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「まだ本気出してないだけ」は本当だった

上手くいかない状況を正当化する常套句として使われる、

「おれ、本気出してないだけだから…」

という言葉。

状況や使い方にもよりますが、もしかしたら的を得ているかもしれないなぁとも思うのです。

どのような分野においても、突き抜ける存在になるためには、それなりの努力が必要不可欠な訳で。

「まだ本気出していない」というのは、ある意味、「努力さえすればこんなもんじゃないんだぜ!」ということでしょう。

そのような言葉を投げかけられた側としては、ついつい「言い訳だ!」と言いたくもなりますが、ちょっとだけ冷静になって考えてみましょう。

「なぜ、この人は努力ができないのだろう?」ということに。

そんな疑問のヒントとなるような情報を書き留めておきます。

努力せずとも読めますので、ぜひ、このまま読み進めてくださいね。

▼「ご褒美」のおそるべき効果

たくさんの子どもたちに接していると、「結果によってご褒美がもらえる」なんていうルールを実践している家庭が多いことに気付きます。

「テストで100点取ったら!」とか「リレーの選手に選ばれたら」、「成績表にAが10個あったら」などなど。

僕も3人の子どもを育てる身として、そのご褒美の裏側には、「子どもの実力を伸ばしたい!」という切実な親心があることは分かります。

そして、ご褒美の威力も分かるのです。

カルヴィン・エルドランドさんという研究者は、5歳から7歳まで、99人の子どもたちに対象にあるおもしろい実験をしました。
#成功する子失敗する子

参加者の子どもたちを2つのグループに分け、知能検査を2回受けてもらいました。

最初の検査では、2つのグループ共に条件は同じだったのですが、2度目の検査でちょっとした違いを出したのです。

一方のグループは、「1回目と同じく普通にテスト」。

もう一方のグループは、「1問正解するごとにチョコレートをあげる」というご褒美作戦を実行しました。

すると、

「ご褒美を与えられたグループの方が、何ももらえなかったグループよりも平均して12ポイントもIQが上昇した!」

というではないですか。

おそるべしご褒美効果…

このような実験結果を知ると、「だったら、何をするにもご褒美を与えた方がいいのでは?」と思いますよね。

しかし、そう単純ではないのです。

なぜなら、様々な実験において、

「ご褒美をもらってしまうと、ご褒美をもらうことが目的になってしまう。」

という至極当然のゴールへ辿りついてしまうのです。

よく、「好きなことを仕事にしたら楽しくなくなった…」なんて話を聞きますよね。

まさに、その通りで、なんのメリットもなくても純粋に楽しんでいたことに報酬が結びつくと、「報酬があるからやっていること」になってしまうのです。

なんとも、複雑な人間心。

詳しくはこちらにも書きました👇

ただ、このご褒美あり・なし問題を考えていると、「ご褒美によって結果がよくなるってことは、ご褒美がないときは本気を出していなかったってことなんじゃ?」と思いません?

実は、その通りなのです。

▼「まだ、本気出していないだけ」の正当性

「まだ、本気出していない論」に決着をつけてくれるのは、サウスフロリダ大学の研究。

その研究では、子どもたちを知能検査の得点に応じて「IQ高めグループ」、「IQ真ん中グループ」そして、「IQ低めグループ」3つのグループに分けました。

そして、エドランドさんの実験と同じように「ご褒美なし」でテストを受けるグループと「1問正解するごとにチョコレートがもらえるグループ」のテスト結果を比較しました。

すると、おもしろいことが分かったのです。

なんと、

「チョコレートを渡してIQが上昇する子どもたちは、『IQ低めグループだけ』だった!」

というではないですか。

ここにきて、「全ての子どもたちが、チョコレートでIQが上がる説」は、崩壊したのです。

「IQ低めグループ」の子どもたちのIQは、ご褒美なしテストの平均79だったの数値がチョコレートパワーによって97まで上昇

「IQ真ん中グループ」とほぼほぼ同じになってしまったというではないですか。

この実験結果が示しているのは、チョコレートってすごい!ということではありません。

「IQ低いグループの子どもたちは、チョコレートをもらえないテストの際、本気を出していなかっただけじゃないか?」

という発見なのです。

IQ79と97。

もちろん、その数値を叩き出したのは、同じ子どもたちですよ。

じゃあ、その子たちも最初から本気でテストに取り組んでいれば、97を出すことができた

ということは、やはり、最初の79を出したテストの時は、「本気を出していなかっただけ」という結論に達しますよね。

そして新たな問題が1つ。

「どうして最初から本気を出さなかったのか?」

そこのところを次章で見ていきましょう。

▼なぜ、本気を出さないのか

その疑問の元も子もない理由をずばり。

「テストに対するやる気がなかったのではないか?」

というのが答えの一つでございます。

ただ単に、「そのテストで良い結果を取ってやるぜ!」という気持ちにどうしてもなれなかった。

だから本気を出さなかったのでしょう。

そうしたら、次のテストでは、大人がチョコレートをあげると言っている。

「だったら正解した方がいいよね!」ということで、より真剣にテストを受けたのではないかと推測されるのです。

要するに、

「結果を残すか残さないかという分かれ道は、『やる気』にあり!」

ということ。

先ほどの実験においてIQが真ん中から高いグループに所属した子どもたちは最初から「正解したい!」とか「問題を解くのが楽しい!」といった「やる気」を発揮していたため、チョコレートが配られるようなっても、テスト結果は変わらなかったのです。

ということは、「子どもの実力を伸ばすには、やる気が必要不可欠なんだなぁ」という結論に至りますよね。

そして難しくなるのが、「やる気ってどう出すのよ?」ってこと。

実は、この「やる気を出させる」というのが本当に難しい。

1つヒントとなるのは、「頑張った先に自分の理想が待っている」と具体的に実感できること。

きれい事だと重々承知しつつ、「勉強」を例に考えてみると、

「目の前の報酬(100点でもらえるお小遣い)を追い求めて一喜一憂するのではなく、学ぶことの楽しさを感じながら勉強に励んだ結果が、大きな収入源として花開く」

なんてこと。

やはり、人生において大切なのは、

「長期的に実力を高めていった先に待っている大きな成果」

なのです。

そして、そのような大きな成果を得るためには、少なからず「自制心」を味方に付ける必要があるのですよね。

大きな理想を抱けば抱くほど、大きな自制心が必要になる。

気付けば、先日の記事。

振り出しに戻ってしまいました。

次回は、「自制心」についてもうちょっと深掘りしようと思いますので、ぜひとも読んでみてくださいね。




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