アニメ・ゲームは芸術じゃない、という呆れた言説はビートルズで完全否定できる
そもそもの話
Twitterには、定期的に
アニメ・ゲームなどサブカルチャーを他の芸術と一緒にするな
という主張をする人が出てきます。この方とか。
ハッキリ言ってバカバカしいです。
この方はクリエイターでは無いようなので、もしかしたらその辺が疎いのかもしれません。なので、非常に簡潔になぜバカバカしいのか説明します。
・芸術はそもそもそのほとんどが人をいい気分にさせるためのもの、つまり「娯楽」である
・当時の娯楽作品が歴史を積み重ねることにより、権威を帯びるようになった結果が彼の言う「芸術作品」である
・つまり、いずれ「萌えアニメ」も歴史を重ねればそういった「芸術作品」になり得る(ってゆうかそういう扱いで展示されてるケースは多々ある、村上隆氏の展示なんか典型)
・結論として、現状の評価のみで娯楽作品を語るのは視野の狭い人間のやることであり、後世の人間に笑われてしまう可能性がある行為である
これ、当たり前過ぎて書くのも恥ずかしいレベルです。
日本人なら誰でも知ってると思いますが、日本には「浮世絵」があります。現代では、「芸術作品」として見られてるでしょう。しかし、高等教育程度の日本史を学んでいれば、浮世絵は出た当初はそんなアカデミックな物ではなく、大衆が見て楽しむ物、つまり現代の漫画みたいなものだと知ってるはずです。扱いとしては今の萌えアニメとなんら変わらないわけです。
つまり、再度述べますが萌えアニメもいつかは芸術作品として見なされる可能性は十分にあります。(先の村上氏といい、もう既にそういう風潮はありますね)
よって、これだけでももうこの方の発言がいかにバカバカしく、論ずるに値しないかお分かり頂いたかと思います。そういったごく普通の教養の備わっている大多数の方にとって、このnoteは無意味です。ありがとうございました。
じゃあ何で書くんだよ?
だってあまりにもこんなこと言う人が多過ぎるんですよ。
ほんと、多すぎて貼ってたらキリがないです。
相手にするのもめんどくさいし、放っておけばいいかーなんて思ってたんですが…いや待って、あなたその立場でそれ言います?という方がいましたので、いい機会だから真っ向から反論してみよう、という感じでつい書いちゃいました。
この方の発言に対し
という返答をこのPoko氏という方がしました。これに対してです。
この方は、ぽっちゃり専門写真家だそうです。映像や音楽も手掛けておられます。かなりニッチな分野でやってる方ですね。個人的には、この活動だけの人なら応援したいです。ニッチなクリエイターをやり、それで生計を立てる(多分)、かなり勇気のいることだし、結果を出してるのは明白です。
サイトと作品はこちら ※センシティブなので閲覧注意
彼がちゃんと独り立ちしてるクリエイターだからこそ、この発言が出てきたことが信じられなく、許せません。
これは明らかな、アニメ・ゲームに対する差別発言です。クリエイターが他の創作をバカにすることは、やってはならないことだと私もクリエイターのはしくれとして思っております。クリエイターたるもの、自分の受け入れられないものであってもその中でじゃあ何でダメなのか、逆にここは評価できるか、を考えなければいけません。だから、私は表現の不自由展の作品は好きではありませんが、否定はしません(ただし、昭和天皇の写真を燃やすのは個人への侮辱なのでアウトだと考えています)。特にPoko氏の場合、自身も受け入れられづらい創作をしている方です。理解されない側の気持ちが分かる方なはずです。
自分のはよくて他人のはダメ?
何様ですか?
