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GOWDL: gene ontology-driven wide and deep learning model for cell typing of scRNA-seq data

  1. 本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす学術的「問い」は?

この研究は、単一細胞RNAシーケンシング(scRNA-seq)を利用して、各個々の細胞の遺伝子プロファイルと転写物のプロファイルを取得することで、細胞レベルで組織を特性づけることが可能になるという背景から行われています。そしてその大量のデータを自動で細胞タイプ分類するための技術を開発することが求められています。その上で本研究の学術的な問いは、「遺伝子オントロジー」(遺伝子の機能の分類体系)と特定の細胞タイプのマーカー遺伝子を基にした深層学習モデルを用いて自動的に細胞タイプを分類できるかどうか、です。

  1. 本研究の目的及び学術的独自性と創造性は?

この研究の主な目的は自動細胞分類技術の開発であり、遺伝子オントロジーを利用した深層学習モデル「GOWDL」(Gene Ontology-driven Wide and Deep Learning)を提案しました。GOWDLは遺伝子オントロジーに基づいた遺伝子間の類似性と各細胞タイプに特異的なマーカー遺伝子情報を融合し、その情報をもとに自動的に細胞タイプを分類します。このため、GOWDLは既存の手法とは異なる独自性と創造性を持つと言えます。

  1. 本研究の着想に至った経緯や,関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?

単一細胞RNAシーケンシング技術の発展に伴い、生物医学分野において新たな発見がなされています。特に細胞内の遺伝子発現パターンや各組織内での細胞の比率にばらつきがあることが明らかとなってきました。加えて、稀な腫瘍細胞や過剰に反応する免疫細胞など、稀な細胞タイプの特性も解明されてきています。それに伴い、自動的な細胞分類技術のニーズが高まっており、本研究はそのニーズに応える形で行われました。

  1. 本研究で何をどのように,どこまで明らかにした?

本研究では、我々が開発した深層学習モデル「GOWDL」を用いて、複数の組織中の細胞タイプを分類しました。Massachusetts Institute of TechnologyのCross-validaiton方法を用い、我々のアルゴリズムを他の12もの予測ツールと比較しました。その結果、5種類の組織で最も良好な結果を得る事ができ、再現率(Recall)が約92%に達する事で、他の最良のツールである97%に近い結果を得ることができました。

  1. 本研究の有効性はどのように検証した?

本研究の有効性は、交差検証と独立した外部的な検証を行った結果から評価されました。具体的には彼らのアルゴリズムを他の12の先進的な予測ツールと比較しました。その結果、五つの組織全てで最良の結果を得ることができました。

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