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「赤い実はじけた」の思い出

こんな企画を見つけまして、懐かしくてたまらなくなり、少し書きたいと思います。

小学6 年生の私の思い出は、まさにこの「赤い実はじけた」です。
覚えている方、いらっしゃいますか?
周りに聞いても、薄い反応をもらうことが多いのですが…

小学生の綾子の、幼なじみの哲夫への感情が初恋へと変わる瞬間を書いた物語。
哲夫の笑顔に急に胸が締め付けられるその瞬間を、「パチンと赤い実がはじけた」と表現しています。
その初々しさや甘酸っぱさたるや。

私は早熟な小学生で、2年生くらいからずーっと一途に一人の男の子のことを想っていました。

彼のことが好きで好きで、今思えばちょっと気持ち悪いけど、家の住所を地図で調べたり、誰もいない教室で彼の席に座ってみたり、恋の詩を書いたりしていました。

これは、12歳のときのノートに書いてあった詩です。

小学6年生の修学旅行も、運動会も、卒業式の練習も、あらゆる出来事の思い出が「彼のことを想っていた自分」とともにあります。

結構本気だったので、「大きくなったら結婚しようね」なんていうかわいいものではなくて、むしろ好きすぎて、彼にも友達にも、誰にも言えなかった。

結局好きをこじらせて、中2くらいまでずっと彼のことを想っていました。一度も好きって言えませんでしたね。
このことはずっと引っかかっていますが、逆に実らなかった恋だからこそ、いつも優しくあたたかい思い出として、心に残っているのかも、とも思います。

そんな私の心に響いたのが、小学校6年生の国語の教科書に載っていた、この物語。
いつも、始業式に配られたその日に国語の教科書は全部読んでしまっていたのですが、この話については、恥ずかしくてこっそり隠れて何度か読み返したのを覚えています。

当時、りぼんや少女コミックを愛読していたので、恋の話は散々知っていましたが、国語の教科書に載っている、ということが刺激的でしたね。
授業では、皆で真面目に、綾子の感情の揺れ動く様子を分析して、話し合ったりしました。
同じ班に例の初恋の男の子もいて、ドキドキしながらグループワークをしたものです。

そんなふうに、この「赤い実はじけた」は、思い出すたび、気恥ずかしくて、初々しくて、胸がギュッとなるような初恋の記憶とともに鮮やかに蘇ってくるのです。

大好きだった教科書の名作はたくさんあります。
「やまなし」とか「かさこじぞう」とかは音の響きがなんとも素敵だったし、「つり橋わたれ」のドキドキ感は今でも覚えています。

でもあえて、一つだけ挙げるなら、私は迷わずこの「赤い実はじけた」を推したいと思うのです。
あの頃の私も、今の自分でも、きっと。

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