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主観と客観の心理状態

ラグビーワールドカップが盛り上がりを見せている。

先ほど行われていたイングランドvsアメリカの試合、ラストは目頭が熱くなった。80分を過ぎてマイボールになったイングランド、ボールを外に出さずにワントライ狙いに行ったところもカッコ良かったが、なによりもアメリカが何とかワントライ取るぞと気迫溢れるプレーをし続け、結果トライしたことに心打たれた。会場の歓声、解説の興奮、全てがテレビ越しにも伝わってきた。

試合の途中、危険なタックルをしたアメリカの選手がレッドカードの退場になった。そのとき、両チームが乱闘気味に興奮状態になっていたが、危険プレーに対しての会場のブーイングはすごかった。

ここで解説が「ラグビーはただでさえハードなスポーツ。ゆえにフェアプレーを心掛けなければならない。そういう意味では観客もラフプレーに対しては厳しい。そうじゃないとラグビーがみんなのスポーツにならないですからね」と言っていた。

もちろん激しさは魅力的だけど、このラグビーという競技の持つ思想性とも言うべきラグビー精神には心打たれる。

僕もスポーツをしていると思わず熱くなるときがある。だいたい熱くなってしまうときは主観的な心理状態で、周りが見えない。冷静なときほど客観的な心理状態で落ち着いている。自分事と思っていることには敏感で感情移入しやすいが、他人事だと思っているときほど冷静で感情移入しにくいのもその一種かもしれない。

例えば口論になったとして、こちら側はどんどんヒートアップしていくが、相手側がへんに冷静でいると「いや、今お前のことで怒ってんねん!」と、よりこちら側はヒートアップしてしまう。

その場に応じて必要になってくるスキルは違うから、主観と客観の心理状態は常に使い分ける必要がある。

審判に必要なスキルって、客観性なのかなと思う。客観的に見てジャッジしなければならないし、何よりも冷静でいなければならない。

選手は客観的であるよりも、主観的に考えている時間の方が長い。もちろんプレーをしながら戦況を冷静に分析したり、客観的に今何が必要か、求められているかを考えることもあるけど、まずは自分たちのチームが勝つことに専念するものである。ゆえに熱くもなる。

特に高校生くらいの年代は、客観性が必要な場面であっても熱くなりすぎて周りが見えなくなってしまうことがある。

選手の主観と審判の客観で、それぞれの心理状態は違う。

いずれにせよ、選手はプレーファーストでなければならないから、口を動かす暇があればまず身体を動かさなければならない。

しかし誤解されているかもしれないからあえて言うが、審判に何も言うな!と言っているわけではない。

ベンチスタッフはまた特殊で、自分たちのチームのことを第一に考えなければならないから主観的であると同時に、その試合を客観的に分析して選手交代や戦術、タイムアウトのタイミングなど様々な指示を的確に出さなければならない。

僕は審判でミスジャッジをしてしまうと、チームスタッフから抗議されることがよくある。すごく辛いし嫌なのだけれども、そこは客観的で、言い方を悪くすればあくまでも他人事であるから、冷静でいることができる。

でも、反対に自分がベンチスタッフにいるときは審判の辛さがわかるから抗議しない。。。とは、ならない。抗議すべきではないとも思わない。

だって自分のチームのこと第一に考えたら、思わず熱くなるのは当然で不可解な判定や不利にはたらくようなジャッジには抗議してしまう。そこには、もちろん越えてはならない一線はあるから、一定程度の冷静さは保たなければならない。

いろいろと誤解されると困るので、ここで明確にしておきたい。

誰もが文句を言うな!抗議をするな!アピールをするな!ということを言いたいのではない。それぞれがそれぞれの役割の中で、越えてはならない一線を保ちつつ、ナイスゲームを作り上げていくべきである。

越えてはならない一線を保ちつつ、、、である。

新潟県審判は人手不足。ブロック大会などに派遣される際、行ける人が限られているがゆえに、そのスケジュールを押さえることすら皆大変になっている。だから審判員が少しでも増えてほしいと思うが、審判をすれば文句を言われる、抗議をされる、だからやりたくないとなってしまうジレンマに陥っている。おそらく新潟県ハンドボールのこれまでを見ても、このジレンマはなかなか打破できていない。

もちろん最初は文句や抗議をされることは当たり前だと思う。けど、県外に出ればほとんどの方々が審判も経験したことのある指導者であったり、指導者をされている、されたことのある審判員であったりする。だから、それぞれの役割、気持ちなどを理解している。新潟県内であっても同じ。お互いの気持ちを理解できるから、試合後にコミュニケーションも取ることができる。試合が終われば、それこそノーサイドで審判もスタッフも選手も握手する。

新潟県にも本当は審判もできるという人材はもっといるはず。やりたくないからやりません、でももちろん結構だが、それをやってくれている人がいて初めて自分たちがコートに立てていることは忘れてはならない。

先日、1人の高校生が審判をやってみたい!と志願してきた。やらせてみたら意外とスジが良くて、高校生プレーヤーでありながら審判員でもあるというのは、個人的に素敵だなと思ったので、是非その志を叶えてあげたいと思う。1人ではもったいないから、せっかくなのでそのときペアを組んでいたもう1人の高校生も笑

練習中に、審判目線でハードプレーとラフプレーをコミュニケーション取りながら見極めていけるってすごく良いと思う。

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