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ビッグバンドのソロ

長年コンボ畑でトロンボーンを吹いている私ですが、ビッグバンドでソロを吹くこともあります。乏しい経験ですが、コツをお伝えしましょう。

ビッグバンドでのソロはコンボと何が違うか?

  • スペースが決まっている

  • リズムセクションとの関係性

  • マイク・PA、場が異なる

スペースが決まっている

コンボの場合、テーマメロディやって、ソロスペースがあって、最後4 barsとかトレードちょこちょこやってメロディに戻って、エンディング。
ソロは多くの場合オープンコーラスで、自分で起承転結を作る必要がある。
逆にいうと、起承転結を作る裁量権は自分にある。
先発ピッチャー完投型です。

一方ビッグバンドでは、曲の起承転結はアレンジャーの譜面ですでに決まっている。ソロはパズルの一ピースにすぎません。
ということで、ソロはさまざま。
8小節や16小節の短いスペースのこともあるし、長いスペースだったり。
隙間を埋めるソロもある。
ソロの盛り上がりも、10段階の目盛りで、ある場所では3、ある場所では7と、要求に合わせて吹き分ける必要がある。ソロが長ければドラマ作りの裁量の自由度は増えますが、バッキングとの兼ね合いもある。
要するに、先発だけじゃなく、中継ぎ、ワンポイントリリーフ、クローザーなど、いろんな形のソロがあるってこと。
ビッグバンドのソロには個人の自由は制限されな群像劇の一つと弁える必要があります。

ま、協調性の高いトロンボーンの皆さんは、周りにあわせることが染み付いているでしょう。
ビッグバンドにも、コンボっぽい、オープンコーラスのソロもあるにはあります。ああいうの、コンボやっている人には楽だけど、逆にビッグバンドしかやってない人にはしんどいかも。

リズムセクションとの関係性

コンボに比べると、ビッグバンドのリズムセクションは構造的に「にぶい」傾向にあります。
ビッグバンドのリズムセクションはソリストと物理的距離も心理的距離も遠い。(ソロよりもバンド全体のサウンドを遂行することが優先されるから)そのため、コンボよりもインタープレイに対する鋭敏さは低くなっています。そもそもビッグバンドにおいてソロの比重は高くないから。

なので、リズムセクションと意思疎通を燃料にソロを盛り上げていくタイプにはビッグバンドは難しい。ソロはある程度自家発電で盛り上げてゆくことが求められる。
書き譜を用意したりするのも、そういうところにあるのかもしれません。

マイク・PA、場の問題

多くの場合、コンボの舞台はジャズのライブハウス。自分の地音が聴こえるのが当たり前です。しかし、ビッグバンドの場合はホールだったり、野外だったり、ステージが広い。音の「かえし」が少なく自分の音が聞こえないこともよくある。

自分の音が聞こえない状態でソロを吹くとオーバーブローしがち。
Tb/Tpでは音量とフレーズコントロールはトレードオフの関係にある。
オーバーブロウすると細かいフレーズが吹けなくて思うようにソロが吹けない事態はしばしば経験します。

この対策には慣れと場数しかないでしょう。
例えば耳栓をして練習して「かえし」なしに慣れる練習がいいと聞いたことあります(私はやったことありませんが)

ホールの物理的環境も要注意。
まずステージはライトで暑い。乾燥しやすいです。
そして広い。ハコが違うと緊張度が変わる。思った以上に緊張してて、唇が乾きやすいこともあります。
ステージ上で「あ!俺口乾いてる!多分緊張してる!」と気づくと、さらに焦り、焦りはアドレナリンを促し、さらに口が乾いてしまい、ドツボにはまる。トロンボーン、口乾いてたらフレーズ吹けないからね。

ステージには、水(お茶)を持っていきましょう。
経験上、水を飲まなきゃいけない時は3割もありませんが、水なしで「口が乾いた」悟ったが最後、ソロの失敗は運命づけられる。
それを回避するために水は要ります。転ばぬ先の杖、です。
(サックスやリズム楽器はしりません)
あとソロマイク要りませんーで失敗することもよくある。自分が音量魔神ではない限り、マイクはあった方がいいです(最悪、モニターかえしのためにもソロマイクを使わせてもらった方がいい)。
出音のボリュームはPAに委ねましょう。
また、可能ならソロマイクの練習もしておいた方がいいかとは思います。(簡単にいうと、マイクからの距離を一定に保つ練習。上体が動きがちな人は上体をぶらさないで演奏する練習)
アンサンブルに音がかきけされがちなので、ソロは高めの音で。
ビッグバンドのトロンボーンは総じてバカテクだったりしますが、その理由はここにあるのかも。

まとめ

ソロはソロです。コンボだろうと、ビッグバンドだろうと本質は変わりません。ソロのためのマインドであるとか方法論は同じ。
しかし、TPOに応じてすこし弁えておくべきところをまとめました。

山野ももうすぐ!みんながんばってください!

考えてみれば、出音を聴かないで演奏するテクニックも、マイクのテクニックも、限定されたスペースでソロを演出するテクニックも、ホールでの振る舞いも、コンボでも応用できることばかりです。
無駄な経験なんて、ないんですよ。




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