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【森のキャンパス・スペシャル】森とあそぶ──フィンランドの森あそび

今年度最後の「森のキャンパス」は、スペシャルバージョン!
「フィンランドの森あそび」と題し、飯能の森でフィンランドの文化を満喫する半日授業です。
3月26日(日)、この日は寒の戻りでやや肌寒く、小雨も降る中でしたが、7組16名の親子が参加してくれました。

今日の先生は、森香織先生(カウンセリングルーム・フォレスティエ代表)と、おなじみ長谷川さっちん先生(自然あそび企画舎・インタープリター)です。

午前10時、木の駅・ものづくりに集合して、まずはライ麦パン作りからスタート。
香織先生のガーデンで栽培されたライ麦を使って作った生地を、みんなでこねこねしていきます。

香織先生の見本を見ながら、子どもたちもパン作りに挑戦!
綿棒を使って上手に伸ばせましたね

子どもの拳サイズに小さくちぎって綿棒で薄く伸ばし、端からくるくる丸めて形を形成。ダッチオーブンの底に、パン同士がくっつかないよう等分に隙間を空けて並べます。
ここからしばらく発酵タイム。イースト菌(酵母)が発生させる炭酸ガスでパン生地を膨らませる大事な工程です。

パンの発酵を待っている時間を利用して、フィンランドの伝統工芸「ヒンメリ」をつくるワークショップを行いました。

「ヒンメリ」ライ麦の藁をつないで作ります

ヒンメリ(himmeli)は、乾燥させた藁に糸を通して作る室内装飾品です。スウェーデン語で「天」を意味する「himmel」が語源とされ、現地では幸運のお守りとして親しまれています。多面体が組み合わさったヒンメリが風に揺れると、光に照らされて藁が輝いて見えることから、別名“光のモビール”とも呼ばれます。
今回のワークショップでも、ライ麦の藁と糸を用い、本場フィンランドと同じやり方でヒンメリづくりに挑戦しました。

単純そうに見えて、意外と難しい…

ライ麦は麦の中でも背が高く、1.5メートルから、高いものでは3メートルまで育つ品種もあります。フィンランドのような寒冷地でも育つ植物のため、低温や乾燥にも強いのが特徴です。
そんな丈夫なライ麦の藁をよく干して、あらかじめ同じ長さに切り揃えたものを皆さんにお配りしました。藁の中はストロー状の空洞になっていて、そこに糸を通し、12本つなぎ合わせて正八面体に組み上げていきます。立体を整える作業は少し難しかったけれど、親御さんの助けも借りながら、素敵な作品ができあがりました。

糸を通して三角形を作っていきます
だんだん見本の形に近づいてきました!

みんなのヒンメリが完成する頃、パン生地の発酵も無事終わりました。
いよいよピザ窯へ投入!
木の駅・ものづくり駅長の鴇田節夫さんが窯の火を調整してくださいました。

立派なピザ窯、火加減がとても難しいのです

このピザ窯、去年の夏頃から制作が始まり、先日ついに完成した、木の駅の新しい仲間です。火を燃やす際の熱を利用してお湯も一緒に沸かせるボイラー一体型。木の駅の職人たちの腕と知恵が詰まった、とても立派なピザ窯です。薪をパチパチと焦がす炎すら、食欲をそそります…。

焼き上がりまでの時間、香織先生がフィンランドの民族楽器「カンテレ」の演奏を聞かせてくれました。

香織先生のカンテレ演奏、とってもきれいな音です

カンテレは、日本の琴のように横長の木に弦が張ってあり、膝上もしくは卓上に置いて、指で弦を弾いて音を出す楽器です。短い弦ほど高い音、長い弦ほど低い音が出ます。柔らかいながらも、よく響く優しい音色が特徴です。弾く場所や弦の押さえ方、弾き方でいろんな音を出すことができます。
子どもたちもカンテレに触らせてもらいました! ふだん触れることのない珍しい楽器、みんな興味津々です。

どんな音がするかな?

次に、さっちん先生から「森と川のおはなし」を聞きました。
川の水は、雨が降っていても晴れていても、いつも流れていますね。この水、一体どこから来るの?

さっちん先生の特別講義「森と川のおはなし」

そこには、実は森の存在が大きく関係しています。
雨が山に降ると、森がその水を吸収してたくわえ、少しずつ川に流していきます。1本も木の生えていない岩山だったら、降った雨はそのまま流れて終わってしまい、晴れた日に川は枯れてしまう。森は、いっぺんに水が流れてしまわないよう、その量を絶妙にコントロールしているんですね。だから、木が健やかに育つ森を守ることがとても大切なのです。
さっちん先生のイラストを使った説明は分かりやすく、子どもたちも真剣にお話を聞いていました。

今日も降ってるあの雨が、森を経由して川になっていきます

さて、そうこうするうちにライ麦パンが完成!

美味しそうなパンができあがりました!

焼きたてのライ麦パンはほっかほかで香ばしく、ふんわり窯の薪の匂いもして、家では食べられないおいしさです。何も付けずそのままで、ジャムを塗って…みんなあっという間に食べてしまいました!

おいしくって思わずみんな無言に…

雨で寒い日でしたが、おなかも心も満たされた、美味しくて幸せな1日でした。

ご参加いただきありがとうございました!

埼玉ハンノウ大学が主催する「森のキャンパス」は、飯能の豊かな自然を通して森と林業について学ぶ自然体験プログラムです。関東平野の起点ともいえる飯能の森を広大なキャンパスに見立て、飯能・名栗地区を中心に活動しています。
2022年度から新しく始まったこの授業には、毎回たくさんの方にご参加いただき、楽しい学びの時間を持つことができました。来年度も子どもから大人まで楽しめる多彩なプログラムをご用意して、皆様のお越しをお待ちしています。

新年度の授業は日程・内容が決まり次第、埼玉ハンノウ大学のホームページでお知らせしていきます。ぜひチェックしてくださいね。


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