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一坪のお店を開くまでと、その後の話。

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両親の介護を終え、その後どうしよう…と思いをめぐらせ、思い立った引越しと小商いの話。
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#コラム

この一年。

毎年、誕生日当日に必ずメールをくれる人がいて、故郷を離れたりしているうちに10年以上会っていないように思うのだけれど、年に一度、彼女は誕生日を祝う言葉とともに短文で近況を知らせてくれる。 私は彼女の誕生日に同じことをしていない。彼女だけでなく、ほとんどの人の誕生日を知らないか忘れて日が過ぎてしまっていることが多い。 いつもは「ありがとう」と軽い近況を伝える返事をして終わるところを、今年はこう書いてみた。 「誕生日って自分のも家族のもうっかり忘れてしまっているくらいなので

ふりだしへ戻って、また進む。

物件探しは、どこか取引先やお仕事との縁探しに似ている。 自分がいいなぁと思ってアプローチしたり、どうしてもその会社、案件に関わりたいと願って働きかけても、先方には見向きもされず、ろくに返事すらもらえないこともあれば、思いもよらぬ方面から自分の持ち味を評価してる人(会社)に出会い、長年仕事で付き合うパートナーになったり。 今から十五年ほど前、大きめのコンペで仕事を獲得したことがあり、その時の担当者とは後に友人関係になり、ずいぶん経ってから、当時他の審査員は他の候補者(技術的

一回休む。

これまで「1コマ進む」から「3コマ進む」まで新生活とショップ開店へ向けての話を(自分の背中を押すために)書いてきましたが、4月に入り、もうそんな机上の空論に時間を費やしている場合じゃないな、とハタと気づきました。花粉症を言い訳に長らく放置していた庭に出てみると、いつの間にか草が生い茂り、すごいことに… これからは仕事と実家の片付けをしつつ、中旬からは宝塚歌劇・宙組公演『オーシャンズ11』を観に行き、その公演を最後に退団される男役スターさんの姿をできるだけ多く見ることに集中し

3コマ進む。

何年くらい前からだろう、飲食店以外のお店で、お茶を振舞われることが増えたような… 和菓子店で試食を兼ねて出されることはもともと多く、土産物店などでも時おりあったけれど、作家ものの細々した雑貨やヴィンテージの紙雑貨を扱う狭い店内などで入店直後に出された時など「え、今?商品にこぼしたらどうしよう」と戸惑う場合も。3人連れで店に入って全員にお茶を出され、誰も何も買わずに店を出るのも気が引けて「自分が代表して何か一個買うか〜」となることもあれば、疲れているときは一息つけてありがたい

2コマ進む。

子供の頃、雑貨を扱う店に行くのが好きだった。サンリオなどの文具を売る店やソニープラザはもちろん、年齢不詳のマダムが大人向けのレースのスリッパや手鏡、猫のブローチなど非実用的なものばかり売っている店に意を決して入ることもあった。 思春期以降にも様々な店に興味を持ち、チープでキッチュな雑貨やレトロな駄菓子やおもちゃを扱うお店、不思議の国のアリスをイメージしたレースやピンタックがあしらわれた洋服や小物を売るお店、自分ではまったく買うあてのないステンドグラスのお店、北欧系の家具や国