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ハーバード大学が光に反応して変形する単一材料から人工繊毛を作らはった!

繊毛は細胞から伸びた毛状の構造で、波打ち運動をすることで、単細胞の移動手段になったり、上皮細胞の周りに水流を発生させたりする。例えば、精子の鞭毛も繊毛の一種で、ヒトではそれ以外にも気管や脳室、輸卵管など、推進力を発生させる必要がある場所に生えている。

繊毛は単細胞生物からヒトに至るまで、多くの生体システムに共通して見られるメジャーな構造である。それは、この構造が進化の初期段階に生まれ、小さな単細胞が水の中で運動するのにきわめて効率的やったために、長い進化の過程で保存されてきたことを物語っている。

こんな素敵な生体システムを見た科学者たちは、案の定人工的に再現したいと思って、曲げ・ねじり・反転などの動きを行える小型ロボット用の微細な人工繊毛の設計を試みてきた。せやけど、微細構造で複雑な動きを模倣するためには、一般的には複数の素材を組合せて素材ごとに動きをプログラムする多段階の製造プロセスが必要となり、応用できるアプリケーションに限界があった。

そこで、この度ハーバード大学は光に反応して変形する1つの材料(光応答性液晶エラストマー)から作られた微細な人工繊毛(ピラー構造)を開発しはった!

液晶エラストマー:ゲルやゴムみたいに、高分子鎖が架橋分子によって結ばれたネットワーク構造を持ち、液晶分子の配列による異方性を持つエラストマー(弾性を持った高分子)のこと。
ピラー構造:柱を意味する英語。日本語では主に垂直方向に伸びた自動車の窓枠(窓柱)の意味で使われる。

開発された微細構造に光が当たって形状変化が起こると、まず光が当たった場所が透明になることで、光がマテリアルの奥まで届き、さらに変形が発生する。次に、材料が変形して移動すると、ピラー上の新しいスポットに光に当たり、その場所の形状も変化する。そして、光が当たらなくなった場所のマテリアルは元の形状に戻る。これが繰り返されることで、微細構造はストロークのような周期的な運動を行える。

実際、研究グループは照明角度・光強度・分子配列・微細構造の形状・温度・照射間隔・持続時間といった様々なパラメーターを調整することで、ダイナミックな繊毛運動を実現しはった。

このように動きをプログラム可能なミクロスケールの微細構造は、ソフトロボティクスや生体内で動作する医療機器、さらには動的な情報暗号化など、様々な分野で潜在的に変革をもたらすかもしれん!


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