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ダイヤモンドを用いて高品質なカーボンナノチューブを合成!【Wang,..,Inoue,Kobayashi, ACS Omega, Diamond & Related Materials 2022, Applied Physics Express 2023】


【Wang,..,Inoue,Kobayashi, ACS Omega, Diamond & Related Materials 2022, Applied Physics Express 2023】

大阪大学・応用物理学コースの王梦玥さん(大学院生)、前川愛佳さん(大学院生)、申満さん(大学院生)、劉元嘉さん(大学院生)、井ノ上泰輝助教、小林慶裕教授らの研究チームは、固体成長核を用いることで高い結晶性を持つカーボンナノチューブの合成に成功しました。

カーボンナノチューブは、炭素原子から作られる直径1 nm程度のチューブ状の物質です。電気伝導性や機械強度が非常に高く、構造の違いによって半導体的にも金属的にもなるという特徴を持つことから、ナノテクノロジーにおける中心的な材料となることが期待されています。

カーボンナノチューブの合成は、800℃から1000℃程度の高温下で炭素原料ガスを反応させることで行います。通常、鉄などの金属の微粒子を”種”のように用いて、種からチューブが伸びるように成長します。しかし、金属微粒子は高温で液体状態となって不安定であり、成長するカーボンナノチューブの結晶性の低下を招いたり、残存する金属微粒子がデバイス応用時の妨げになるという問題があります。

本研究では、ダイヤモンド由来のナノ粒子を種(固体成長核)として用いて、カーボンナノチューブの合成を行いました。ダイヤモンドを処理したナノ粒子は高温でも安定であり、炭素材料なので残存不純物の問題を避けることができます。高結晶性のカーボンナノチューブの合成量を2段階成長により増大するとともに、炭素原料ガスと成長促進ガスの組み合わせによる成長挙動の変化を見出しました。さらに、合成後の熱処理により、カーボンナノチューブの欠陥を修復して結晶性を向上させることにも成功しました。

このように得られた高品質のカーボンナノチューブを、今後、センサーなどに応用することを目指しています。

一連の研究成果は、「ACS Omega」、「Diamond & Related Materials」、「Applied Physics Express」に掲載されました。
本研究は日本化薬株式会社との共同研究として実施しました。

ナノマテリアル領域(小林研究室)HP