そもそもニッチなクリエイターで、表に出づらいPoko氏がなぜ話題に上がってきたかというと、このツイートがきっかけでしょうか。
ドラクエ出演声優であり、天元突破グレンラガンの主題歌も担当した、サブカル界の申し子ともいえるマルチタレントの中川翔子さんへの人格批判ツイートですね。これだけでもう人間性お察しなんですが、私は彼の真意は別のところにあると思いました。
彼はやたらとサブカルに対して嫌悪感を露わにしています。
「歴史ある歌舞伎とサブカルを一緒にするな」
という趣旨のツイートもあります。
先述の浮世絵のくだりを知ってたら、もうTwitter引退レベルの発言です。そもそも歌舞伎だって出てきた当初は、はしたない行為だとされ厳しく取り締まられた経緯があります。その後も色々とバッシングを受けて、現行の歌舞伎のように男性のみ出演する形になりました。彼がサブカルに対して行ってることをやられた、バッシングと共に歩んできた演芸です。一応、今の時点で、とは言っていますが、全く未来を考慮してない、刹那的な物の見方です。
おそらくですが、彼はサブカルを嫌悪してるがゆえに、サブカルを愛していて、サブカルそのものにも大きく貢献している中川さんが気に入らないのでは無いでしょうか?彼の他ツイートを読むと政権への嫌悪もすさまじく、典型的Twitterリベラルです。気に入らない人や物に何か言いたくなってしまうんでしょう。
余談ですが、Poko氏は今回のオリンピックでも使用されたすぎやまこういち氏の序曲をこのように仰っています。
言葉はともかく、これについては個人の感想として許容されるべきだと思います。ちなみにこの発言に対する私個人の感想は、あんな音割れギターミックスしてるような曲作っててよくそんなこと言えますねです。
本題
このままだと彼に対する批判noteみたいになりそうなので、これ以上はやめておきます。当noteでは私が不当に攻撃されない限りは、個人を取り扱う行為は一切やるつもりないので。
本題に入ります。
まずなぜビートルズかというと、単に私が好きなアーティストで、知識がある程度ありほとんどの方が知っていて例として非常にわかりやすいからです。別にこれ、他のやつでもいいんですよ。先の浮世絵や歌舞伎でもいい、三国志演義でもいい、シェークスピアでもいい、バロック派音楽でもいいんです。そもそも先に述べた通り、冒頭の項で解決してますしあれが理解できれば読む意味はございません。読んでもまだ分からないごく少数の方に向けて書いています。
そもそもビートルズって何?
流石に説明しないとダメかな、とは思いつつも全く知らない人もそういないと思うんで、すごく簡単に書きます。あんまり詳しく書き過ぎると、それだけで一記事になってしまうので…
・20世紀で最も成功した音楽家集団
・今の音楽の当たり前をたくさん最初にやった
・4人組で、全メンバーソロ活動でも偉大な実績をあげている
・音楽の教科書に載ってるし英語の授業でも取り上げられてる
いわゆるレジェンドですね。彼らの曲全く何も知らない、という方は日本においてもほとんどいないのではないでしょうか?
※左上ジョン・レノン、右上ポール・マッカートニー、左下ジョージ・ハリスン、右下リンゴ・スター。マッシュルームカット時代だと、初見さんには見分けがつきににくいでしょう。分かりやすい見分け方は、まず眉毛立派な人がジョージ、次に眼がおっきくて垂れ目の人がポール、その次に鉤鼻の色男あるいはドラムに座ってる人がリンゴ、最後に余った人がジョンって感じに見分ければいいです。ポールとリンゴは順序逆でもOK
代表曲いくつか
Let it be
Hey Jude
Yesterday
I Want To Hold Your Hand(アホな放尿犯ではない)
この辺の曲は、おそらくタイトルは知らなかったとしても全部何から何まで聴いたことが全くない方はほぼほぼいないと思います。聴いたこと無い人は今すぐ聴きなさい。現代のポップミュージックの礎は彼らが築き上げており、たとえロックではない今時のエレクトロでも彼らの影響は多かれ少なかれあります。そもそも彼ら、エレクトロでなくてはならないシンセサイザーの原型ともいえる、当時最新の楽器であったメロトロンをいち早く取り入れてたり、シタールなどエスニック楽器を効果的に使用してたり、サウンドミキシングにおいても斬新な手法を編み出していたので、彼らがいなきゃ現代のエレクトロも無かったかもしれません。
イントロで使われてるのがメロトロン(フルートのサンプリング)
ちなみにジョンは、おそらく世界最初の音MAD職人です。
参考
こんなんまともな感性じゃ作れません。絶対ドラッグキメまくってたごめんなんでもないです☺️
ビートルズのイメージは?
