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CPI後の為替介入

こんにちは。飯能高校探究部部長のギンです。
今日は、7月11日にアメリカのCPI(消費者物価指数)が発表された後に円が急騰したことについて話したいと思います。

CPI前後の為替の動き

21時30分にアメリカの6月のCPI(消費者物価指数)が発表されました。
全ての指標で下振れて中身を見ると粘着性のあるサービス価格や家賃も順調に下がってきていてディスインフレが進行していることが確認されました。

総合 前月比
結果:-0.1%
予想:+0.1%

コア 前月比
結果:+0.1%
予想:+0.2%

総合 前年比
結果:+3.0%
予想:+3.1%

コア 前年比
結果:+3.3%
予想:+3.4%

この結果を受けて、市場では利下げ観測が強まりドル売りで反応して初動で1円ほど円高ドル安に行きました。

https://www.cmegroup.com/ja/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html

アメリカのCPI(消費者物価指数)が発表された10分後から大きく円高に振れて160円台から157円台まで円高が進みました。

https://sekai-kabuka.com/
https://www.oanda.jp/lab-education/oanda_lab/oanda_rab/currency_power_balance/

為替介入

大きく円高が進んだ理由はおそらく為替介入が行われたことだと思います。
大きな経済指標であるCPIの10分後から為替介入が行われるなんて聞いたことも見たこともないのでかなり異例の介入だったと思います。

しかも、介入だと思われる値動きの後、すぐにテレ朝からリーク情報が出てたのもかなり衝撃だと思います。
介入の有無に関しては厳重に情報が管理されてるはずで4月29日と5月2日の為替介入に関してのリークも5月6日に出ていて少しは間が空いていたのでもし今回のリークが意図したものではなかった場合は政府・日銀の情報管理は脆弱と言えるので心配です。

介入規模の推定

何回も言っていると思いますが為替介入の額は、介入だと思われる値動きの2営業日後の日本銀行が発表する財政等要因と短資会社の財政等要因の予想の差によって推定できます。

短資会社が予想する財政等要因は介入による資金移動を反映していない数字に対して日本銀行が発表する財政等要因は為替介入による資金の移動も反映した数字であることがポイントです。

為替介入に関してはこれが最も速報性の高い情報だと思います。

今回の介入は額を推定するとまず短資会社の財政等要因の予想みるとセントラル短資は4000億円、上田八木短資は2000億円、東京短資は5000億円となっています。

それに対して日本銀行が発表した財政等要因の見通しを見るとマイナス3兆1700億円でした。

日本銀行が発表する財政等要因と短資会社の財政等要因の予想の差は3兆3700億円から3兆6700億円だということがわかります。

つまり、今回の為替介入は3兆5000億円前後の規模だったことが分かります。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp240716.htm


おまけ

今日の朝に『日銀が対ユーロでレートチェック実施 為替介入を準備か』という記事が出されていました。
一般的にレートチェックの後に為替介入が行われます。
今回のレートチェックのポイントは対ユーロというところにだと思います。
円安局面なので為替介入するとしたらユーロ売り円買いの為替介入になると考えられますがユーロ売り介入をするなら当然、相当量のユーロを持っておく必要があります。
過去の介入実績をみると1999年6月から2003年5月まで全18回、総額で1兆753億円の円売りユーロ買いの為替介入が実施されていました。
この時に得たユーロを今もそのまま持っていれば政府は、1兆753億円分のユーロを持っているということになります。
しかし、1兆753億円分ではかなり心もとない額しかなくてしょぼい介入になってしまうのではないかと思います。
今まで、ユーロ売り円買いの介入を実施したことはありませんし対米ドルなら何十兆円も膨大な介入が実施できますがユーロなら小規模の介入になってしまうと思うのでなぜ対ユーロでレートチェックをしたのは謎です。

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/feio/foreign_exchange_intervention_operations.csv

まとめ

今回は、7月11日にアメリカのCPI(消費者物価指数)が発表された後に円が急騰したことについて話しました。

足元の円安は、国際収支関連のフローや金利差ガン無視で完全に投機による円売りが原因なので為替介入は結構効くと思います。
神田眞人財務官は今年の7月末で財務官をやめてしまうので最後の為替介入が頑張って欲しいです。

これからも経済、物価、金融情勢について話していきたいと思うのでよろしくお願いします。

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