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会社をクビになりました\(^o^)/

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2020年3月31日。流行り病の大打撃を受け、アルバイトをクビになった30代の起死回生物語。無職期間:5/1 〜 翌1月。現在は社会復帰済み。生きること、働くこと、お金のこと、会… もっと読む
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働くことの、好きなこと

すっかり時代遅れというか、この論争はすっかり落ち着いた今日このごろではあるけれど、 「出社とリモート、どちらのほうが働きやすいか」という問題が有る。 2020年の4月、いきなり「全社リモート」と言われたときには、正直ひっくり返った。 家で仕事をするのがこんなに大変だとは思わなかった。 そしてわたしは、通勤(歩くことと定期があること、帰りに寄り道できること)を愛していた。 毎日リモートしていたら、日中に陽を浴びることが難しくなってしまい、わざわざ外に出てお弁当を食べたりして

ガソリンを入れる、コロッケを揚げる

夏には少し早いけれど 夏は夜、だと思う。 高校生で、初めて枕草子を読んだときは感動した。 春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて。 ああ、まったくその通りだ。 春になったら使い倒そうと思っていたバルコニーは、早々に午後の日差しに焼かれてしまった。 極端に、暑いか寒かで、なかなか快適には使えないなあ、と思っていたけれど この季節の夜。 夕暮れの、少しあと。 太陽の残り香と、デスクライトで照らされたバルコニーの幸福たるや。 仕事が終わって、体力が残っているそのときに

ねえ、AIチャットくん

仕事を、していた。 いつも通り会社に行っていて、心理的安全性が保たれているこの空間で居心地の悪さを感じることはなかったけれど、人数の少ない職場で退職者が出たうえ引き継ぎがあまりできておらず、手探りであれやこれや進めている。 業務が片付いたと思えば次の案件が出てきて、会社内はちょっとしたダンジョンみたいになっていた。 倒しても倒しても、敵という名の案件が沸いて出る。 あっちからも、こっちからも。 ゲームみたいに役割分担がきっちりできていればいいのだけれど、なかなかうまくいか

仕事へ行けなかった日に読むはなし

「本当は、会社行きたくなくて…」 向かい合って座る彼女の声は、弾丸のような風となり、わたしの肩をドンッと揺らしていった。 息を呑んだことに、気づかれなければいい。 わたしは、どんな顔をしているのだろうかーーー * 仕事を休みがちだ、と聞いていた。 今までは月1くらいで、生理痛がひどいと聞いていたので、たぶんそれだろうと思っていた。 けれども、その頻度が増えている気がする。 様子が、おかしい気がする。 思い込みであったらそれでいい。 でも、「圧倒的におかしい」の、少し手

わたしから、あなたへ

「外線って、かける前にどこか押したらいいですか?」 後ろの席から、控えめな声がかかる。 新しくアルバイトで入ったMさんだ。 Mさんの指導はわたしの担当ではないけれど、指導者はさっきわたしが引き継いだ電話に出ている。 ということで、一番席の近いわたしに声をかけてきたのだろう。 「外線は、1番から4番なので、ここを押してから番号押してください」と、笑顔で伝える。 そして電話が終わったあとにも、「いまの電話はじめてでしたか?」「めっちゃ完璧でしたね」なんて おそらくいくつも年上で

ポーンと投げ出しても、世界はきちんと回ってゆく

2日ほど仕事を休んだ。 朝起きたら、動けなかった。 よろよろとトイレに行き、眠り、映画やアニメを見ながらソファーに沈み、体力が回復したらスマブラを練習するような日々だった。 つまり、だいたいソファーに沈んでいた。 未だに信じられないのだけれど、コロナと呼ばれる病になってから、ときどきこうなる。 歩けない。トイレに行くのもやっとで、手を繋いで支えてもらえなければコンビニにも行けない。 そうなってしまったら仕方がなく、仕事は休む。 在宅で、とか パソコン持ってきてないし。 持

明るく、元気に

「マツナガさん、元気いいっすね」 明るいから、こっちも元気になっちゃいますよ、なんて言われて。 想像以上にしどろもどろになってしまった。 「あっはは、そうですかァ? めっちゃ噛みまくっててすみません」と、カミカミで答えるのが精一杯だった。 それはわたしにとって、想像以上に嬉しい言葉だった。 * そりゃあ、相手が「お客さん」だったら、もうちょっと丁寧な言葉遣いもできる。 それは、前職でしっかり学ばせていただいて(カスタマーサーポートの部署で働いていて、電話をかけてくる人