では、そんな彼らのイメージってなんですか?おそらく、大多数の方は以下のような感じではないでしょうか。
・優等生
・英国紳士
・なんか綺麗な歌歌ってる
・平和主義者
・音楽の模範的存在
こんなところだと思います。これらは、現代においてのビートルズの評価として、そこまでズレてはいません。
では、デビュー当時からそんな扱いだったんでしょうか?
結論から言うと、ねーよwwwwwwwです。
まず、彼らが影響を受け、彼ら自身のメインジャンルでもあるロックや、それで使うエレキギターは当時不良がやるもの・使う物という扱いでした。実際にジョンは度重なる不幸に見舞われたこともあり少年時代は不良でしたし、当時のミュージシャンのトレンドということもありドラッグの常習者でした。
※分かりやすい不良少年のサンプル
日本においても、おじいちゃんおばあちゃんがエレキギターを弾いた孫をみて不良になった!なんて言ってたという話、聞いたことありませんか?つまり、ビートルズの音楽は当初不良の音楽であり、大人が眉を顰める音楽だったのです。
外部のブログ記事なので引用はできませんが、ある70年代にビートルズをよく聴いてた方の記事で、ビートルズを聴いてたら不良扱いされたと言われたというエピソードが載っていました。既に解散してる70年代になってもそんな風潮が残っていたのは、私も意外でした。
彼らが優等生、というイメージは、後発のローリング・ストーンズとの対比から生まれたのではないでしょうか?
かっこいい☺️
ちなみに、彼らの憧れであったエルヴィス・プレスリー(ちなみにジョンは大先輩の彼と対談した際、彼をおちょくってガチギレさせてます。平和の使者とは言い難い行為ですね)もまた、パフォーマンスがセクシャルすぎると評され、当時の大人に大バッシングされました。
次に彼らといえばマッシュルームカットですが、現代では品行方正なイメージがあると思います。最近のトレンドでもありますね。
このように悪魔も絶賛する髪型です。現代において広く受け入れられていると言えるでしょう。
しかし当時は男子がこんな髪型するのはありえませんでした。
当時、男子といえば短髪であり、あの品行方正に見える髪型は実は反抗の象徴だったのです。事実、当時の大人から「長髪が見苦しい」という全然音楽に関係ないところですらバッシングを受けています。
また日本国内においても、武道館でライブをやる際に日本の偉い人から物凄いバッシングを受けました。今でこそライブハウス武道館ですが、当時の武道館は文字通り武道を行うための場であり、外国人の不良の音楽バンドが神聖な武道館でコンサートなど何事か!と偉い人に言われ、薄汚い西洋の連中とも言われ、右翼団体からはGo Homeとまで言われました。もう現代ならそんなことしたらヘイトスピーチで要職なら辞任レベルですね。そしてそのすぐ後に、よく知られてるビートルズはキリストより有名だ発言がジョンよりなされ、更にバッシングされました。
それにしてもジョン、こいついつも喧嘩売ってますね。解散後もポールを曲でディスってるし、平和の使者というより喧嘩請負人でしょう☺️
少し話がそれました。
もう上記数々のバッシング事例だけでも、デビュー時はむしろ反面教師と言っていいような扱いを受けていたことが分かります。確かに若者人気は間違いなくあり、当時のビートルマニアと呼ばれる人はコンサートで金切声を上げていました。しかし、物事の規範を決める立場である大人の中では、音楽性・見た目・行動、その全てが反抗的とみなされました。後の70年代後半のイギリスではパンクがブームとなりますが、実はその源流はビートルズ(正確にはその先駆者からだけど)だったのです。
当時の評価だけ見れば、とても20世紀で最も偉大な音楽家で教科書に乗るような存在とは思えません。しかし、デビューから50年以上の時が経ち、今の彼らの評価を見れば、ほとんどの方が偉大であると評しているのは明白です。彼らに対し間違った評価を下したのは当時の老人たちでした。なんせ今や教科書にまで載って、音楽教育の規範であり子供たちの音楽の先生です。これは、バッハやベートーヴェンと同格です。
