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【NICT】5G時代を支える大容量の光ファイバーを開発せよ!

インターネットで趣味や生活に必要な情報の収集、仕事もオンラインでできるのが当たり前になる中、世界中にデータってどんだけ転がってるかご存知?

アメリカの市場調査会社International Data Corporation(IDC)が2021年3月に行った発表によると、2020年に全世界で生成または複製されたデータ量は64.2ZB(ゼタ:10^21)らしい。これはDVD(4.7GB)約13.6兆枚分に相当する。この枚数のDVDを重ねると、月と地球を20往復くらいできるくらいの距離になる笑。データ総量の増加も著しく、2010年時点からは約60倍(988EB)、2000年時点からは約1万倍(6.2EB)にまで増加してる。

Credit: IDC’s Global DataSphere Forecast Shows Continued Steady Growth in the Creation and Consumption of Data

データ総量の増加に伴って、データ通信量もどんどん増加しとる。アメリカのコンピュータネットワーク機器開発会社Ciscoが2017年に行った調査によると、1984年には毎月17GBだった世界のデータ流通量は、2017年には約70億倍(122EB)にまで増加したらしい。さらにこの調査では、2021年には2017年の2.3倍の月間278EBまで増加するって予測してはる。

Credit: Cisco Visual Networking Index 2018

このように増大し続ける通信量に対応すべく新型光ファイバの研究が進行している。これまで中・長距離通信用として普及してきた光ファイバやと250Tbps程度が容量の限界やった。そこで、コア(光のトンネル)を増やしたマルチコアファイバや、モード(トンネル内を伝搬する経路)を増やしたマルチモードファイバの研究が進められてきた。

2020年12月に日本の情報通信研究機構(NICT)は15モードファイバで1Pbps(普及している光ファイバの4倍)の伝送実験に成功してはる。でも、マルチモードファイバでは、同一の光ファイバ内を到着時間が異なる複数の信号が同時に送られてくるから、それらが干渉するのを防ぐために複雑なモード分離処理(Multi-Input-Multi-Output)が必要となる。そのため、時間をかけて大規模な専用集積回路の開発をせんと実用化できひんっていう高いハードルがあった。

一方、マルチコアファイバでは、各コアで従来の光通信システム向けの光送受信技術を利用できるって利点がある。でも、2020年3月には4コアファイバを用いた実験では、0.61Pbps(普及している光ファイバの2.4倍)とやや物足りない結果に終わっていた。

そしてこの度、NICTは4コアファイバを用いて、波長多重技術と複数の光増幅方式を駆使した伝送システムを構築することで、1.02Pbps、51.7kmの伝送実験に成功しはった!

NICTが伝送実験を行った主な標準外径光ファイバとその実験結果/ Credit: NICTプレスリリース
NICTが標準外径光ファイバを用いて実証した伝送容量/ Credit: NICTプレスリリース

今回の実験では、商用の帯域(C帯、L帯)に加えて、一般的に商用化されていない波長帯域(S帯)をほぼ完全に活用しすることで大容量を実現しはった!そして、複雑な受信処理がいらん4コアファイバを用いたことで、大規模専用回路の開発を待つ必要がないから、早期実用化が期待できるってのも魅力的ね。

これから世界中で5Gが一気に広がっていくから、データ通信量は急増するはず。それ耐えうる早期のインフラ整備に向けて大きく前進したんちゃうかな!

ちなみに、この研究成果はレーザー・エレクトロオプティクスに関する国際会議(CLEO2022)で高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)として採択されたらしい。おめでとう!


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