健やかにあくびを

はーーー今日はなかなか起き上がれない。 今日は、っていうか冬のあいだずっとそうで じゃあ、夏になったら調子いいかって。 ぜんぜん違う。 目覚め、というのが永遠に苦手だ。 眠ることをこんなに愛しているのに。 ああ、なんと難儀な業だろう…… 今日は、40分のストレッチコースを15分に変更して それでも15分もストレスやるってえらくない? で、残ったわずかばかりの時間に書くことにした。 わたしはいま、 あなたのあくびを、思い出している。 * * * 定休日のオフィスはふた

お仕事を続けさせてくれてありがとう

「ねえ、ごめんだけど帰ってもいい?」 隣の席の子に声をかけたのは、16時を少し過ぎたところだった。 年末最後の営業日。 やれるだけのことは片付けた。 あとは、冬期休暇中に何度か出社してリカバリーすればいい。 もともと、長期休暇ってあんまり得意じゃないし。 何度か出社するくらいでちょうどいいんだから。 「掃除、サボってごめんね」 社内の共有カレンダーには【16時~18時 大掃除】 そしてなぜか【17時~買い出し】と続き(18時まで大掃除なのでは?)、【19時~ 忘年会】と

働くということ

ひとつずつ、文字を追う。 ひとつずつ、追おうと努める。 白いA4の紙には、びっしりと何やら書き込まれているが、知らない単語ばかりで理解不能。 ゆっくり3度読み返して、ようやく書き込めばよい空欄を理解した。 そして、最後のひとつだけがわからない。 「ここ、なんて書けばいいかわかりますか?」 となりの席の子に、声をかける。 そういえば、同じ書類の対応していたことは記憶に新しい。 「ええと、たしかーーー」と、彼女がメモを漁る。 「あ、わからなければ自分で問い合わせるんでダイ

元気になったら会社に行くんじゃなくて、花屋とか映画館に行くのがいいと思う。

※ 身体が重い。 気づいた数秒後には、大勢の人に追い抜かれる。 わたしは這うように歩き続ける。 もう少し歩いて、 それで、もしだめだったら… 祈りと覚悟を持って歩き続ける。 なにこれ、仕事に行くだけの話なんだけど。 ※ 病を患ってから、その前の比べて経験したことがないような具合が幾度となく訪れた。 気のせいとか、疲れているとか、 風邪とか生理とか睡眠不足とか 言い訳をたくさん考えたいところだけど、違うとわかる。 こんなまぬけなわたしにも、もう逃れようがないくらい圧倒

「どうでもいいもの」を「いいもの」に

「どうでもいいもの」を「いいもの」に変える いつものタオルを、肌触りのいいものに いつ買ったかわからないお箸を、ちょっと良いやつに そんなふうに暮らしてみてはいかがだろう。 本に書いてあったことを読んで そしてもう一度読んで、深く頷いた。 なるほど。 夏の夕べの、河原での出来事だった。 わたしは、思い出している。 いまここにはない、お気に入りのタオルケットのこと。 わたしの、”ライナスの毛布” 購入してから3度目の夏を迎えてなお、わたしを幸福にしてくれるタオルケット。

元気でな

「松永さんに、言わなきゃいけないことあるんですよ」と言われたとき 正直、またどーでもいいことかな。と思った。 どうでもいい、っていうのは言い過ぎだけど。 仕事に関係しているけれど、聞かなくても大丈夫なこと。 「18日で、会社辞めるんです」 * そりゃあもう、驚いた。 でも「辞めようと思ってる」じゃなくて、「辞める」で 少し話を聞いたら実家から独立しつつ拠点を変えるとのことで、次の仕事も決まっているらしい。 「えぇ、そうなんだ」と頷きはしたけれど現実味が沸かなくて ああで

空を迎えにゆく

「ください」と、小さく声を掛けた。 新しいパン屋さんの、チラシ。 もうすぐだと思っていたけれど、もうオープンしたんだ。 ふむふむ、と眺める。 旧時代的な人間かもしれないけれど、いまでも紙で情報を受け取るのが好きだ。 ポストのチラシも、市のお知らせも、電車の広告も、道行く看板も、けっこうまじめに読んでしまう。 カレーパンは、味覚が戻ったら食べよう。 少し高級な食パンは、最近の流行りだから買ってもいいかも。 サンドイッチが美味しそう。 値段もお手頃。 近いうちに寄ってみよう。