肺癌治療記・アリムタ編
こんにちは。ステージIV肺癌患者です。
9月頭に前々から計画していた北京旅行に行き、最高に楽しい時間を過ごしてきました。しかし、その楽しい気持ちは帰国翌日の受診で一転しました。
いつもよりいい気分で病院に向かった私。予定通り採血と造影CTを済ませてから診察室へ入りました。テンション高く医師とスタッフさんたちにお土産の月餅を渡し、北京旅行がいかに楽しかったかを聞いてもらって和やかな空気。「ところで」とおもむろに医師はPCのスクリーンに映っていたCTの画像を示しました。「癌が大きくなっとるんよ」
意外なニュースでした。私は癌が発覚した今年の1月から分子標的薬のタグリッソを使っていて、それまでは非常に奏功していたのでした。医師の言うには、タグリッソが効かなくなったのかは分からないし、将来的に時間をおいて再び使うかもしれないけれど、今は点滴の抗がん剤に移行した方がいいとのことでした。色々質問をしつつ、ショックでボロボロ泣いてしまいました。
概して、癌の治療では色々な抗がん剤が次々に繰り出されます。選択肢は複数あるけれど、それを使い切ってしまうと終わりです。タグリッソはいつか耐性がついて効かなくなる薬だというのは分かっていたけれど、こんなに早く一つ目の選択肢が使用中止になるなんて思ってもいませんでした。心のどこかで、今の状態が何年も続くと考えていたのです。
看護師さんにティッシュをもらいながら次の抗がん剤「アリムタ」について聞きました。アリムタは3週間ごとに点滴で投与される薬で、吐き気や脱毛など、色んな抗がん剤でよく見られる副作用があります。副作用を緩和するため、投与前にビタミンB12の注射と毎日の葉酸の服用が処方されます。初めてのアリムタ点滴はこの日から9日後。早速ビタミンB12の注射を打って、薬局で葉酸の薬包を貰って帰りました。タグリッソはもう処方されませんでした。タグリッソはめちゃくちゃ高いので、この日はいつもと違ってお会計が安くて、それだけは嬉しかったです。
さて、アリムタ点滴当日。朝から病院に行き、血液検査とレントゲンと診察を済ませたらいよいよ点滴です。その部屋は病院の一番奥の方にありました。緩和ケア科の看護師さんが一緒についてきてくれました。部屋に入ると快適そうな椅子が数台とベッドが数台並んでいました。私の他には高齢の患者さんが1人だけ。
検温で37.5度という少し高めの体温になってしまったので少し慌てました。私は予測型の体温計だといつも体温が高めに出てしまうのです。せっかく覚悟を決め張り切って点滴を打ちに来たのに、中止になってはたまらないので一生懸命担当の看護師さんに説明しました。看護師さんは医師に連絡してOKを貰っていました。一安心です。
点滴は2時間ほど。ベッドに寝たまま行われます。ベッドの角度を調節して、快適にしたら点滴の針を刺してもらいます。私は血管が細いのでいつも手の甲で採血や点滴をしてもらっています。この日も手の甲でした。抗がん剤以外にも吐き気止めや生理食塩水を順番に点滴するので、点滴には時間がかかります。点滴中はNetflixで「サンクチュアリ」を観ていました。最近お相撲にハマっているのです。時々看護師さんが様子を見たり、点滴を変えたり、血圧を測ったりしにいらっしゃいます。食べ物や飲み物を持ってきても良いとのことだったので、次回はおやつを持ってこようと思いました。
ゴロゴロしていたら点滴は終了。なんてことありませんでした。点滴の抗がん剤の初回は入院して様子を見ながら行うことも多いそうなのですが、副作用は大抵点滴後2、3日ほどで現れるそうなので外来にしてもらいました。入院したらお金もかかるしね。お会計はこの日高額療養費の上限を超えたので抗がん剤が正確にはいくらかかったのか把握していません。分かっているのはこれまで2ヶ月に一回にしてもらってお薬代を節約していた戦略がもう使えなくなったことです。これからは毎月上限まで払わなくてはなりません。ちぇ!
点滴から10日ほど経ちました。心配していた副作用はおかげさまで大したことはありませんでした。3日目くらいにちょっとフラフラして吐き気があったのですが、もらっていた吐き気止めで対処できました。食欲は一瞬なくなったもののすぐ復活しました。実は痩せるのではないかと期待していたのに、ちっとも痩せませんでした。今日もご飯がおいしいです。
脱毛の副作用は点滴から1ヶ月ほどで出てくることが多いと聞きました。ただでさえ最近抜け毛が多いのに、もっと抜けるのは嫌だなぁ。たくさん抜けたら髪を剃ってウィッグにします。
というわけで、私の初めてのアリムタ点滴はこんな感じでした。忘れる前に記しておきます。
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