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泡沫候補のジレンマ

グッドモーニング
ハンサムです。

間も無く東京都知事選の投開票日ということで、今日は『泡沫候補のジレンマ』について綴ります。
なお、当noteは社会学的な観点のものではなく、個人の感想重視となりますので予めご了承ください。


泡沫候補について

泡沫候補って?

泡沫候補(ほうまつこうほ)とは、当選する見込みが極めて薄い選挙立候補者。特殊候補インディーズ候補とも呼ばれる。

Wikipedia 泡沫候補

今回の東京都知事選挙では、過去最多の56人が立候補している。
このうちのほとんど、恐らく50人前後が供託金の没収対象(=法定得票数である1/10に満たない候補者)となるだろう。
これらの候補者を「泡沫候補」と呼び、メディアでは選挙の公平性を謳われているものの、実際メディアで扱われている候補者(政策を放映してもらえる候補者)は4〜5人程度…というわけだ。

東京都知事選挙における泡沫候補

今回史上最多の候補者数ということで注目を集めているが、実は前回の2020年東京都知事選挙でも「スーパークレイジー君」「立花孝志」「後藤輝樹」など、インターネットを通じてそれなりの賑わいを魅せていた。
(当時の候補者数は、22名)

名前すら聞いたことがない、という人もいるだろうが、この中で最も得票数が少なかったスーパークレイジー君ですら、11,887.698票を得ていた。
しかし、当然のことながら、法定得票数には満たなかったため、供託金を没収されている。

とはいえ、彼のYouTube再生数やその後の宮崎市議会選の当選を考えると、必ずしも「ただ都知事選で無駄に供託金を支払った」とは言えない。

ちなみに、先述の後藤輝樹氏はスーパークレイジー君より多い21,997.000票を得票していたが、その後、千葉県知事選挙、葛飾区議会選挙、茅野市議会議員選挙、秦野市議会議員選挙、、と数々の選挙に出馬するも落選している。

また、後藤輝樹氏と千葉県知事選の泡沫同期である河合ゆうすけ氏は、その後草加市議会選挙で当選しているものの、今回の都知事選出馬のため退職した。

売名目的の立候補はヤメロ!と言われる傍ら、このように泡沫候補らが現実的に当選する可能性のある"市町村区議会選挙"へのステップとして、大きな舞台に先に出て顔を売る…という動きは有用に感じるし、必ずしも悪とは言えないと思う。

泡沫候補の有用性

市町村区議会選挙なんて、だいたい毎回たいして注目されず、代々その地域に住んでいる人が当選するケースが殆どであり、当選倍率も地域によっては定数割れとなる議会もあるほど。
定数割れとなるくらいならば、ほぼ寝て過ごすような老人議会となるくらいならば、新しい風を入れた方が良さそうだ。

実際に、河合ゆうすけ氏も草加市議会において「おかしな議案を否決できた」と語っていた。

今回の都知事選ではスケベポスターで大批判を浴びているが、草加市議会では良い働きをしていたようだ。

そして、せっかく草加市議会で当選したのに、都知事選出馬のため退職となるのは、勿体無いように感じると共に、
単なる【売名行為】や、現実性のある次のステップ(=地方議会の当選)を目指した出馬とも、違うように見える。

泡沫候補のジレンマ

泡沫候補の狙い

では、ほぼ当選する見込みのない選挙に高いお金を払って、立候補するのは何故だろうか?

実際に、河合ゆうすけ氏や後藤輝樹氏を調べていると分かるが、彼らはけっして資金繰りに余裕があるわけではなさそうだ。

また、単なる売名行為や選挙破壊行為ではない。
(今回、一部の候補者には当て嵌まりそうだが、ここでは善良な泡沫候補のみ語ることとする。)

泡沫候補たちの多くは、次のように語る。

  • 政治に興味を持ってほしい

  • 選挙に興味を持ってほしい

  • 投票率を上げたい

  • 公平な選挙を目指したい

特に、若年層世代の選挙参加、という狙いを語る候補者が多い。
今回の選挙公報を見ると、X(旧Twitter)上では散々な評判の『カワイイ私の政見放送を見てね党』の内野愛里氏も、「政見放送を通じて、政治や選挙に興味を持ってほしい」と綴っていた。

