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クッキーはいかが?

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1200文字以下のエッセイ集。クッキーをつまむような気軽さで、かじっているうちに終わってしまう、短めの物語たち
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2024年3月の記事一覧

夜中にひとり、さめざめと泣いたとしても

今日はどうしてもやる気が出なくて 言葉を紡ぐのも億劫で ピアノでも弾こうと思ったら、パソコンから音が出なくて ああ、そういえば照明のリモコンも見つからない。 ああ、今日に限って と、思うけれど そのたびに、ユーミンの声がする。 おとなになって、ユーミンの歌詞はよく染みる。 今日に限って履いてた安いサンダル姿で、むかしの男に会ってしまった、その“たまんねぇ”気持ちも、結構リアルに想像できる気がする。 少なくとも、友達がそんな目にあったら、肩を叩くか、親しみを込めて爆笑してや

ぜんぶ口内炎のせい

 口内炎が痛い。  もう、ズキズキと痛い。  木曜日の朝ごはんのときに、ガッと噛んでしまったのが、傷になったみたい。傷っていうか、巨大な白いクレーターのような。  なんとなく痛いなあ、という気持ちから、日が経つにつれて痛みが増すって、どんなトラップだろう。今日は月曜日。今まででいちばん痛い。めげずにごはんを食べている、わたしの食欲を褒めて欲しい。でも、今日寄った無印のカフェで、チーズケーキを頼み損なっちゃった。今じゃないよね、って自分に言い聞かせて。  だってコーヒーですら

未来のわたしへ

「おもしろそうだから、やってみようよ」と、君は笑った。  それは確かにおもしろそうだけれど  わたしはそれに見合う”何か”……実力だとか経験だとかを、持ち合わせているだろうか。というのは、いつも不安になる。わたしでいいのかな。  不安な心を、コトリと転がして、それでもまだ不安で、自信なんてどこにもなくて。  それでも、君が笑うから。  君が、信じてくれるならば。  そのままぶつかって、そのあとに考えてみればいいや。  何もしないわたしよりも  できないと嘆くわたしより

散歩のこと

最近からだの具合が良くて、 そうなったとき、わたしは何をするのだろう。と思って数日観察していたのだけれど まずは、洗濯と掃除。 それから手紙を書いて、本を読んだ。図書館にも行って、エッセイも書いた。 そして、散歩をした。 なぜだろう。 昼前に目が覚めて、気分がよくて、空は晴れ渡って、今日絶対にやらなきゃいけないこともなくて、図書館にも行ったばっかりで、「書かなきゃ」と思っていた手紙を一通り書き終えて、そういえば昨日も洗濯と掃除をした。 と思えば、歩き出すことしか考えられな