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日経クロステックにデータ分析の解説・実践記事を寄稿しました

データ分析という言葉はよく聞く。しかし、具体的に何をするか?というと、具体的に書かれているものは少ない。その辺りのこともあって、ビジネス上のデータ分析についてはまだまだイメージが作れていない方が多い印象を受ける。そんな中、データ分析の基本的な考え方について執筆する機会を得、次の2つの記事を寄稿した。

2023年9月: Pythonを学び、実践し、起業して分かった「データ分析の正攻法」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01195/090400091/
2023年10月: オープンデータや生成AIが登場した今、ブレーンウエアを変えろ
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01195/101000093/

1本目の記事には、私の略歴とデータ分析の目的、流れ、導入のメリットデメリットを書いた。2本目の記事では、新しい時代に適応するためのポイントと実際にどのような活用ができるかを取り上げた。

次に、それぞれの記事を紹介する。

Pythonを学び、実践し、起業して分かった「データ分析の正攻法」


学ぶ、実践、起業

この記事ではデータ分析について3つのポイントを書いた。

  • 目的

  • 方法

  • メリット・デメリット

その記事中で、筆者としてお伝えしたかったポイントは次の3つだ。

  • 何歳でもプログラミング・デジタル対応はできる

  • ビジネスでのデータ分析の役割は「課題に直面した場面で自社のスタイルに合った良い意思決定を行うこと」。意思決定して行動につなげることが重要である。

  • 「未来は不確実」なため、データ分析を活用したからと言って、必ず成功するわけではない。一方で不確実性は機会を生み出す。

何歳でもプログラミング・デジタル対応はできる


いつでも、今が一番若い!

私は40前にPythonを学習し始めた。ちょっと暇だったとか思われがちだが、晩婚だったためそのころに初めての子供も生まれ、会社勤めもしていてまぁまぁ忙しかった。

プログラミングの学習はどうしたかというと、通勤電車でずっと購入した本を写経したり、自分のやってみたい分析を実行したりしていた。

そうしたことにより、プログラミングができるようになると共に、その周辺技術(git, クラウドなど)を学び、自分をDX(デジタルトランスフォーメーション)できた。

アラフォーの凡人ができたことは、何歳の人でも出来るだろう。という事実を書くことにより、ちょっとやってみようかと思う人の背中を押せればいいかと思い、最近はこの話題を書くようにしている。

デジタルに対応するためには脳に新たな知識をいれないといけない。新しいことを学ぶのに遅いことはないということを伝えられればと思った。

ビジネスでのデータ分析の役割


ビジネスシーンこそデータ分析が役に立つ!

役割を明確にすることにより、なぜ必要なのかが考えやすくなるかと思う。ここで重要なのは「自社のスタイルにあった良い意思決定を行う」という点だと考えている。

最近はツールの発展で、個別の分析が良いになり始めている。そのため、自社に合った分析ができる。というのが企業がデータ分析に取り組むべきメリットだ。

その点が分かると、最近「ビジネスマンにはデータ分析が必須」といわれるかも分かりやすくなる。自社に合った分析ができるというのは、もっと視点を狭くすると「自分のプロジェクトにも」などという風にできる。

つまり、データ分析ができる人がいれば、「ここのプロジェクトの分析を行い、効率化・拡大などの戦略を練れる」ということだ。それを少数の分析者を抱えてやるとなると、ドメイン知識欠如の課題などもあり、大変なことになる。

当事者が課題をうまく認識できるかという課題はあるが、分析し考えることによりその辺りは発達する。統計を完璧にマスターするよりは、走りながらその辺りにチャレンジしてほしい。

未来は不確実だが、不確実性はチャンス


未来は不確実であるが故、チャンスがある。

データを使うとすぐにすごい儲かる!!みたいに言われるが、そんなことは全くない。どちらかというと、地味に改善が進み、その複利の効果が長期的に他社との違いを生み出すものだ。たまに、データ活用導入で勝負して利益上がったという業者間オフレコトークを聞いたりするが、その背景にある確率分布を考えると恐ろしいものがある。