また、選挙の公平性については、数多くの候補者の選挙公報にも散々書かれており、候補者たちの”選挙をより良くしたい”という気持ちが伝わってくる。

しかしながら、巷では候補者の乱立やら売名行為やらスケベポスターやらのネガティブな意味での注目を受け、供託金を引き上げるべきだ!という意見も多くなっている。

ちなみに、日本における供託金制度は世界一高額とも言われ、なんと米国・フランス・カナダでは供託金がない。(フランスとカナダは近年廃止された。)
世界で初めて”供託金”という制度を導入したイギリスも、日本円にすると約8万円程度の供託金となっている。

日本では、都知事選だと供託金300万円、一番高額な衆参議員選挙比例だとなんと600万円。相当な資産が無いと立候補出来ない。

それは果たして「公平な選挙」と言えるのだろうか。「若者の政治参加」と言えるのだろうか。

必ずしも、候補者を選ぶことだけが選挙/政治ではない。優れた人間はどんどん政界に進むべきだと私は思うし、300万円出せない人間は全員優れていないとは言い切れないと思う。
 

泡沫候補のリスク

 善良な泡沫候補の狙いについて見解を綴ったが、一方で泡沫候補が乱立する「自由な選挙」となることで、その弊害も生まれる。

日本では、圧倒的に高齢者の投票率が高く、そもそもの人口も若年層(10-30代)より、中高年(50代~)の方が多い。

若者に興味を持ってほしい」とユニークな候補者が出れば出るほど、
中高年が「変な人に政治を任せるくらいなら、現職が良い」と、消去法で選ぶようになるリスクが生まれる。

 前回2020年の東京都知事選挙では、20代の投票率が2016年/2014年を上回った。

これは素晴らしいことだが、小池百合子氏の得票率はなんと59.70%2016年の得票率44.49%より10%以上も上がったのだ。

つまり、魅力的な候補者2名の争いではなく、現職VS数多くの泡沫候補という図になってしまうと若年層の票はバラけ、中高年の票は集中しやすくなるのではないか?
(ちなみに、2020年小池百合子氏の年代別得票率は、70歳以上が65%と最も高く、10代の61%、50代の57%、60代の56%、20代の49%、30代の47%と続く。いずれにせよ高支持率ではあるが、若年勤労世代の支持より、中高年層の支持の方が厚いことが分かる。)

だから、魅力的な泡沫候補の数が少ない、若者の票が集中しやすい地方議会選挙では、泡沫候補も当選する。(結果的には当選無効となったが、戸田市議会選挙における若者たちのスーパークレイジー君支持ぶりは凄まじいものだった。)

 つまり、泡沫候補者たちの思惑とは裏腹に、候補者が多く、注目を集めやすい東京都知事選挙のようなパターンだと、かえって現職有利になりやすい。

すると、結局若者たちは「自分一人がいくら選挙に行っても変わらない」と、選挙に、そして政治に興味を失くしていくのだ。

これを私は『泡沫候補のジレンマ』と呼んでいる。このジレンマが、近年の我が国における選挙傾向だと思う。
 

提案したいこと

「泡沫新党」といった形で、魅力的かつ善良な泡沫候補たちはこの実状を受け止めて、ある程度力を合わせてみてほしい。

勿論、同じ”泡沫候補”と言えど、提案したい政策は異なり、足並みを揃えるというのが難しいことは重々理解出来る。
なので所詮、机上の空論・絵に描いた餅である事は間違いない。

 ただ、泡沫候補同士がもっと語り合い、分かり合える場があれば良いなぁと思う。

今の”自民党一強”ムーブについても同じ事が言える。

魅力的なニューフェイス候補者が力を合わせないと、「職業政治家」「世襲政治家」を打倒出来ないと思う。

 実際の能力は関係なく、"流れ"で決まるような選挙・政治を脱するためには、1本化したライバルが必要なのだ。かの薩長同盟のように。

泡沫候補者たちは、泡沫候補のジレンマで終わってはいけない。

 ちなみに、私は今の仕事が好きで大事なので、辞める気は無いが…もし、もう一つの人生を歩めるなら政治家になると思う。
もし今の仕事を辞めて、地方に移住するなら地方議会選挙に手を挙げるくらいの挑戦はしてみたい。

 その時は、泡沫候補新党という党を立ち上げようかな。

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