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#124 信用取引の無難な使い方

投資において信用売買は非常にリスキーと言われている。
信用売買はざっくりいうと、証券会社から借金をして、手元資金よりも多くの額で取引をすること。株価が急落すると、食らうダメージも大きくなる。よって、リスクの高い投資法として忌避されたり、ギャンブルと見なされることもある。

わたしの考えでは、信用取引をある程度使ったほうがよいのではないかと考えている。というのも、株式投資の現実的なリターンは限度がある。インデックス投資で約7%、個別株投資で頑張っても10%程度(諸説あり)。
プロのファンドマネージャーでもインデックス投資のパフォーマンスに勝てないのだから、無理なリターンを設定しても、それこそギャンブルになってしまう。そうするとリターンの絶対額を増やすには、投資額を大きくするしかない。

投資を経営と考えてみればいい。ベストセラー本「財務3表一体理解法」の、企業活動を極限まで単純化した図が印象に残っているのだが、利益を上げる活動というのは「資金調達→投資→利益を上げる」に集約される。
資金調達は、自己資本でも他人資本でもいい。多くの会社は、他人資本、つまり借金を活用しているわけで、投資を経営とみなすなら、少しの借金は悪いことでない気がしている。ただし、しっかり利益を出せる経営ができることが大前提となる。

上場企業の借入金の利率は、財務諸表から計算することができる。日本はまだ低金利なので1%以下。個人の信用取引のコストはというと、いろいろなものがあって計算が複雑だが、わたしの概算によると最安のネット証券で約3%。

それをどうとらえるかだが、個別株で30%を狙う人間からしたら誤差の域だろうし、7%リターンのインデックス投資でも考え方によってはありだと思う。信用力のない個人に3%でお金を貸してくれるなんて、非常にありがたい制度だ。

問題はそれをどう使うかだ。わたしは堅実でなるべくリスクの少ない投資を目指している。信用買いと信用売りにわけて考えてみたい。

信用買いの間違いない使い方は、暴落が起きたときに勇気をもって突っ込むこと。メンタル的には難易度が高いだろうけど、理屈としては何も難しくない。
もうひとつ、普段使いできる方法としては、ポートフォリオの調整に活用できそうな気がしている。わたしはポートフォリオ管理(キャッシュ管理)を最重視しているので、あきらかに安いと思った株があっても、その代わりに売れるものが見つからないのであきらめることがある。(個別株レベルで)暴落しているのに手が出せていないということ。信用買いを一時的なバッファとして活用すればこの問題が解決できそうだ。全体のバランスではなく、その銘柄に対してどうするかという判断がくだせる。少しパフォーマンスが上がる気がしてきた。

それから、信用売り(空売り)。空売りは難しい。というか、怖い。
投資をはじめて3年目くらいで試したことがある。買うほうの損失は最大でも買った金額を失うだけだが、空売りの損失に上限はない。

投資の基本が身についていないのに、第一三共を空売りしてしまい、その後も第一三共はぐんぐん上昇していった(信用売りの損失は膨らむ)。いろいろ手を尽くしてなんとか少額の損失に抑えたが、あの恐怖は忘れられない。第一、株式というのは基本的には複利の力で上昇していくものだ。空売りという手法は、最初から分が悪い。

それからは現物を持った状態で空売りすることにしたが、あまり引っ張ることもできず少しの利益しか稼げなかった。リスクに対するリターンがまったくわりに合わないので、その手法は封印した。
投資は、たとえるなら念能力者たちのバトル会場。念も使えなければ、凝も使えない人間は、何をされているかわからないまま再起不能にされる。

時が経ち、それなりの使い手となった今のわたしならどうだろう? 何かいい活用の方法はないだろうか。信用買いと同じくポートフォリオ管理に使えないだろうか。この株を売るとキャッシュ比率が上がりすぎる場合、バーチャルに売っておいて、もしそのあと少し下がったなら、信用売りのほうは決裁して、この株を保持する選択をする。微妙かな。

先ほどの経営のたとえに話を戻すなら、経営者が借入した基本的には資金はもうかる事業や会社に投資するはずだ。空売りに使いますなんてのはヘッジファンドくらいだろう。あまりトリッキーなことを考えず、経営者の心構えで、他人資本を活用していこうと思う。

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