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王座戦振り返り(KO)

前書き

こんにちは、連続での投稿となるKO(毎度本名で書くのも恥ずかしいのでペンネームとします)です。王座戦の内容まで挨拶に書くと読むのがめんどくさくなるほど長くなりそうだったので分割しました。本記事では、王座戦出場が決定した第二代表決定戦から王座戦の棋譜の供養まで幅広く行いたいと思っています。多分長くなりますが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。

第二代表決定戦

第二代表決定や団体戦の仕組みについては一つ前の記事で触れているため、気になる方は↓こちらをご覧ください。

過去の成績や本割での結果

あまりに自然な誘導(?)を済ましたところで本題へ
私は、第二代表決定戦に関して選手ではなかったため、観戦者(部長的な言い方ならリザーブメンバー?)目線での感想です。正直な感想を一言で表すとありきたりな言葉ですが、”驚き”の一言でした。そこまで棋力が高いわけではありませんでしたが、なんだかんだ私は一年の春からずっとメンバーに入れて頂いていました。
過去3回の第二代表決定戦の結果は阪大がA級3位に入ったものの
 1年春 A級4位に負けて決勝に進めず
 1年秋 決勝に進むもA級2位に負け、第二代表にはなれず
 2年春 A級4位に負けて決勝に進めず
という結果でした。話で聞くところにはこのような成績が私が入部する数年前からずっと続いていたそうです。
そして、迎えた2年秋、本割での総当たり戦の結果は阪大はA級4位陥落
前線で戦ってくださっていた先輩方には申し訳ないですが、万年三位の地位も危うくなってきたなという印象を受けました。(そもそも、自分が主力を担えるぐらいの棋力になっていないことが悪いのですが。)

第二代表決定戦

一回戦は実況として参加していました。相手はA級3位で、本割で敗北していた龍谷大学。本割の結果は3-4での負けだったため、全然チャンスがあるようにも思えますが、実際は、相手大学が圧倒的主力を一人欠いた状態での結果でした。現実的な話、2-5で負けても仕方ないなと覚悟していました。しかし、蓋を開けてみると結果は数字が反転した5-2。これには相性も大きく関係していたと思います。やはり、醍醐味はここにあるといった感じですね。

決勝はA級2位京都大学。幾度となく阪大を退け、A級1位の立命館大学とも鎬を削る大学です。序中盤は互角か少し良い局面が多くなるのですが、どうしても最終盤になると逆転されてしまい、なかなか勝ちに結びつけずにいました。決勝は純粋な観戦者として見ていたのですが、序盤は互角に進行していきました。しかし、中盤になると良さそうな局面もありましたが、既にかなり悪そうな局面もあり、今回も苦しいなと感じていました。

流れが変わったのは既に2敗して、三番目に終局した橋口さんの対局です。阪大の記念すべき一勝目で、この対局は私が中盤相当苦しいと感じていたものでした。しかし、徐々に押し返し、最後は相手の心理を巧みに利用し、頓死に追い込んだことで、橋口さんに

詰まない玉を詰ます、終盤の詐欺師 終盤の魔術師


という異名が誕生した瞬間です。
私の中でも「この対局が勝てるなら…」という気持ちになっていました。
ここから2勝を重ね、3-3となり、最後の対局は小路先輩へ
個人でも全国大会への出場を決め、最も気合いが入っており、負ける姿が私には想像できませんでした。序盤は苦しい展開(補正が入っているため私の目には互角にしか見えなかった)でしたが、思ったより難しい局面だったようでお相手の一手で互角に戻り、終盤を迎えた。そこから一進一退の攻防戦が続き、気づけば天空城が築かれおり、相当寄らない形に。私は固唾をのんで先輩の美しい寄せを見守るだけでした。(自分でも寄せを考えていたが、読みを外しまくっていたことはここだけの秘密)
そして、結果は4-3となり、五年ぶりの王座戦出場が決定しました。
幹事として、必要ないだろうと思っていた王座戦の要項が書かれたPDFをグループに送信した時の手の震えを今でも思い出します。
第二代表を戦い、王座戦出場権を獲得してくれた選手方に改めて深く感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございます。

番外編:-1回戦

王座戦の舞台は三重県四日市市です。近鉄を利用するのが一般的ですが、金銭的にも安く済むということでJRを利用することにしました。

実際の乗車券

大学の授業が終わり、阪急に飛び乗って向日町駅へ

駅のホームへ着いたのですが、ここでちょうど雨が降り出してきました。12月25日、クリスマスの日に一人でJRを使っている男には当然の報いです。()
ここから、京都線と草津線を乗り継ぎ柘植駅まで向かったのですが、完全に帰宅ラッシュと重なってしまい大変な思いをしました。

やっとの思いで柘植駅(正しいイントネーションは”つ→げ↓”)に到着。乗り換えようと駅のモニターを見ていると、

関西線、動物と接触のため遅れ約40分

すぅーーーーー

柘植の待合室はとても暖かったので心地よかったです。

なんだかんだあって関西線を乗り継ぎ四日市まで着いたのですが、JRの四日市駅のほうは街灯が数本立っているだけで暗く、さらに、近鉄四日市駅まではかなりの距離があったためスーツケースを持っての移動には苦労しました。

