(1/3)アセクシャルやアロマンティックのキャラクターを登場させる前に知ってほしいこと—―はじめに

1.はじめに

1-1.目的

このリソース集は、これまで(特に英語圏の)Aro/Aceコミュニティで「Aro/Aceのキャラクターを描くとき、こう表現するのは問題だよね」と話し合われてきた内容の一部を紹介するものです。

1-2.なぜリソース集が必要なのか

そもそも、なぜこういったリソース集が必要なのでしょうか?
それは、Aro/Ace当事者や恋愛や性愛を必要としていない人々へ向けられる視線が、まだまだ誤解や偏見に満ちたものが多い、という現状があるからです。そしてこれらの偏見がそのまま創作物に反映されることで「恋愛しない人たちって心が冷たいんだ」「みんないつか恋愛/セックス“できる”ようになるから」などといった社会にある思いこみをさらに強め、繰り返し、当事者やその周辺に位置する人々は、ますます生きづらい環境から抜け出すことが難しくなってしまう危険性があります。
そういった負の連鎖(社会にある思いこみ→思いこみをそのまま反映した創作物→社会にある思いこみが強化・再生産される→当事者が生きづらい環境も温存される)を断ち切るためにも、リソース集を作り、「それは誤解/偏見だ」と伝える必要があります。

1-3.記事の構成

さて、こういったAro/Aceに対する誤解や偏見という「問題」がなくならないのには、Aro/Aceについての認知が広がっていないから、という理由が挙げられます。その「問題」に取り組むためには、Aro/Aceの多様性について知り、偏った見方を改善させることが有効でしょう。ということで、本題に入る前に、アセクシャル/アロマンティックの定義と、コミュニティで重要とされている考え方について解説された記事を紹介していきます。また、日本のAro/Ace当事者を対象に行った調査(2020年実施)の結果の情報も掲載しております。


本題となる3つ目の記事では、ステレオタイプがなぜ「問題」なのかをわたしたちなりに説明したのち、その具体例を見ていきます。最後には、もっとAro/Aceの情報にアクセスしやすくするための手助けとして、翻訳ツールの紹介もしております。


わたしたちは、はっきりとAro/Aceを名乗るキャラクターがそのアイデンティティを尊重され、肯定的に描かれている姿をもっと見たいです。繰り返されるAro/Aceへの偏見・誤解に基づいた描写に「いい加減にしろ」とキレることもありますが、生き生きとしたAro/Aceのキャラクターの姿を見て、一緒に喜びたい気持ちもいっぱいあります。
わたしたちは、Aro/Aceのキャラクターが物語に当たり前に登場する未来を望んでいます。このリソース集が、その一助になれば幸いです。

1-4.注記

・紹介しているリンク先に書かれた意見は、英語圏のAro/Aceコミュニティで「この描き方は問題だよね」と共通理解が得られているもの(主流の意見)を意識して選んでおります。
・リソース集への批判や反対意見、情報に誤りがあった場合や「このサイトも載せた方がいいんじゃない?」等ありましたら、ぜひ半ギレAroaceにご連絡ください。なお、いただいたご意見すべてに応答する約束はできかねますので、あらかじめご承知おきください。
★連絡先:(メール)hangire.aroace@gmail.com/(Twitter)@hangire_aroace

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