the pillows 山中さわお氏をただ褒めたたえる記事
趣味を立ち上げ、継続することはとても難しい。
他人の評価のためではなく、趣味であることのために、続ける。
それは、ようやく大きくなりはじめた焚き火のようなもので、ふとしたことで消えてしまうはかないものだ。特に他人の評価は、強風になり得る。大切に守ってあげなければいけない。
というような、趣味人としてのクリエイターの話を書いたが、まったく当てはまらない人たちがいることには気づいていた。
内側から創作意欲があふれ出てきて、止まらない人たちがいる。
他人の評価という名の強風も、彼らの光を止めることはできない。
プロになるのはこういう人たちだ(わたしはそちら側の人間ではなかった)。
そのひとりがthe pillowsのソングライター、山中さわおさんです。
とにかく多作で、ずっと曲をつくっている。
最近はソロ活動をしているのは知っていたけど、コロナ禍の一年でアルバムを3枚出したという!
あれ、「Nonocular violet」が6枚目のアルバムだというけど、数が合わないなと思い、Amazonで情報を得たところ、とんでもないことになっていた。
4枚目、5枚目が通販限定で、「Nonocular violet」が6枚目、ソロ名義以外のアルバムを含めると、1年で6枚だとか、8枚だとか。
この方は50代ですよ。元々がすごいのに、目を離した隙に、理外の加速を見せていた。
尊敬の念が振り切れてしまうクリエイターです。
ライブに行けなかったぶん、DVDを観よう。
さわお氏が他人の評価を気にしないかと言うと、めちゃくちゃ気にしている。
不満や悲しみ、怒りが思いっきり歌詞に出ている。それらの感情をあるときはネガティブなまま、あるときはポジティブに変換し、音楽に昇華している。ライブのMCも認められなかった不満に関するものが多いのだが、心地よい笑いに昇華させることに成功している。嫌味のない「自称天才」ネタが観客を巻き込み、とても楽しい。
ここで名曲「インスタント・ミュージック」から少しだけ。
インスタントミュージック
世界中にあふれ
子供たちは溺れてる
ダイエットミュージック
ほら夢中になって
くたばっちまえよ
スカスカの、中身のない音楽ばかり流行りやがって。本当に君たちはわかっていない(ロックスター訳)
大衆からはあまり評価されないけど、こういう思いを抱えているクリエイターは非常に多いので、ミュージシャンや芸人からリスペクトされている。
また、膨大な洋楽ロックの文脈を踏まええたさわお氏の楽曲は、音楽性がしっかりしているので、日本のヒットチャートの影響下にない、海外から評価されている。
そんなさわお氏とわたしは接触したことがある。
コロナ禍になる前、さわお氏がプロデュースするthe bohemiansのライブを最後列で観ていたのだが、背中にどんと誰かがぶつかったと思ったら、それがさわお氏だった。スタンドでビールを買って、さっさと2階の関係者席へ去っていった。
わたしは尊敬するクリエイターから気合を注入された。