結論から申し上げますと、近鉄を使いましょう
(何より驚いたのは関西線の車内で「相掛かり…」という声が聞こえてきたことですが)

この後、なんとかホテルにたどり着き、一度夕食を取りに行こうとフロントに降りたのですが、とある先輩がアメニティのボディタオルを3つ持って行くところを目撃してしまい思わず、
「(僕でもホテル用と家用の2つなのに、3つもですか!?
と声に出してしまいました。アメニティ愛好家としてこれは完全に失策でした。この場を借りて謝罪させていただきます。

王座戦一日目

すがすがしい朝の目覚め。7時には早速下まで降りていきバイキングのお時間です。(会場に近く、朝食付きのホテルを迅速に予約してくれた笠原さん、ありがとうございました。)
この日はどこも落とせない勝負所だったため、お休みでした。

二回戦:名古屋大学戦

この回は実況として参加しました。私は高校将棋部の先輩が阪大に一人名古屋大学に二人いるのですが、本大会では先輩同士の対決が実現しました。白熱した実況にしたいと思っていたのですが、結局ありきたりなものとなってしまいました。とても後悔の残るところです。また、後輩の福田君ですが、明らかに負けの将棋を粘って逆転勝ちしていました。普段、部室でやるようなことをあの大舞台でもやってのけるのが真の強さだと感じました。(興奮のあまり、名古屋大学の皆様が乗り合わせていることに気づかず帰りの電車の中でもこの話を掘り返してしまったことは深く反省しております。誠にすみませんでした。)

王座戦二日目

すがすがしい朝の目覚め。早すぎても良くないので、反省してこの日は8時ぐらいに下に降りていきました。今日は何を食べようかと考えていると、そこには体調の悪そうな小路先輩の姿が。それもそのはず、個人戦7局+団体戦3局という普段の地区大会ではあり得ない量の対局数を重ねさすがに疲弊されていました。急遽代わりに私が出ることに。

!?

私が出ることに。(大事なことなので二回。)
朝食が急に喉を通らなくなりました。そそくさと部屋へ詰めチャレをしに戻りました…
(選手紹介の時の写真は東北大学戦のものですが、寝癖が立っているのもこのような経緯があったためです。)

四回戦:東北大学戦

三将での出陣。相手エースと当たる読みでしたが、残念ながら外れて勝負所となってしまいました。あまりの緊張の結果…

後手番ということもあり、持久戦でボチボチやろうかなーなどと考えていたら、この局面でやっととんでもないことをしてしまったことに気づきました。こちらの△32金△43銀が間に合っていません。
開き直って△31金△22金と被害を最小限に食い止め、右玉に組む方針に

進んで、互いに角を打ち合い、▲75歩と打たれた局面。これには△同銀▲74歩△76歩▲73歩成△同玉として桂馬を取らせても盤上を制圧するのが右玉の考え方…考え方なのですが、△53銀△32金型ならまだしも、この形でまとめきれる自信が無く△63銀と引いてしまいました。この積極性の無さはいただけません。結局▲76銀などで手厚くされとても指し手に困りました。負けても積極的に行くべきでした。

▲77金△65歩▲74歩と進んだ局面。評価値的にも互角に戻り、チャンスがありそうな局面になりました。右桂を見捨てて、銀桂交換になれば十分かと考えていましたが、存外この右桂は重要で▲85銀などの進出を防いでいます。また、本譜△66歩▲73歩成△同玉と進みましたが、▲75桂の両取りが痛く、玉頭戦で厚み負けしています。玉が露出している状態では相当勝ちづらいためそこまで読みを入れるべきでした。
正着は△74同銀▲75銀左△同銀▲同銀△74歩▲84銀で、銀の進出が怖くやめてしまいましたが、△72角と普通に引いておけば全然指せていますね。

局面は▲47角と覗かれた局面。評価値的にはかなりきついですが、次の△65歩が敗着の一手。△83角がずっといたせいか、効きが足りていると錯覚してしまい、呼び込んでしまいました。苦しいですが、替えて△64歩で我慢ぐらいが正しい戦い方ですね。この後は綺麗に寄せきられました。敵ながら天晴れです。対局ありがとうございました。

成績は3-4とチームとしても負け。阪大と東北大学は成績的にも同じぐらいだったため、直接対決を落としてしまったのは残念としか言い様がありませんでした。もっと研鑽を積もうと思った一局です。(対局前に多くのメンバーから激励の言葉を頂きました。涙が出るほど嬉しかったです。)

