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なぜお金に価値があるのか

こんにちは。飯能高校探究部部長のギンです。
今回は、なぜお金に価値があるのかという話をしたいと思います。

商品貨幣論

商品貨幣論とは、金などの貴金属のような価値のある商品が貨幣の価値を裏付けているという考え方です。世の中の多くの人が抱いている貨幣観で、お金(貨幣)の価値は人々が貨幣そのものに価値があると信じていることによって担保されると考えられています。

租税貨幣論

租税貨幣論とは、政府が税を徴収する際、法定通貨(日本なら日本円)のみ受け取ることにし、そこから労働の対価や売買の支払いで流通することになったというものです。
この租税貨幣論について面白いと思った話を紹介したいと思います。

モズラーは海辺にプール付きの豪邸を構えていた。そこでは二人の子供も暮らしていた。あるとき家を清潔で心地よく暮らせる状態に保つため、子供たちに協力を求めたという。庭の芝生を刈り、ベッドを整え、食器を洗い、車を洗うなどの手伝いをしてほしい。貴重な時間を費やしてくれたら、お返しに報酬を払うよ。自分のベッドを整えたら、パパの名刺を三枚あげよう。皿を洗ったら五枚。洗車は十枚、庭仕事を担当したら二五枚。それから数日、さらには数週間が経つうちに、家はとても住めない状態になっていった。芝生は膝の高さまで伸びた。台所のシンクには汚れた食器が積み上がり、車は海風が運んでくる砂や塩にまみれた。「おまえたち、なぜ何も仕事をしないんだ」とモズラーは子供たちに尋ねた。「手伝ってくれたらパパの名刺をあげると言ったのに」。子供たちは呆れたように答えた。「ねえ、パパ。なんでパパの名刺をもらうために働かなきゃいけないわけ?なんの価値もないのに」
このときモズラーははたと気づいた。子供たちが一切手伝いをしないのは、名刺を必要としないからだ。そこでモズラーは子供たちにこう言った。君たちに手伝いは一切求めない。ただ毎月、パパの名刺三十枚を払ってほしい。それができなければ、いろいろな特典を取り上げる。テレビもプールも使わせない。ショッピングモールにも連れていかない。天才的なひらめきだった。モズラーは自分の名刺でしか払えない「税金」を子供たちに課したのだ。ようやく名刺に価値が生まれた。
それから数時間も経たないうちに、子供たちは寝室、台所、庭の掃除に走り回っていた。それまで価値のない長方形のカードに過ぎなかったものが、突然価値のある金券と見られるようになった。

財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕生(ステファニー・ケルトン著、早川書房社、2020年)

自分の考え方

貨幣というものを導入し流通させる時には政府が税を徴収して強制的に貨幣を流通させるため租税貨幣論的な考え方が通じるものの現在のようにすでに貨幣が流通している状態では国民みんながなんとなく貨幣そのものに価値があると信じていることによって貨幣に価値が生まれているというような商品貨幣論的な考え方が通じるものであると思います。

まとめ

今回は、なぜ貨幣に価値があるのかについて話しました。
次からも、経済、物価、金融について話していくのでよろしくお願いします。




〜顧問のつぶやき〜
名刺に価値が生まれた話、面白いですね。
「紙切れ(紙でできた物という意味で)」の紙幣で、どれだけ人生が左右されるのかを考えると、時々不思議な気分になります。
ギンにはお金の授業をしてもらいたいなー。

次の記事も楽しみにしています!

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