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突然変異は量子力学のトンネル効果によって引き起こされていた?!

19世紀の物理学者たちの多くが「光は波(電磁波)や!」って考えてはった。せやけど、プランクっちゅう男は、ある温度に熱せられた物体が放出する光(黒体放射の分光放射輝度)について考えてるうちに、「光は粒や!」ていう突拍子もないアイデアを提唱しはった(正確にはプランクより前にニュートンも粒子説を主張してはる)。そして、彼は1900年に「光のエネルギーは非連続的な整数倍の値をとる」ことを表す「プランクの法則」を発表しはった。この法則は後に「プランクの量子仮説」と呼ばれ、プランク自身は「量子論の父」と呼ばれて1918年にノーベル物理学賞を受賞する。ここに「量子論」の歴史が幕を開けたのである。

その後、ハイゼンベルグやシュレーディンガーによって数学的な取り扱いが整備されたことで、分子・原子・電子などミクロな物理現象を記述する力学として「量子力学」が大成されていった。さらに近年では、量子力学と生物学の融合によって誕生した「量子生物学」の進歩によって、生命活動におけて量子的な効果が無視できないことがわかってきている。

例えば、渡り鳥は網膜上にある特殊なタンパク質を使って、電子の量子力学的なスピン運動が地磁気に及ぼす影響を観測することができる。これによって、鳥たちが量子力学を使って地球の磁場を頼りに飛ぶことができることが分かってきている。

また、植物の光合成では、化合物間で古典物理学に反した「電子のジャンプ」が頻繁に行われており、植物たちも量子力学を使って光合成効率を高めていることがわかってきている。

この電子のジャンプは「トンネル効果」と呼ばれ、量子の世界では小さな粒子の存在確率があやふやでその場所が確定していないために、粒子がエネルギー的に通常は超えることのできない領域(ポテンシャル障壁)を一定の確率で通り抜けて出現する現象である。このような現象は電子のような素粒子だけやなくて、DNAに含まれる水素原子(プロトン)でも起こることが知られている。

そこで、イギリスのサリー大学はDNA塩基対の正確なモデルを作成し、DNAにおける水素原子のトンネル効果の頻度を算出しはった。すると、水素原子の移動におけるトンネル効果は、予想されていたよりもはるかに頻繁に起きており、向かい合った塩基の反対側に容易に移動することが判明した!また、細胞内部の局所的な環境が好条件やと、水素原子は2本のDNA鎖の間を連続で移動していき、生物学的なタイムスケールよりもはるかに素早く水素原子のジャンプが行われることが分かった。

さらに、この変化がDNAの複製時など2本鎖が解消される直前に起こると、対になる塩基の分子構造が変化した「互変異性体」になってもうて、本来とは異なる誤った塩基を取り込む可能性が示唆された。複製時に間違った塩基対が取り込まれると、DNAには「点突然変異」と呼ばれる局所的な変異が発生し、生命活動に大きな影響を与えることもあるらしい。

算出された互変異性体のDNA内の占有率は1.73×10^(-4)であり、この値は生物の自然なDNA変異率(10^(-8)クラス)を大きく上回る値やった。実際の変異率のほうが低いのは、DNAの修復メカニズムが原因で、発生したトンネル効果が必ずしも突然変異につながるわけやないからやねんて。

一方で、一本鎖RNAのウイルスの変異率は10^(-4)クラスで、トンネル効果によってもたらされる互変異性体の出現率と極めて近似してたの!このことから、原始的な生命やウイルスなど核酸の修復能力が低い存在にとっては、トンネル効果は進化の原動力である可能性がでてきた!

「存在の曖昧さ」が「進化」を促しているかもしれんのか…
生命とはなんと儚いものか…
もののあわれ…


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