明確にしておくと、未来は不確実であるためデータを使ったからと言って確実にもうかるものはない。一方で、行動の成功の可能性を上げ、何度も行動を行うことにより、なにもデータを使わずに行動する人より成功の確率を上げることはできる。そうなると損失のリスクも考えられるため、損失も抑えられるかもしれない。そんなところがデータ活用のメリットだろう。

そんなことをいうと、成功しているビジネスモデルのちょっとしたチューニングが選択されがちだ。しかしそれは違う。結局未来が不確実なのは成功しているビジネスモデルにとっても同等である。つまり、不確実な時代になると成功しているビジネスモデルが継続しにくくなる。不確実というものを変化として考えると、分かりやすいかもしれない。ということはつまり、データを用いて変化を観察し、それをうまく生かすことをビジネスでは考えるべきである。

人は不確実性、変化を嫌いがちである。しかし、変化は収益チャンスとなりがちだ。私はトレーダーという仕事をやっていたのだが、あれは不確実性のパターンを収益機会にする職業である。今回の記事ではそれをアイリスオーヤマの大山会長の書籍でのお言葉「ビッグチェンジにはビッグチャンスが到来」(著書『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』(日経BP))で表現した。

VUCAの時代と呼ばれる今、変化を機会にできる人を目指す人も、データ分析できるとよいだろう。

オープンデータや生成AIが登場した今、ブレーンウエアを変えろ


ブレインウェアを更新しよう!

昨今は生成AIにより、ビジネスでのツール活用がまた変わりそうなタイミングである。そこでコリン・パウエル氏の著作より、これは現代日本に必要な思考だなと思った言葉を印象することにより、記事をスタートさせた。

「ハードウエアが変わるたびに、ブレーンウエア(考え方)を変えろ」
(『リーダを目指す人の心得』(コリン・パウエル、トニー・コルツ著, 井口耕二訳、飛鳥新社))

今回の記事では、データ分析とともに、生成AIも登場させて、現代の進歩とデータ分析の実践をとりあげた。

  • 日本の人口を基にどのあたりでデジタル移行が進むか検討(前処理にChatGPTを使う)

  • 不動産会社が国勢調査のデータを基に「子供ができて引っ越しを考える層」への事例

  • 外部環境の情報をオープンデータを使ってカバーする

日本の人口とデジタル移行のタイミング


アナログからデジタル移行を人口データで推論

記事の最初は思考実験でスタートした。日本は遅々としてデジタル移行が進まないで有名だが、現在の人手不足などの状況を見ていると、それが進みそうな状況ではある。ではそのタイミングは?

ここでは、estatの統計ダッシュボードより人口のデータを取得し、学生時代からPCや携帯電話を使っている世代の人口が多数派になるタイミングを検討した。それらに慣れ親しんだ世代なら、デジタル移行に抵抗がないとの仮定だ。

方法としては、まずPC/携帯を学生時代から使っている世代を1981年より後に生まれた人とデジタルネイティブ世代と仮定した。筆者は1977年でその世代は大学時代からそれらを使っていた。なので1976年でもよかったが、保守的に作った。

そして、データを取得し時系列でマージ、そのあとのデジタルネイティブ世代と非世代のデータ作成をChatGPTのAdvanced Data Analysisを使って行った。

実際のChatGPTの前処理ブックへのリンク:
https://chat.openai.com/share/673fd3e5-69e5-4ad6-916c-d4be5819441e

ちなみに統計ダッシュボードより取得としたデータは、次のように数値に漢字も交じっており、人間の手での処理が面倒なデータだ。それを筆者は、他の仕事をしながら、ChatGPTに指示を与え、分類できるデータに前処理してもらった。

