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お気持ちのお値段。

母の年忌法要が近づき、お布施とお車代、粗飯料を用意すべく銀行から引き出す段になり「以前はいくら包んでいたのだっけ」と家計簿を見返したら、自分が予定していたより多くお渡ししていた記録が残っていて焦りました。

「お気持ち」の相場は自分の中で変動しているのだな。

それとは別に、春と秋のお彼岸とお盆にお寺に法要をお任せしている分は郵送で届く案内に「1霊様 三千円より」と記されているので、故人と〇〇家先祖代々(先祖まとめて1霊分でよいとか)で最低限の6千円を年に三回振り込むことにしていて、分かりやすい。ただ、厳密には母方の先祖も入れると本来は9,000円になるし、もっとさかのぼれば際限なく先祖が増えて行ってしまうので、まぁその辺はあやふやなまま、結局は法要へのお布施というよりお寺との関係を続ける「年会費」のような意味合いで納めている気がします。

2000年に二千円札が登場した頃、チップ的扱いの千円では物足りない場合の「お気持ち代」の最低限は「二千円札」にすれば良いなと思ったのもつかの間、普及せずあっけなく姿を消したので、世間の「お気持ち」の最低額はやっぱり今も昔も三千円が主流ということになるんでしょうか。

雑貨のデザインの仕事をしていて、例えば一度会社の企画の元で依頼を受けて描いたイラストやデザインなど(会社に権利がある)を、別の複数アイテムへ展開したり、または数ヶ月後〜数年後に新商品へ別展開する場合、デザイナー側は何も作業をせず「デザイン使用料」(レンタル料、展開料とも)を請求することができるのですが、その単価は1アイテム3,000円からとなっていることが多く、次が5,000円、8,000円、10,000円、それ以上〜になる感じかと。内容や条件によって変動するデザイン料とは違い、自分のオリジナル作を流用される話とも違って会社の企画の中で受注制作したデザインの再使用料となると、世間の「お気持ち代」と連動するのは明朗会計なのかもしれない。

さて、デパ地下などには3,000円未満の「お気持ち」にも対応できるように、400〜600円あたりのプチギフトから1,500円程度や2,000円程度のギフトも充実していて、そのラインナップを見ると「やはり世間的には3,000円はそこそこ大きな額だという認識があるんだな、ああ自分だけじゃなかった、よかった」とホッとする自分がいるのです。

でも世間には、独特な「お気持ち」の世界があるもので、デパートの催事場の販売員にヘルプで呼ばれた時に(自営業の私は平日に自由時間があると思われがちなため、親戚の不幸などで仕事を休みたい人から代理で行ってほしいと頼まれることがある)、デパートの社員ではなくて催事に参加している商店などが雇っている50〜60代くらいの販売員さんから「お気持ち」をもらうことが結構あった。手渡されるというより、デパートの方に見つからぬよう?目線を合わせず売り場の陰にそっと置いて行かれるのですが。

私が売り場で出会った方々から頂戴した「お気持ち」はこんな感じ。

3〜4日売り場に入った時は同じお菓子を別の日にももらうこともあったし、「60代後半の方が、なぜビスコを?」と謎に思ったら「孫に市販のお菓子は食べさせられないとヘルシー志向のお嫁ちゃんがうちへ置いていったのよ」と教えてくださったり。ミルキーも同じ理由だろうか。売り場でこっそり渡される「お気持ち」は「挨拶」「ねぎらい」の意味や「持て余し菓子の消化」目的もあるようで。

いくら頼まれ仕事で臨時の代打だとしても、そこで働く数日間は周囲の方に色々お世話になったり迷惑をかけることになるので、その日のうちに返礼品(挨拶品)を調達して翌日には配ることにした私。でもこの場合、ヨックモックやモロゾフの「ちょこっとギフト」でも「かしこまりすぎ」て重く、却って嫌味になってしまうかも...

と迷った末に「これだ!」とひらめいたのが、スーパーのお菓子売り場でよく見る「バームクーヘン」の個包装がたくさん入って300円程度のアレでした。みかんの人にもビスコの人にも、くまなく一個ずつお渡しすればさりげなくてちょうどいい。なんて便利な品なのでしょうか。

そんなわけで、「お気持ち」の値段を考えることは多いのですが、そういえばnoteでもサポート機能があって、何かの記事や作者に対して「気持ち」を振り込むことができるのは他のブログなどと違って新鮮です。

私も何度か「ありがとう」や「これからも記事楽しみにしています」の意味で振り込んだことがあり、はじめは「千円にしよう」と思っていても「100円」「500円」と表示されて、あとは任意の金額を自分で入力する形式なので、つい500円をポチッてしまう。また、この記事参考になったしすごい労力かかっているし500円振り込みたいと思っても、その方が100円の設定にされていると、つい「100円」をポチってしまって勝手に恐縮したり。面白いシステムですね。

昨年の誕生日に、学生時代からプレゼント交換を唯一続けている友人から、封筒に入った3,500円をもらいました。添えられたカードには「宝塚大劇場B席へのご招待です。チケットは自力で取って好きな日に楽しんできてね」と書いてありました。「今年は特にお世話になったので、ちょっと上乗せした」とも言われて。

確かに、学生の頃からお互いの誕生日プレゼントの相場は暗黙の了解で2,700〜2,800円くらいの想定で選んでいて、あえて確認したことはなく、その時初めて「ああやはり、3,000円以下だったか」と知ったのでした。それを受けて私は、量り売りの輸入チョコレートを2,900円分ほど詰めてもらって、カードは金箔を使ったリッチな500円ものにして、一応平年並みにしつつ「ちょっぴりお気持ち」を添えたのでした。もらう側になればチョコをあと500円足すべきだったなと思いつつ、気持ちの上乗せ感としてはやはり本体に足したら気付かれないので、ねぇ。はは。

っていうケチな話になったところで、おしまい。