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2024 『レーザー』変換効率ランキング

前記事では前置きが長すぎて、本当に伝えたかった電力からレーザへの変換効率に触れることができなかった。
週刊漫画のひき逃げみたいになって申し訳ないが、本記事ではそのひき逃げの効果を楽しんでいただきい。
いよいよ修行を終えてパワーアップした主人公が、仲間のピンチを救いに来たのが本記事である。

それでは電力からレーザに変わる時の、変換効率の悪いレーザから発表していこう。

最下位はCO2レーザである。
その変換効率はわずか5%程度である。
100WのCO2レーザを作るためには、その20倍の電力である2000Wが必要になる。
EUV露光機に使われるCO2レーザは150~200kWであるので、必要電力は光源だけで3000~4000kWである。
CO2レーザとされるコロニーレーザーのソーラレイの出力は8500GWなので必要な電力は170PWともう意味が分からない電力が必要となる。
東京電力によると柏崎刈羽原発の1~7号機の総出力は8212000kW=8.212GWなので、ソーラレイの発射には柏崎刈羽原発が20701か所も必要になる。
コスパに触れるのは野暮と言うものだが、ソーラレイを作らなければビグザムやゲルググを量産できたかもしれないし、ガルバルディαの戦線投入も実現したのでないかと思わざるを得ない。
CO2レーザは作りやすくても、電力からの変換効率はあんまりよろしくないのである。

次に変換効率が悪いのは、俗にいうロッドタイプのYAGレーザである。
もうレーザマーカーくらいにしか使われなくなってしまったが、フラッシュランプをエネルギ源とするロッドタイプのYAGレーザは、電力からレーザへの変換効率は10%程度である。
CO2レーザよりも変換効率は高いが、それでも元の電力に対して10%のレーザしか得られないのだ。

続いては下からも上からも第3位の変換効率のレーザである。
第3位は、ディスクレーザ。
ディスクレーザはYAGレーザの1種で、YAG結晶を薄くすることでレーザが発振する面積を大きくしてエネルギ源である半導体レーザのエネルギを最大限活用し大出力を実現している。
その変換効率はYAGレーザでありながら30%を上回る。
これまでのYAGレーザのコンセプトを変え、CO2レーザをも上回る出力を得てCO2レーザを衰退に追いやったレーザである。
もうすでに20年以上も現役であり、その登場時にはまさに連邦の白い悪魔のようなインパクトがあったという。

続いて第2位は、ファイバーレーザ。
ファイバーレーザは文字通り光ファイバの中で共振するレーザで、エネルギ源となる半導体レーザを光ファイバに導入しダイレクトに共振用光ファイバと溶着することで、高い変換効率を実現している。
その変換効率は35~40%とされている。
ディスクレーザを上回る変換効率に加え出力に対して筐体が小さいので、現在では普及率が1番高い高出力レーザである。
かのDragonFireもきっとファイバーレーザであると思う。

輝くエネルギ変換効率が第1位のレーザは、半導体レーザである。
文字通り半導体と同様に小さなチップで作られる半導体レーザの変換効率は、驚異の60%以上である。
元の電力の半分以上がレーザに変わるのである。
半導体レーザは高い変換効率に加え、多様な波長や取り扱いやすさから幅広い用途に適用されている。
何度も紹介してきたレーザのエネルギ源としてはもちろん、半導体レーザ自体を加工用レーザとして使うこともできるし、計測にも使えるし、レーザポインタのような一般的な製品にも使える。

以上が現在のレーザのエネルギ変換効率ランキングであるが、最高の変換効率を誇る半導体レーザでも60%である。
残りの40%はどこに行ってしまったのだろうか。
それを次の記事とさせて頂く。
本記事もひき逃げだったのだ。

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