数値漢字の混ざったデータ

プログラミングができても案外面倒なので、出来ない方には現状難しすぎる処理であろう。しかし、ChatGPTであれば前処理してくれる。実際のプロンプトは上のリンクのとおりである。最初は指示通りいかなかったものの、修正してうまくいった。

このように、上手く使いこなせれば、時間のかかる処理が短時間で完了する。しかし、上手くこなしてもらうためにはプロンプロをうまく与えるため、あなたのブレーンウエアの更新が必要になる。

国勢調査のデータを基に新たに住宅を購入する層の多い場所を探す


国勢調査のデータで住宅を欲しい人の多い場所を探す

マーケティングなどの問題点として、その対象となる人がどこにいるか分からないというものがある。そのため、全体を対象としてチラシをまくなどが現状行われていることだ。一方で、データを基にそれを効率化できる事例として、京都府の国勢調査のデータをとりあげた。書籍では大阪府のデータを使っていたのに、わざわざ京都のデータを使った理由はここでは内緒にしておく。

国勢調査のデータには位置情報とともに、人・家計のデータが公表されている。そして位置情報は、丁目単位、1km・500m・250mメッシュなどで提供されている。つまり一番細かいデータでは250m四方の地域に、これくらいの年代の人が何人住んでいるというような情報が含まれる。

それをうまく使うことにより、企業のターゲットとする層が多い地域などを探すことが出来る。そうすると、これまでよりもマーケティングの支出は抑えられるかつ、知らない場所も自社のマーケットとすることが出来る。

そしてデジタルな観点から行くと、そのような地域が見つかった後の行動も重要だ。このような提案をすると、「ではすぐにその地域を重点的に営業しよう」という風な話になることが多い。データを信頼するのは良いが、いきなり全てを賭けるのは確率的にあまりお勧めできない。

次にやるべきはデジタル広告などを作成し、実際にその地域にニーズがあるか探すという行動だ。そのような行動結果から、実際のニーズが分かる。そうしたうえでその地域を重点地域にするなどを検討すべきである。

このようにうまくデータとデジタルを使うことにより、失敗のコストも安く抑えられる。このように地味なコスト抑制などが長期的な会社の成長に寄与するというのが、ここで取り上げたかった主題だ。

外部環境のデータをオープンデータを使ってカバー


外部環境を知る

上記のようにマーケティング戦略を効率化に役立つ国勢調査のようなデータは、政府などが持つデータ、オープンデータとして近年注目されている。国勢調査以外にも様々なデータが公表されている。

変化が激しい時代、顧客の変化などをつかむことが重要だが、普通の企業がその情報を自社の活動から感じるのは困難だ。そこをカバーできるのがオープンデータである。

そのようなデータをうまく活用できる企業は、効率的に成長できるのではないか?また、自社でデータを集められていな企業は、オープンデータの分析から、データ活用をはじめられる。

まとめ

上に書いたような記事を日経クロステックさんに寄稿させていただいた。面白かったのかどうなのか?フィードバックはないが(コメント欄に書いていただけると嬉しい)、ある程度ビューはあったそうなので良かった。

データ分析のビジネス活用に関しては、理解できていない方も多く取り組みに関しては、まちまちといった印象だ。しかし、日本は今後人口減少も始まるため、変化は大きくなるだろう。変化が大きくなるということは、データ分析の価値が示せる場面で、オープンデータもそれをうまく表現するデータとして活用の価値は大だ。

活用を検討される方はぜひ私の経営する合同会社 長目にご相談いただければと思う。

お礼

今回の記事の掲載に関しては、IT勉強宴会に参加させていただいたご縁で、佐野さんにお声がけしていただいた。佐野さんからは記事へのアドバイスもいただき、大変勉強になった。ありがとうございました。

また日経クロステックの皆様には、稚拙な私の文章を再構成していただき、非常に興味深い文章にしていただいた。大変ありがとうございました。

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