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いざ別れの時が来ると離れがたくなってしまう話

家族への情って厄介だ。


10月に母が亡くなりました。
4年前に卵巣がんが発覚して手術をしたけれど、取り切れないがん細胞を通院治療で大きくならないようにしていました。
今秋に入って、これ以上抗がん剤治療をしても体力を削るだけ、緩和ケア病棟に移って痛みをとる治療をしたほうが相対的に寿命が伸びる可能性がある、と医師から説明を受けて緩和ケアを始めて1ヶ月も経たないうちに。


葬儀が終わって、親戚が毎週片付けを手伝ってくれて、終わらない書類を亀の歩くらいのペースで進めて。


父の主治医(治療を中断して通わなくなったので最早主治医と言えるか謎)にも診せに行った。
が、やはり結論は変わらなかった。
かろうじて自分で身のまわりのことが出き、栄養状態も悪くない。常に酔っている人が受けられる福祉サービスはない。
私のほうが実家を出る。
父は自分の意思で酒をやめることは出来ず、かと言って入院も嫌だと言われれば為す術はなかった。


離れたくないのは私のほうなのかもしれない。


父は子煩悩な人だ。
母方の祖母が、見ていて心配になるくらいの子煩悩だと話してくれたことがあった。
寂しがり屋で、母がいないと生きていけない人だ。
母が亡くなってからも自分で加減して飲み続け、酔うと私が出かけようとすると「どこ行っちゃうの?」と泣きそうになられる。

それでも、こんな状態の父を置いて家を出なきゃいけないのか。

解っている。
このままじゃ、いつまで経っても私は自分の人生を生きられない。
頭では嫌というほど解っている。
気持ちが追いついていない。

なんてことだ。
こんな家、いつでも出て行ってやると意気込んでいたのに。
いざその時が来たらこんなに離れがたくなってしまうとは。

家族って、なんてこんなにも面倒くさいんだろう。


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