。


 恋人は年下です。可愛くてたまらない。

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