つまり、芸術とは以下の特徴があります。
・新しいものはいつも叩かれる
・老人は新しい芸術に拒絶反応を起こす
・評価は流転する
これ、本note序盤で言ったことの繰り返しです。
アニメ・ゲームだって芸術の歴史からすると比較的新しいジャンルと言えましょう。ですが、評価は流転します。冒頭で紹介した方が嫌う萌えアニメだって、50年後どんな評価を受けているのか分かりません。現在の評価だけで、芸術ではない、と言い切るのは浅はかではないでしょうか。まさに地球の重力に魂を引かれたオールドタイプとしか言いようがありません。
※自身をアップデートの済んだ人間だと思ってたけど実際は誰よりも地球の重力に魂を引かれてた人
そもそも、ここ20年間だけでも深夜アニメの扱いなんかは変わってます。2000年代らへんかその以前は、深夜アニメなんか観てる人は奇特なオタク、というイメージで括られていました。しかしいまや深夜アニメの方が本数が多く、観てる人の存在は珍しくありません。世にはコラボ商品も溢れています。魔法少女まどかマギカなんかは女性向けアパレルまでコラボ商品が出たくらいです。
なんとランジェリーまで出ています
深夜アニメもどんどん浸透してきてます。最早特定の誰かが支持しているだけ、なんて状況ではないかと思います。ハッキリ言いますけど、アニメ・ゲームというだけで中身もろくに観ずにけなす行為は、ビートルズをバッシングした老人と同類の、その場限りの浅はかな思考でしか物事を判断出来ない旧人類のやることです。
※浅はかな思考でアクシズ落とししようとして、ライバルに生身でもMSでもボッコボコにされたニュータイプのなりそこない
誤解なき様に言っておきますが、作品に評価を下す、という行為は否定しませんし、むしろ必要な行為です。
よく知られた、エスパー魔美のくたばれ評論家、という回のワンシーンです。これはまさに正論です。この後、魔美のパパは批判を正当に受け止め、より良い作品を作ろう、と邁進します。作品を評価できるだけの素養を持った方による、正当な批判は作り手にとっても有益です。問題なのは、中身をろくに知らずに○○だから、という理由だけで批判することです。それはただのけなしでしかなく、何も生み出しません。
旧人類の皆様、その色眼鏡を外して、作品にちゃんと向き合い正当に評価しませんか?あなたの子や孫に笑われたくないですよね?
ところでお気づきですか?
先の話に戻りますが、新しい芸術の象徴であるビートルズをどんな人が批判してたでしょうか?
・老人
・右翼
・権力者
という特徴がありましたね。
これ、フェミニスト・野党支持者などTwitterのリベラルの方が嫌ってる人たちです。権力を持つ立場からビートルズを批判した、保守派と呼ばれるような立ち位置の人は、現代においては論調の筋が通ってる通っていないに関わらず、一括りにネトウヨ、とカテゴライズされリベラルの方から人格批判も辞さないレベルで批判されています。
私も過去にあるリベラルの方にこんな風に言われました。
ちなみに、事の経緯としては全く別の方に意見を言ったら関係の無いこの方がいきなり威圧してきました。
アニメ・ゲームという新しい芸術を批判してる人って誰でしたか?先の二人とも、いわゆるTwitterリベラルに該当するでしょう。この二人以外も、似たようなことを言ってる人はアンチ与党・フェミニストなどのTwitterリベラルがほとんどです。
新しい芸術をリベラルが批判してる…?
…んん?
Twitterリベラルさん、ネトウヨじゃん!!!
最近のリベラルは保守化してるってよく言われてますよね。このテーマでも一記事書けそうですけど、それは別の方にお任せします。
追伸
折角ビートルズに触れたので、前やろうかな?と言ってたほぼ毎日ビートルズの楽曲を1曲ずつ簡単に紹介するタグ投稿をしようかな、と思います。多分、#ほぼ毎日1曲ビートルズ みたいなタグでツイートしていきますので、よかったらこの機会に聴いてみてください。
…まだ始めてないけどそのうちに!😅
一部有料部分除いて無料ですが、もし面白いと思っていただけたらサポートをしてくれたらうれしいです。