Decreased liver B vitamin-related enzymes as a metabolic hallmark of cancer cachexia

Decreased liver B vitamin-related enzymes as a metabolic hallmark of cancer cachexia - Nature Communications

1 本研究の学術的背景は、がん患者の約20%を占めるがん性カヘキシアという複雑な代謝異常について、その代謝的な特徴がまだ十分に探求されていないという状況です。研究課題の核心をなす学術的「問い」は、がん性カヘキシアの代謝的な特徴は何か、ということです。

2 本研究の目的は、がん性カヘキシアの代謝的な特徴を明らかにすることです。学術的な独自性と創造性は、複数のマウスモデルから得られた多元的なデータを統合分析することで、がん性カヘキシアの代謝的な特徴を特定するというアプローチにあります。

3 本研究の着想は、がん性カヘキシアの病態理解の不足が、その早期診断法や効果的な治療法の開発を難しくしているという現状から来ています。関連する国内外の研究動向としては、がん性カヘキシアが全身的な炎症に関連する複雑な代謝異常として理解されてきたこと、また、これまでの研究では筋肉や脂肪組織の役割が明らかにされてきたが、がん性カヘキシアの代謝的な特徴はまだ特定されていないということが挙げられます。

4 本研究では、がん性カヘキシアに関連する代謝的な変化の特徴として、ビタミンB関連の肝臓酵素の減少を報告しました。また、ビタミンB関連の酵素の減少が、タンパク質の存在量と補因子のサブタイプに依存することも明らかにしました。これらの代謝/タンパク質の変化と、もう一つのカヘキシアの特徴であるタンパク質のマロニル化の減少は、マウスモデルと胃がん患者の血液サンプルにも反映されていることを示しました。

5 本研究の有効性は、マウスモデルと胃がん患者の血液サンプルを用いて、代謝/タンパク質の変化とタンパク質のマロニル化の減少が実際に観察されることで検証しました。