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2020年3月の記事一覧

KOJIKI<倭建命④>

KOJIKI<倭建命④>

出雲国は出雲建という国神がおさめていました。

この古事記のはじめの主人公だった大国主命の存在です。最初に地の国で国造りを行い、天照御神に国譲りした神様です。大国主命の国つくりのはその知的な考えと、男前な神で大変モテたという伝説からもわかるように、各地の国神の比売と縁戚を結んでいます。
 その範囲は東は越(越後)、西は宗像(筑紫)に及びます。もちろん、それなりに色恋の揉め事はあったようですが・・・

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KOJIKI<倭建命②>

当代きっての歌舞伎役者、市川猿之助。「古事記」を題材に哲学者、梅原猛が三代目市川猿之助(現 猿翁)のために書き下ろしたスーパー歌舞伎の傑作、『ヤマトタケル』

ヤマトタケルの波瀾に満ちた半生を、壮大な構想で独創的なドラマとして構築した『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル』は、昭和61(1986)年に猿之助(現 猿翁)自身の演出によって初演されると同時に、大旋風を巻き起こしました。

古事記の世界からあま

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KOJIKI<倭建命①>

KOJIKI<倭建命①>

今日から、「倭建命」のお話です。神話の世界の中で、彼ほどひときわ知名度が高く、人気もあって、愛情深い神様はいらっしゃらないと思います。12代景行天皇の御子で、皇子という立場にいながら、少年のころから帝の命で西征し、熊曽建(くまそたける)や出雲建を討った後、さらに東方12カ国平定を命じられた悲劇の皇子です。

 トップの写真は、近江国一之宮建部神社に今年参拝をしたときのものです。こちらが建部神社のH

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KOJIKI<まほろば⑤>

垂仁天皇の皇后、沙本毘売命はなくなる時に御子の乳母として

「丹波国に住む、比古多多須美知能宇斯王(ひこたたすみちのうしのみこ)に兄比売(えひめ)・弟比売(おとひめ)の二人がいます。立派な方々ですから、このお二人を」

と伝え炎の中に消えました。

丹波の比古多多須美知能宇斯王には4人の娘がいたので、垂仁天皇は「せっかくだから、まとめて面倒をみようか」と4人を呼び寄せました。これには理由があって、

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KOJIKI<まほろば④>

KOJIKI<まほろば④>

垂仁天皇にあづけられた、沙本毘売命の忘れ形見である本牟智私気王(ほむちわけのみこ)の御子はたいそう大切に育てられてたのですが、顔にお髭が生え鬚、が心臓のあたりに届くくらい大人になっても、言葉を発せません。わずかに空を飛ぶ鵠(くぐい)をみてわずかに「あぎ」とカタコトをいうばかり。

息子可愛さに、垂仁天皇はその鳥を息子のそばにおけば、息子は言葉を発するかもしれない、と思い、家臣にその鳥を追わせました

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KOJIKI<まほろば③>

KOJIKI<まほろば③>

時は第11代垂仁天皇の時代です。崇神天皇の御子で名は伊久米伊理毘古伊佐知命。父君と同じように纏向に宮を構えていました。(卑弥呼の墓といわれている遺跡のある場所ですね。)あ、これから先は垂仁天皇で通しますが・・・。この天皇が沙本毘売命(さほびめのみこと)を后としていた時のことです。毘売には沙本毘古王(さほびこのみこ)という大切な兄がいました。

ある日のこと、沙本毘古王が「ちょっと、聞くけど、お前は

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