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PoseBusters: AI-based docking methods fail to generate physically valid poses or generalise to novel sequences

  1. 本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす学術的「問い」は?

  • 近年、数多くのディープラーニングベースのタンパク質-リガンドドッキング法が開発され、スピードと精度の面で大きな可能性を秘めています。しかし、結晶学的ルート平均二乗偏差(RMSD)という指標で最先端の性能を示しているとされているにも関わらず、より詳細に見てみると、これらの方法はしばしば物理的にありえない分子構造を生成してしまうことが明らかになっています。したがって、これらの方法を評価する際には、原生的な結合モードへのRMSDだけでなく、ステリック(空間的)及びエネルギー的な基準による評価が必要となります。つまり、ディープラーニングベースのドッキング方法が物理的にどれほど妥当であり、そして一般化性能にどれほど優れているのかを調査することが本研究の核心となる問いです。

  1. 本研究の目的及び学術的独自性と創造性は?

  • 本研究の目的は、PoseBustersというPythonパッケージを開発し、これを用いてディープラーニングベースのドッキング方法(DeepDock, DiffDock, EquiBind, TankBind, Uni-Mol)と、標準的なドッキング方法(AutoDock VinaとCCDC Gold)を比較・評価することです。これにより「最先端の性能」を持つとされる方法が、PoseBustersのチェックをパスし、かつ原生的な結合モードを予測できるかどうかを確かめることが独自性と創造性です。

  1. 本研究の着想に至った経緯や,関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?

  • プロテイン-リガンドドッキングは、薬物設計において重要なステップであり、その精度と効率は常に重要な研究トピックです。ディープラーニングの進展により、これらの問題に対する新たなアプローチが提案され、それに伴い評価基準も再考されるべきと考えられました。そこで、我々はPoseBustersという新たな評価フレームワークを提案し、ディープラーニングベースのドッキング手法の評価に新たな視点を与えるという位置づけです。

  1. 本研究で何をどのように,どこまで明らかにした?

  • 本研究では、PoseBustersという新たな評価パッケージを開発し、それを用いてディープラーニングベースのドッキング法と標準的なドッキング法を比較・評価しました。結果として、物理的な妥当性及び訓練データと異なる例への一般化能力の観点から、ディープラーニングベースの方法はまだ古典的なドッキングツールを超えることができていないことが明らかになりました。

  1. 本研究の有効性はどのように検証した?

  • 本研究の有効性は、PoseBustersを用いて、ディープラーニングと標準的なドッキング法のパフォーマンスを比較・評価することで検証しました。その結果、物理的な妥当性とトレーニングデータと異なる例への一般化能力の両面で、現行のディープラーニングベースの方法がまだ古典的なドッキングツールを超えることができていないことが明らかとなりました。

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