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自分よりももっとすごい人が居た!

 今年のクリスマスイブは、人生で初めて『チャリティミュージックソン』を聞いて過ごした。
 チャリティミュージックソン、我が地元静岡では所々しかネットされていないし、県内版や地方版も放送されていない。そのため『ミュージックソン』と聞いても、それまでは蚊帳の外というような感じがしてあまりピンとこなかった。
 それが今年はラジオ好きの友人から、「地方版になるけどRCCラジオのユーチューブチャンネルならミュージックソン聞けるよ」と教えてもらったので聞いてみることにした。

 番組の中でゲームやクイズ形式で視覚障碍者の生活について講演をされている全盲女性がゲストに出ていた。
 そのクイズの中に、「全盲の人はどうやって歯ブラシに歯磨き粉を付けているでしょう」というのがあった。
 私は一人叫んでいた。
「適当!」
 クイズの政界は「指先に付ける」だったが、ゲストの方と同じく全盲の私は、歯磨き粉を指先に付けるなんてそんな律儀なやり方はしない。私の場合まず歯磨き粉のチューブを歯ブラシの近くに持っていって、その後チューブを2.3秒ほど押して付けている。もし失敗して歯磨き粉をこぼしてしまった時に備えて、できるだけ洗面台の水道の上でやるようにしている。万が一こぼしてしまったらすぐに洗えば良いのだ。

 そこでふと思った。他の全盲の人は歯磨き粉を付ける時どうしているのだろうか。
 夕方いつものグル通に上がって聞いてみた。

 まずSさんの場合、唇に歯磨き粉を付けてからそれを歯ブラシに塗っていると言う。このやり方は学生の頃盲学校の寄宿舎の先生から教えてもらって以来ずっとそうしているそうだ。
 なるほど、これはさきほどの指先につけると言っていた女性に近いやり方である。そして1番まともな方法かもしれない。

 次にTさん(RCCラジオのユーチューブチャンネルを教えてくれた友人でもある)にも聞いてみた。すると驚くべき答えが返ってきた。
「俺は直接口の中に歯磨き粉のチューブを突っ込んでニューっと出した後そのまま歯ブラシで磨いてる。どうせ歯磨き粉なんて自分しか使わないんだからさあ」
 私も含めてその時グル通に上がっていた人全員に衝撃が走った。
 確かに自分専用の歯磨き粉ならチューブを口に入れることへの衛生面を心配する必要もないだろうし(筆者は実家暮らしのため歯磨き粉も家族兼用なのでそこは気にする必要があるが)、歯磨き粉をこぼす不安は無いかもしれない。
 だが直接口の中に歯磨き粉を入れるなんて…、そんなえぐいやり方があって良いのだろうか。何だかものすごく辛そうだし、物によっては吐き気を催しそうである。
 しかもその方法を、何と彼は子供の頃から続けていると言うのだ。これにはさらにビックリである。

 最初に指先や唇に歯磨き粉を付けると言った律儀なやり方などせず、歯ブラシの近くに歯磨き粉のチューブを近づけて適当に付けている私よりももっとすごい人が居た!
 同じ全盲者でも、歯磨き粉の付け方一つ取ってもいろんな人が居るようだ。
 それにしても、チャリティミュージックソン静岡でもやってくれないかなあ。

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