六回戦:立命館大学戦

本大会の優勝候補です。この対局も実況を務めました。
私が一年の時の秋の本割では6-1で勝ったこともありましたが、あくまで地区大会。全国大会では、どのような結果になるか楽しみでした。
まず、松村先輩と福田君の師弟コンビ勝利し、橋口さんはまたもや魔術を発揮。
3-3で勝負は木村さんに託されました。優勝候補に阪大が勝つかもしれないということでギャラリー今大会一番多かったと思います。このときの心境について木村さんに尋ねましたが、そもそも3-3だと知らなかったようで、「そんなに俺の将棋が気になるんだー」ぐらいだったらしいです。(私もこれぐらい余裕を持ってのびのびと指したいと思いました。)第二代表の決勝の時と同じく、終盤は一手一手自分ならどう指すか考えながら見ていましたが、おそらく5敗ぐらいしました。結果は、木村さんが難解な終盤を制し4-3で勝ち大金星です。
ただ、私がやっていたのは実況戦です。終わってから、相手大学の実況を見てみると、形勢判断が正確で、選手一人一人を理解していないとできないツイートが散見され、大敗でした。対戦ありがとうございました。

王座戦三日目

七回戦:東京大学戦

こちらも今回の優勝候補でここまで全勝です。
昨日の金星のこともあり、優勝を争う立命館大学や早稲田大学の皆様にも応援していただけたようです。(?)
この対局も私が実況することに。中盤は面白い構想もあり、優勢な局面も多く、勝ちがあるかと思われましたが、結果は2-5負け。小路先輩の角交換振り飛車が久しぶりに見れたのは嬉しかったです。

八回戦:麻婆豆腐戦

次の九州大学戦に出ることは既に決まっていたため、先輩方に連れられ昼食を取りに行くことに。麻婆豆腐は山椒が効いているものがおいしいですよね。専門店の料理に舌鼓を打ながら、北海道大学戦の様子を実況で確認していました。7-0!?同期も後輩も皆勝つので、私も負けられなくなりました。麻婆豆腐も心なしか終わりにかけて辛くなっていた気がします。

九回戦:九州大学戦

今回も三将での出陣。またもや後手番ということで右玉にしてカウンターを狙いに行く方針。

中住まいには筋違い角打っておけば良いみたいな話を聞いた(は?)ので、△32角と設置。桂頭も狙えないのにどうするつもりなのでしょうか。対局当時は▲68銀からの地下鉄飛車を阻止したつもりなのでしょうが、こちらの角の働きが終わっています。また、訳の分からない負け方をするところでした。本譜、▲67角と進み互角の展開へ、惑わせてしまって申し訳ありませんでした。

△43金▲45歩△同歩▲35歩となった局面。角を生かして攻めてこられましたが、さすがに少々軽いかなという印象。△44銀△55銀△65歩で角頭攻めを狙った方がより良いですが、丁寧に受ける方針で本譜は△35同歩

▲23歩△同角▲24飛と少し工夫された局面。△45角と桂を取る手が最善でお相手もその読み筋でしたが、▲45同角△同銀▲46歩△34銀▲22飛成で攻めが全く見えず見送りました。ソフト的にはそこで△44角と11の香を守り、龍を引かせていったん落ち着かせて十分です。やはり、落ち着きが一番ですね。本譜、こちらの持ち時間がリードしていたこともあり、△22歩と角を守りました。▲46銀で困っているようですが、△33桂▲同桂成△同金が飛車に当たる手順が見え、ペースをつかんだと思いました。

54桂を軸に玉頭攻めが決まり、△66歩と叩いた局面。狭そうなので右には逃げてこないだろうと思っていましたが、実際▲77玉は気になっていた。正確には△46歩▲34歩△67角(△同角は▲22飛成が厳しい)と打って決まっているが、実際生角を67に打てたかは怪しいためこの展開を選ばれていたら負けていたかもしれないです。本譜は一般的な▲57玉と進行しました。

△46歩▲63歩成△同金▲64桂△同金▲同銀として下駄を預けられたこの局面。何をしても詰みそうだが、本譜なぜか、△67歩成▲48玉△36桂と打ってしまい。詰まない手順が発生してしまったが、以下、▲37玉△47歩成▲26玉(▲27玉は△38角以下詰み)△37角と最後64の銀が回収できる形となるため勝ちとなりました。△36桂を打ってからひどいことをしたことに気がつきましたが、何はともあれ勝ちきれたので良かったです。隣で見てくださっていた小路先輩も安心されたご様子でした。対戦ありがとうございました。

成績はチームも6-1で勝ち。私にとっては、西日本大会を除いて一軍戦での初めての一勝となりました

最後に

王座戦の結果は5-4で5位となりました。立命戦を戦ってくださった選手方が最も賞賛されるべきですが、阪大の勝ち数が33で、6位の東北大学に2点差と迫られていたため、自分の最後の一勝も価値あるものになったのかなと勝手に思いました。(まず、東北大学戦で普通に勝ちましょう。)少なくとも、全員で掴んだ勝利ということは確かだと思います。

感謝は何度しても良いので、最後にもう一度。
王座戦に連れて行ってくれた主力選手、オーダーを考えてくださった先輩方、声をかけてくれたメンバー全員、そして、多大なるのご支援をして頂いたOBの皆様、ありがとうございました。
これにて、私の王座戦の振り返りとさせていただきます。最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうござました。

令和6年3月4日 KO


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