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文通が中学生女子の間でプチブーム。

中学3年の頃だったと思う。
周囲の友だちが、文通をしていると言っていた。

文通相手を見つけるのは、音楽雑誌だった。
音楽雑誌の後ろのほうに、文通相手募集というコーナーがあり、そこに住所が載っていた。時代だね~

で、周囲の女子は誰と文通しているのかといえば……。
文通相手募集の男子と手紙のやりとりをしているのである。

私は最初は、「へぇ。そうなんだ」ぐらいの反応だった。
なぜなら、結構、傷心の身である。

ここでも書いているが、クラスメイトの男子、医者、塾の男子。
中学三年生の段階で3人にフラれているのだ。
なんかもう恋愛めんどくさいモードに入っていた。

そんなある日。
3年生から体育の担当になったマツダ先生(仮名)が気になるようになる。
マツダ先生は、たぶん私より20……は上じゃないか、少なくとも一回り以上年上だった。

ビール腹のザ・おじさんって感じの外見。
既婚者。
ねえ、なんで気になったの、私?

とにもかくにも、気になったもんはしょーがない。
医者の時もそうだったけど、私の壁は10歳以上年上の男性である。
それに別に、どうこうなろうってわけじゃない。向こうも相手にしない。
あこがれるぐらいいじゃないか。

そんなマツダ先生のご夫人を見てしまった。
めっっっっちゃ綺麗な人だった。

私はなにかしらのショックを受けた。
別にマツダ先生と結婚したいとか思っていたわけじゃない。
そうじゃなくて、なんだろうな。
謎の焦り、とでもいうのか。

この世の人はすべて相手がいる。
私が好きな人にもみんな相手がいる。

そんな気分になってきたのだ。

そんなわけで、私は漠然とこんなことを思った。
彼氏がほしい。
いや、彼氏じゃなくていい。
男友だちがほしい。

学校はダメだ。
だって、なんか嫌!
それに、塾で一緒の男子は学校も同じだったけど。
告白したことが学年の男子にバレてたし!
それは告白した男子がしゃべったからだけど!
なんで喋るんだよ!

そんなわけで、この中学の男子とは仲良くしたくない……。

だからみんな文通してるのか!
私は納得して、音楽雑誌を買ってみた。
文通をするために。

中学から高校生ぐらいの男子で、県内か隣県に住んでいる男子、尚且つ、「友だち募集」の人に手紙を送った。
最終的に会う気かよ、と思うが。
友だち募集なら、最終的には会うという選択肢も視野に入れていた。

返事は来ないこともあった。
来ると大喜び。

しかし、返事が来てもあまり続かなかった。
大体、どちらかからやりとりが途切れるのだ。

唯一、比較的近くに住んでいる高校2年生男子とは、お互いに写真も交換した。

相手から来た写真は、なんというか……。
不良っぽかった。
ちょっと、いや、結構こわかった。

しかも、手紙の中には、「お酒もタバコもちょっとだけやるよ」と書かれていた。
私はその一文に震えた。
不良だ……怖い……。

怖すぎて返事ができなかった。
こうして文通は途絶えた。

そして、私は文通をやめた。
なんかもういいや……と思ったのだ。
飽きたともいう。

こうして私の、短い文通ブームは終わりを告げた。

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