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熊本の近年の高校野球

今年の春季九州大会は熊本で開催されている。
今回はここ数年の熊本の高校野球について書いてみたい。

九州の秋季大会・春季大会は、開催県は4校出場ができる。
今回の開催県・熊本からは、甲子園未経験の有明を筆頭に、文徳、熊本商、城北の4校が出場した。昨夏の甲子園で2勝して8強入りした九州学院や名門・熊本工が出場できない事を見てもなかなかの激戦の様相を見せている。

春季の九州は、選抜高校野球大会と同時に県大会が進むため、選抜出場校は自動的に九州大会の出場権を得る。選抜出場校を除いた出場校は、開催県以外だと参加校数の多い福岡から2校だが、その他は各県の優勝校1校のみである。

開催県4校(有明、文徳、熊本商、城北)
選抜出場(沖縄尚学、長崎日大、海星、大分商)
福岡2校(福岡大大濠、西日本短大付)
佐賀1校(佐賀北)
長崎1校(大崎)
大分1校(大分舞鶴)
宮崎1校(日南学園)
鹿児島1校(鹿児島城西)
沖縄1校(ウェルネス)

当然、開催県とは言え、3位や4位の出場で他県の優勝校や選抜出場校と対戦すると力の差があり、
●城北(熊本4位)1-6ウェルネス(沖縄1位)
●熊本商(熊本3位)0-7佐賀北(佐賀1位)
3位4位校はこのようになった。

○文徳(熊本2位)9-4沖縄尚学(選抜出場校)
○有明(熊本1位)7-5日南学園(宮崎1位)
上位組はさすがに互角以上の戦いを見せて、どちも勝利している。

この大会は優勝しても甲子園にはつながらないし、場合によっては控え選手の底上げと考える学校もあるようで、例えば沖縄尚学はエースの東恩納は投手としては出場しなかったように、必ずしもベストメンバーではないかもしれない。
そして、比較的九州大会出場経験の多くない有明は、この機会にとしっかり勝利を狙って戦っているのではとも思われる。※常連校は無理をしない、そうでない学校は力試しの貴重な機会であると言える。

そういう各校の状況の差があるとはいえ、有明は準々決勝でも選抜出場の大分商を降し、今日は福岡大大濠と7回途中2-2という熱戦を展開している。

昨夏、九州地区で最高成績を残したのは前述の九州学院だった。
昨夏は新型コロナ集団感染と判断された学校が出たため、組み合わせ抽選で日程の配慮が行われ、九州学院は初戦は第8日となった。集団感染を乗り越えた九州学院は帝京五(愛媛)に大勝した。帝京五も日程の配慮が行われた学校の1つであり、もしかしたら相手チームの状況が万全でなかった可能性もあって、九州学院にとっては結果的には幸運な初戦だったと言えるかも知れない。
初戦突破した九州学院は、國學院栃木(栃木)にも勝ち、準々決勝で聖光学院(福島)に敗れたものの、九州地区8校中唯一の8強入りとなった。

実はこのところ、熊本勢の県外成績は非常に悪かった。

2017年春季大会
 ○秀岳館7-0西日本短大付
 ○秀岳館3-1沖縄尚学
 ●秀岳館2-3鹿児島実
 ●熊本工1-2美里工
 ●文徳1-2美来工科
2017年選手権大会
 ○秀岳館6-4横浜
 ●秀岳館1-6広陵

2017年秋季大会
 ●九州学院2-3都城東
 ●文徳1-4富島
2018年春季大会
 ●文徳4-5創成館
2018年選手権大会
 ●東海大熊本星翔3-9大垣日大

2018年秋季大会
 ●熊本国府2-5興南
 ○熊本西3-2佐賀学園
 ●熊本西1-8日章学園
2019年選抜大会
 ●熊本西2-13智弁和歌山
2019年春季大会
 ●球磨工1-5福岡大大濠
 ○熊本西9-6真颯館
 ○熊本西2-1大分工
 ●熊本西4-6西日本短大付
2019年選手権大会
 ○熊本工3-2山梨学院
 ●熊本工5-6関東一

2019年秋季大会
 ●熊本国府2-4創成館
 ○城北8-7富島
 ●城北0-8鹿児島城西

2020年秋季大会
 ●開新2-9大崎
 ●東海大熊本星翔2-4具志川商
2021年春季大会
 ●東海大熊本星翔3-7宮崎商
2021年選手権大会
 ●熊本工4-8長崎商

2021年秋季大会
 ●秀岳館0-3有田工
 ●熊本工3-4佐賀商
2022年春季大会
 ●九州学院0-3大分舞鶴
2022年選手権大会
 ○九州学院14-4帝京五
 ○九州学院4-0國學院栃木
 ●九州学院5-10聖光学院

2022年秋季大会
 ●文徳3-4長崎日大
 ●東海大熊本星翔3-4海星
(高校野球では秋季大会~選手権大会を1シーズンとして考えますのでそれに従って区切っています)

これは熊本地震の影響が出た世代であったのではないかと推察する。熊本地震は2016年に発生した地震。2016年は秀岳館が春夏連続で4強入りした世代で2017年夏の秀岳館はまだその経験者も残っていた。しかし2017年の秋季大会から暗雲が立ち込めてくる。

2017年秋季大会で1勝した熊本西が21世紀枠で選抜出場、熊本工が選手権で1勝などまったく勝てていないわけではないものの、勝てても辛勝という状況。
そして2020年。春季大会と選手権大会が中止となったが、2020年秋から2022年春までは県外で1勝もできなかった。中でも2021年秋は全国的に見ても低迷の極みにあると思われる佐賀代表に2校とも敗戦した事に深刻さを感じた。

熊本地震の影響で、場所によっては避難生活を強いられたという時期に小学校高学年や中学生だった世代にあたる。この時期に、数か月や1年という単位で野球に取り組むのが難しかった世代だった。

そういう経緯を経て、昨夏の九州学院の2勝、そしてこの春、文徳と有明が初戦を突破し、そして有明は福岡大大濠に逆転勝利して決勝にコマを進めたようだ。

ようやく、熊本が低迷期を脱出する気配を感じさせた春季九州大会。
出場した4校以外にも、九州学院、熊本工、濟々黌、東海大熊本星翔、秀岳館、熊本国府、専大玉名なども夏の代表を狙っているだろう。選手権予選まであと3か月を切って、最終的にどこが夏の切符を掴むのか。そして全国でどこまで戦えるのか、楽しみにしたい。

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